税務・会計の最新チェックポイント

相続税の調査状況と申告における注意点

2017-11-24

◆調査1件当たり2720万円の申告漏れ◆
国税庁が公表した28事務年度(28年7月〜29年6月)における相続税の調査状況によると、26年に発生した相続を中心に1万2116件の実地調査が行われ、8割を超える9930件に申告漏れ等の非違が見つかっています。

その申告漏れ課税価格は3295億円(1件当たり2720万円)で、追徴税額は716億円(同591万円)となっています。

なお、申告漏れがあった相続財産の内訳は、「現金・預貯金等」が1070億円(構成比33.1%)と 最も多く、次いで「有価証券」が535億円(同16.5%)、「土地」が383億円(同11.8%)と続いています。

◆課税対象となる「名義預金」などに注意◆
相続税は、相続等によって取得した財産価額から 借金などの債務や葬式費用を差し引いた金額が基礎控除額「3千万円+600万円X法定相続人数」を超える場合、申告が必要となります(被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10力月以内)。

課税対象となる財産は、被相続人が所有していた預貯金や土地などをはじめ、金銭に見積もることができる財産のほか、被相続人が亡くなったことで支払われる生命保険金(被相続人が保険料を負担した部分)や退職金、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産も課税対象となります。

なお、財産の名義にかかわらず、実質的に被相続人の財産と認められるものは課税对象となりますので、単に子などの名義になっている預金(名義預金) などには注意が必要です。

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12月末時点で一定の財産がある方は

2017-11-20

その年の12月31日時点で5千万円を超える国外財産を保有している方は、国外財産の種類や価額等を記載した「国外財産調書」を翌年3月15日までに所轄税務署長へ提出する必要があります。

また、その年分の所得金頟(退職所得を除く) が2千万円超であり、12月31日時点で3億円以上の財産又は1億円以上の有価証券等(国外転出時課税制度の対象財産)を有する方は、財産の種類や価額等を記載した「財産債務調書」を翌年3月15日までに提出することになります。

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28事務年度における所得税の調査等

2017-11-10

◆40万件から8884億円の申告漏れ◆
国税庁によると、平成28事務年度に実施された所得税の調査等の件数は、実地調査が7万件、文書や電話、来署依頼により計算誤りなどを是正する簡易な接触が57万7千件で、計64万7千件のうち40万件に申告漏れ等の非違がありました。

把握された申告漏れ所得金額は8884隠円(1件当たり137万円)で、追徴税額は1112億円(1件当たり17万円)となっています。

なお、申告漏れ所得金額は、実地調査により1件当たり763万円(実地調査全体で5359億円)、簡易な接触では1件当たり61万円(全体で3525億円)が把握されています。

◆海外取引やネッ卜取引等での注意点等◆
国税庁では、冨裕層や無申告者をはじめ、海外取引、インターネット取引などに対する調査を積極的に行っています。

◎海外取引……居住者は、海外で得た所得(国外にある不動産や株式等による収益や、国外で支払われる預金等の利子など)は原則、申告する必要があります。なお、5千万円超の国外財産を保有している方には、財産の種類や価額等を記載した国外財産調書の提出が義務付けられています。

◎ネッ卜取引…… 給与所得者がネットオークションやアフィリエイ卜などで20万円を超える利益を得た場合は、雑所得として確定申告が必要です。

◎金地金等の譲渡……金や白金(ブラチナ)を売却して讓渡益が生じた場合は原則、総合課税の譲渡所得として課税されます。なお、200万円超の取引は取扱業者から税務署に支払調書が提出されています。

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経営強化法による固定資産税特例の注意点

2017-11-01

中小事業者等は、人材育成や設備投資など経営力向上のための取組を記載した「経営力向上計画」の認定を受けることで、計画に基づき取得した一定の設備について、固定資産税の軽減措置(3年間1/2に軽減)や、中小企業経営強化税制(即時償却又は税額控除)を受けることができます。

このうち固定資産税の軽減措置を利用する場合は、固定資産税の賦課期日が毎年1月1日のため、対象設備を取得した年内に計画の認定を受ける必要があります(年内に認定を受けられない場合は軽減期間が2年間となります)。12月に入ってからの申請は、年内の認定が間に合わない可能性がありますので、ご注意ください。

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年末調整で必要となる控除証明書を確認

2017-10-23

給与所得者が年末調整で保険料控除を受けるために必要となる控除証明書が送られてくる時期となりました。保険料控除申告書に添付して提出する必要がありますので、以下の控除証明軎を大切に保管しておきましょう。

◎生命保険料や地震保険料を支払った方……契約している保険会社から届く保険料控除証明書。
◎国民年金保険料を支払った方……年金事務所から届く社会保険料(国民年金保険料)控除証明書。
◎iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金を支払った方……「個人払込」の加入者の方に、国民年金基金運合会から届く小規模企業共済等掛金払込証明書。

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iDeCoの加入者数が改正によリ倍増

2017-10-20

個人型確定拠出年金「iDeCo (イデコ)の加入者数が認知度向上により急増しています。

◆加入者は改正後8力月で倍増し、62万人に◆
iDeCoは、任意で加入することにより公的年金に上乗せして給付を受けられる私的年金のひとつで、加入者自らが掛金を拠出して運用方法を選び、年金として受け取る金額は運用成績によって変動するものです。

今年1月から制度改正によりiDeCoの加入対象者が拡大し、基本的に60歳未満の全ての方が利用できるようになりましたが、国民年金基金連合会が公表した加入者数の状況によると、今年8月時点で 62万339人となり、制度改正前の30万6314人(28年12月時点)から倍増しました。

◆掛金払込証明書を確定申告や年末調整で提出◆
 iDeCoの大きなメリットとして、①掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり全額所得控除、②運用益は非課税、③受給時は所得控除(年金で受給する場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」)の適用が受けられます。

掛金を納付した加入者(納付方法が「個人払込」の方)には、国民年金基金連合会から毎年10月下旬 (初回の掛金納付が10月以降の加入者には翌年1月)に「小規模企業共済等掛金払込証明書」が送られてきますので、確定申告や年末調整の際に添付等して、控除を受けます。

なお、小規模企業共済等掛金控除は加入者本人の掛金しか所得控除できませんので、社会保険料控除のように世帯主などが生計を一にする配偶者やその 他の親族の分を含めることはできません。

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退職金に係る税務上の取リ扱いは

2017-10-14

退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として一時に支払われるものであるため、退職所得控除や他の所得と分離して課税されるなど、税負担が軽くなるよう配慮されています。

◆勤続年数に応じた退職所得控除額◆
退職金の支払いを受けた場合、所得税の課税対象となる退職所得は【(退職金一退職所得控除額)x1/2】で算出します(特定役員に対する退職金については異なる)。これに所得税の税率を掛けて、控除額を差し引いた金額が所得税額(基準所得税額)となります。

この退職所得控除額は、勤続年数(1年未満の端数がある場合は1年)に応じて計算され、*勤続年数20年以下は【40万円×勤続年数】、*勤続年数 20年超は【800万円+70万円x (勤続年数一20年)】となります。なお、障害者となったことに直接基因して退職した場合は、100万円を加算した金額が退職所得控除額となります。

□退職金を相続人が受け取った場合は□
小規模企業共済による共済金(準共済金)や、中小企業退職金共済によって支払われる退職金を一括で受け取った場合も退職所得扱いとなり、退職所得控除額を差し引いた額の1/2が課税対象となります。この場合、退職所得控除額の勤続年数は、契約期間(掛金が納付された期間)となります。

なお、被相続人が亡くなったことで、死亡後3年以内に支払が確定した退職金が相続人などに支払われた場合、その退職金は相続税の課税対象となり、【500万円×法定相続人の数】を超えた部分が課税対象となります。

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相続税額の2割加算の対象となるのは

2017-09-19

被相続人(亡くなった方)から相続等によって財産を取得した方が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫などの直系卑属を含む)及び配偶者以外である場合には、その方の相続税額は2割加算した金額となります。

そのため、被相続人の兄弟姉妹や、甥・姪が相続人となった場合は一親等の血族に該当しないため、2割加算の対象となります。

なお、被相続人の養子については、一親等の血族に該当するため2割加算の対象にはなりません。 ただし、被相続人の孫が養子となっている埸合には、2割加算の対象になります(代襲相続人である孫養子を除く)。

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交通違反の反則金に係る税務上の取扱い

2017-09-13

今月21日〜30日まで、「秋の全国交通安全運動」が実施されます。特に自動車の運転による事故は、ひとつ間違えば人命にかかわりますので、安全運転を徹底しましょう。

なお、業務中に起こした交通違反の反則金を会社が支払った場合、税務上、損金(個人事業の場合は必要経費)には算入できません。これは罰金や科料、過料を損金(必要経費)として処理できてしまうと、税負担の軽減となり制裁的な効果か失われるためです。

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ピットコイン使用による利益は「雑所得」

2017-09-11

仮想通貨のビッ卜コインによる利益の課税関係は、取扱いが明らかになっていませんでしたが、 国税疔は「ビッ卜コインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」について、同庁HP のタックスアンサーで見解を公表しました。

これによると、ビッ卜コインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となり、ビッ卜コインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、原則として「雑所得」に区分されます。

なお、仮想通貨に係る消費税の課税関係は、29年度税制改正により今年7月以後の売買取引について、非課税となっています。

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相続財産から控除される「葬式費用」とは

2017-08-21

相続税を計算する際、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から差し引くことができますが、それ以外にも一定の相続人が負担した葬式費用を遺産総額から差し引くことができます。

葬式費用となるものは、*葬式や葬送に際し、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用、*遺体や遺骨の回送にかかった費用、*葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用、*葬式に当たりお寺などに対する読経料などの費用、*遺骨の運搬にかかった費用などが該当します。

一方、*香典返しのためにかかった費用、*墓石や墓地の買入れのためにかかつた費用などは葬式費用に該当しません。

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国税の滞納状況と猶予制度

2017-08-11

◆新規滞納額の6割を占める「消費税」◆
国税庁が公表した「平成28年度租税滞納伏況」によると、今年3月末における国税滞納残高は8971億円(前年度比8.2%減)となり、18年連続で減少しました。
また、28年度に発生した新規滞納額は6221億円(同9.5%減)で、このうち消費税が3758億円 (同14.5%減)と全体の約60%を占めています。
税金を納期限までに納付しなかった場合は、延滞税が課せられるほか、督促伏を受けても納付が行われない場合には、財産の差押えや換価(売却)といった滞納処分を受けることがあります。また、金融機関からの融資が困難になるなど経営に影響が出ますので、納税資金を考慮した資金繰りが重要です。

◆国税が納付困難となった場合の猶予制度◆
国税を一時に納付することが困難な理由がある場合は、以下の猶予制度を税務署に申請することで、財産の差押えや換価(売却)の猶予などが認められる場合があります(原則、猶予期間は1年以内となり、猶予を受けた国税は猶予期間中に分割納付)

◎納税の猶予……災害、病気、事業に著しい損失が生じたなどのやむを得ない理由や、本来の期限から1年以上経って修正申告などで納付税額が確定したことによって、国税を一時に納付できないと認められる場合は、申請により納税が猶予されます。

◎換価の猶予……国税を一時に納付することにより事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合は、猶予を受ける国税の納期限から6力月以内の由請により、差押財産の換価(売却)が猶予されます

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消費税が非課税となる取引は

2017-07-28

ビッ卜コインなどの仮想通貨が改正資金決済法 (今年4月施行)により支払の手段として位置づけられたこと等に伴い、今月から仮想通貨の売買取引ついては、消費税が非課税となりました。

非課税となる取引とは◆
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等の取引を課税の対象としていますが、課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、非課税となる取引が定められています。

例えば、支払手段や有価証券、物品切手等(商品券やプリペイドカードなど)の譲渡などは非課税取引となります。物品切手等については、最終的に商品券などを使用して商品・サービスの提供を受ける際、課税されることから二重課税を避けるために譲渡時には非課税とされています。

◆土地の譲渡や貸付けなども非課税取引◆
また、土地の譲渡や貸付け、住宅用としての建物の貸付けも非課税取引となります。
ただし、土地や住宅の貸付期間が1力月未満に満たない場合や、土地の貨付けについて駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税にはなりません。

なお、住宅の貸付けは、契約において人の居住用に供することが明らかなものが非課税となり、事務所などで貸し付ける場合の家賃は、課税対象となります。そのため、店舗等併設住宅については、住宅部分のみが非課税とされます。

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お祭などに協賛金を支出した場合は

2017-07-24

夏祭りや花火大合が行われる季節になりましたが、事業と直接関係のない者が主催しているイベントに対して、協賛金を支出した場合は、原則として「一般の寄附金」となり、一定限度額の範囲内で損金算入できます。ただし、協賛企業として、*社名入りの提灯が吊るされる、*ホー厶ページや配布されるパンフレツ卜などに広告掲載があるなど、不持定多数に対する宣伝効果が期待できる場合は、広告宣伝費として全額損金になります。

一方、取引先など事業に関係する者が主催するイベン卜などに対して、今後の取引関係を維持することを目的に協賛金を支出した場合は、交際費等に該当します。

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災害に関する税制上の取り扱い

2017-07-14

福岡・大分県を中心とした記録的豪雨により、被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

今般の災害により被害を受けた中小企業対策として、日本公庫等による災害復旧貸付や信用保証協会によるセーフティネッ卜保証、小規模企業共済制度の加入者に対する災害時貸付などが実施されます。

◆会社の資産が損害を受けた場合など◆
災害により商品や店舗などが滅失・損壊した場合の損失額や、損壊した資産の取壊し、土砂などを除去するための費用は損金になります。また、損傷を受けた店舗や機械などの固定資産について、原状回復のために補修などを行った埸合や、被災前の状態を維持するための補強工事などに支出した費用も修繕費として損金になります。

なお、災言を受けた取引先に対して、災害見舞金の支出や、事業用資産の供与などを行った場合の費用は、交際費等にはならず損金になります。

◆災害に対応する税制上の措置が常設化◆
29年度税制改正において、災害に対する税制上の措置が常設化され、法人税関係では「災害損失の繰戻しによる法人税額の還付」など震災特例法で手当てされていた措置の一部が常設化されました。

災害損失の繰戻し還付は、災害のあった日から1年を経過する日までの間に終了する各事業年度(又は災害のあった日から6月を経過する日までの間に終了する中間期間)において生じた災害損失欠損金額がある場合に、災言欠損事業年度開始の日前2年 (青色申告でない場含は前1年)以内に開始した事業年度の法人税額のうち、災害損失欠損金額に対応する一定額を還付請求できるというものです。

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経営強化法に係る中小企業経営強化税制

2017-06-30

昨年7月に施行された中小企業等経営強化法により、経営力向上のために実施する計画(経営力向上計画)を事業分野別指針に沿って策定し、国の認定を受けた埸合、税制や金融支援等の措置を受けることができます。

◆29年改正で創設された「中小企業強化税制」◆
税制の支援措置として、経営力向上計画に基づき 一定の設備を新規取得した場合には、固定資産税が3年間1/2に軽減される措置(固定資産税の持例)や、29年度税制改正により創設された中小企業経営強化税制の適用を受けることできます。

中小企業経営強化税制は、29年4月〜31年3月までの間に一定の生産性向上設備(生産性が旧モデル比年平均1%以上向上する設備)や、収益力強化設備(投資利益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備)を新規取得し、指定事業の用に供した揚合に、即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金3千万円超の場合は7%)を選択適用することができる制度です。

◆対象となる設備や適用関係は◆
同税制の対象となる設備とは、機械装置(160万円以上)や器具備品(30万円以上)、建物附属設備 (60万円以上)などで、設備単位で即時償却と税額控除を使い分けることも可能です。

また、ファイナンスリース取引については対象になりますが、ファイナンスリースのうち所有権移転外リース取引については税額控除のみの適用(即時償却は適用不可)となります。

なお、同税制は固定資産税の特例措置と重複して適用することもできます。

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成立した民法改正(債権関係)のポイン卜

2017-06-02

民法(債権関係)は、日常生活や経済活動における様々な契約の基本ルールなどが定められているもので、明治29年の制定から抜本的な改正は行われていませんでしたが、現代化を図るための改正が今月26日に可決・成立しました。

★改正法は公布から3年以内に施行★
多くの改正項目がありますが、主な改正には以下のような項目があります。なお、改正は公布から3年以内に施行されます。

◎債権の消滅時効……現行では原則、権利を行使できる時から10年間ですが、一定の債権については1〜3年の短い期間(例えば、飲食代金などは1年、商品の売掛代金などは2年)が規定されています。 改正では、このような短期消滅時効を廃止し、原則として権利を行使できることを「知った時から5年間」とします(現行の権利を行使できる時から10年間も維持し、いずれかに該当した場合に適用)。

◎個人保証の制限……事業融資における経営者等以外の個人保証について、契約締結前に保証人になる方が公正証書を作成して保証債務を負う恩思表示しなければ効力は生じないとされました。

◎法定利率……利率を定めていない埸合や、損害賠償金額の算定などに用いる法定利率を現行の年5%から年3%に引下げ、3年ごとに一定の規定により変動するものとします。

◎売買の目的物に欠陥があった場合……現行では、売買で引き渡された目的物が契約の内容に適合しないものである場合、買主は契約解除または損害賠償の請求ができますが、改正により売主に対して、目的物の修補、代替物の引渡しなども請求できます。

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年々使い勝手がよくなる事業承継税制

2017-05-15

事業承継税制は、後継者が先代経営者から相続又は贈与により非上場株式を取得した場合、一定要件を満たせば、相続税は80%、贈与税は全額を納税猶予する制度です(議決権総数の2/3までが対象)。

◆29年度改正による見直し等は◆
同制度は、年々使い勝手をよくするための見直しが行われており、例えば27年からは、*親族外承継の対象化、*雇用維持要件の緩和(5年間平均で雇用の8割以上を維持)、*贈与時の役員退任要件の緩和(先代経営者は代表権を有していなければ有給役員として残留可)、などが実施されています。
29年度税制改正においても以下のような見直しが行われ、29年1月以後の相続又は贈与から適用されます(「雇用維持要件の計算方法の見直し」については29年4月以後に適用)。

◎雇用維持要件の計算方法の見直し(29年4月以後適用)
……納税猶予を続けるための要件の一つである雇用維持要件について、5年間維持すべき従業員数の計算上(従業員数X80%)、1人未満の端数を切り捨てることになり、従業員4人以下の企業で1人減った場合でも納税猶予が続けられます。

◎相続時精算課税制度との併用が可能に……同制度により贈与税の納税猶予の適用を受ける場合でも、相続時精算課税制度が適用できるようになり、要件を満たすことができずに贈与税の納税猶予を取り消された場合のリスクが低減できます。

◎災害等が発生した場合の要件緩和
……例えば、災害により事業用資産の3割以上が損壊した場合は、後継者(相続人等)の要件のうち、相続開始の直前において会社の役員であることが免除されます。

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4月から適用開始の主な税制(個人関連)

2017-04-17

成立した29年度税制改正のうち、以下は4月(又は1月)から適用となる主な個人関運です。なお、関心が高い配偶者控除等の見直し(除額38万円の対象となる配偶者の給与収入上限を150万円に引上げる等)は、30年分からの適用となります。

◎国外財産に対する相続税等の納税義務の範囲の見直し……国外に居住する日本人の被相続人等又は相続人等が10年以内に国内の住所を有していた場合は、国外財産も課税対象とします。また、短期滞在の外国人同士の相続等については、国外財産を課税対象外とします。29年4月以後の相続・贈与に適用。

◎物納できる財産の順位等の見直し……相続税の物納に充てることができる財産の物納順位について、 金融商品取引所に上場されている有価証券が第1順位となります。29年4月以後の物納申請分から適用。

◎医療費控除・セルフメディケーシヨン税制に係る添付書類の見直し……医療費控除等の適用を受ける際、領収書の添付に代えて医療費等の明細書を確定申告書に添付します。29年分以後の確定申告書に適用31年分まで領収書の添付による申告も可能)。

◎タワーマンシヨンに係る課税の見直し……60m超の居住用超高層建築物に係る固定資産税及び不動産取得税について、上の階ほど取引価格が高くなる実態を踏まえ、各区分所有者ごとの税額を算出する際の按分割合を補正します。30年度から新たに課税される居住用超高層建築物(29年4月前に売買契約 が締結された住戸を含むものは除く)に適用。

◎既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充……省エネ改修等と併せて行う耐久性向上改修をリフォーム減税の対象とします。29年4月から適用。

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2017年4月から適用開始の主な税制(中小関連)

2017-04-10

成立した29年度税制改正のうち、以下は4月(又は1月)から適用となる主な中小企業関連です。

◎所得拡大促進税制の拡充……従来(24年度からの給与等支給増加額の10%を税額控除)に加え、平均給与等支給額が前年度比2%以上増加している場合、 前年度からの給与等支給増加額分は22 %の税額倥除とします。29年4月以後開始事業年度から適用。

◎中小企業経営強化税制の創設……投資促進税制の上乗せ措置を経営強化法の認定計画に基づく制度に改組し、器具備品・建物附属設備を追加します。対象設備を取得等した場合、即時償却又は税額控除が適用できます。29年4月以後開始事業年度から適用。

◎固定資産税の特例措置の見直し……経営強化法の認定計画に基づき取得した一定の設備の固定資産税を3年間1/2に軽減する措置について、一定の工具 器具備品、建物附属設備等を対象設備に追加します(追加設備は最低賃金が全国平均以上の7都府県で業種が限定)。29年4月以後の取得について適用。

◎研究開発税制の拡充……試験研究費の増加率が5%を超える場合には、控除率を最大17%とし、控除上限を法人税額の35%に拡充します。29年4月以後開始事業年度から適用。

◎事業承継税制の見直し……雇用維持要件(従業員数を5年平均で8割以上維持)を緩和し、5人未満から1人減った場合でも要件を満たします。また、相続時精算課税との併用が可能になりました。29 年1月以後の相続・贈与に適用。

◎取引相場のない株式の評価の見直し……評価に用いる類似業種比準方式等が見直されました。29年1月以後の相続等により取得した財産の評価に適用。

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横浜市・鶴見区の税理士 横浜市・鶴見区の税理士、相続税
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