10月, 2018年
- 2018-10-31★平成30年11月のチェックポイント★
- 2018-10-29来年4月から年次有給休暇の取得義務化
- 2018-10-26「配偶者控除等申告書」に関するQ&A
- 2018-10-24土地の境界となる「筆界」と「所有権界」
- 2018-10-22不動産使用料の支払調書が必要な場合
- 2018-10-19法人の黒字申告割合は34.2%
- 2018-10-17年末調整で保険料控除に必要な控除証明書
- 2018-10-15消費税率引上げによる家計負担は
- 2018-10-13消費税率引上げに係る住宅の取得等
- 2018-10-11来月は「下請取引適正化推進月間」
- 2018-10-09中小企業のための退職金制度「中退共」
- 2018-10-052 9年分の平均給与は432万円
- 2018-10-03年末調整で配偶者控除等を適用するには
- 2018-10-01★2018年10月のチェックポイント★
★平成30年11月のチェックポイント★
※年末調整の準備。各種用紙(今年から「配偶者控除等申告書」が加わるので注意)を配布し、控除を受けるために必要な証明書などの提出を促します。中途入社の方には、前勤務先の「源泉徴収票」を取り寄せるよう依頼します。
※年末年始の資金確保のため売掛金回収を徹底し、資金繰り計画を再確認。借入が必要な場合には、早めに金融機関に提出する書類の準備を。
※11月は下請取引適正化推進月間。今年の標語は「見直そう働き方と適正価格」です。
来年4月から年次有給休暇の取得義務化
厚労省が公表した「就労条件総合調査」によると、29年の年次有給休暇の取得率は51.1%となり、前年に比べて1.7ポイン卜上昇しました。
年次有給休暇は、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされていますが、働き方改革により労働基準法が改正され、来年4月から全ての企業において、年次有給休暇の日数のうち年5日は、使用者が時季を指定して取得させることが必要となります。
なお、対象となるのは、年次有給休暇が10日以上付与される労働者(管理監督者を含む)に限られ、5日以上取得済み場合は、使用者による時季指定は不要です。
「配偶者控除等申告書」に関するQ&A
配偶者控除又は配偶者特別控除の見直しにより、今年から給与所得者が年末調整において配偶者控除等を適用する場合は「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出する必要があります。
◆Q&A◆
Q.配偶者控除等申告書の提出が必要となるのは?
A.給与所得者本人の合計所得金額が1千万円以下(給与所得のみの場合は年収1220万円以下)であり、生計を一にする配偶者の合計所得金額が123万円以下(同201万6千円未満)の場合に、配偶者控除又は配偶者特別控除の適用対象となりますので、該当する方が年末調整において配偶者控除等の適用を受けるためには、配偶者控除等申告書の提出が必要となります。
Q.配偶者控除等申告書は、いつ提出する?
A.その年の最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、提出します。
Q.年末調整後、申告書に記載した配偶者の合計所得金額の見積額と確定額に差が生じ、適用を受ける控除額に変更がある場合は?
A.その年分の源泉徴収票を交付する時までに、見積額の異動に関する申出があった場合は、年末調整の再調整を行うことができます。
Q.申告書にマイナンバーの記載は必要?
A.原則、記載する必要がありますが、①従業員が申告書の余白に「給与支払者に提供済みのマイナンパーと相違ない」旨を記載した上で、給与支払者が確認した旨を表示している場合や、②記載すべきマイナンパー、その他の事項を記載した一定の帳薄を備え付けている場合には、記載を省略できます。
土地の境界となる「筆界」と「所有権界」
土地の境界には、筆界と所有権界があります。
筆界とは、法務局に登記されている土地の範囲を区画するものとして定められた境界のことで、 土地の所有者同士の意思で勝手に変更することはできません。一方、所有権界とは、土地の所有権が及ぶ範囲を画する境界で、土地の所有者間で自由に変更することができます。
筆界と所有権界は通常、一致しますが、土地の一部を売買した際に分筆や合筆の登記手続をしていない等で、一致しないことがあります。そのような土地は将来、相続が発生した場合などに境界をめぐって隣人とトラブルになる可能性がありますので、注意が必要です。
不動産使用料の支払調書が必要な場合
法人は個人に対して、その年中に支払った不動産産の使用料(事務所の家賃等)が合計15万円を超える場合に、「不動産の使用料等の支払調書」を税務署にする必要があります。
法人に対して支払う家賃や賃借料については支払調書を提出する必要はありませんが、権利金や更新料等については提出が必要です。
なお、家賃等の支払先が不動産管理会社の場合でも、契約している貸主が個人であれば、支払調書の提出が必要となります。
法人の黒字申告割合は34.2%
◆申告所得金額は8年連続で増加し過去最高◆
国税庁が公表した「平成29事務年度法人税等の申告事績」によると、29年度における法人税の申告件数は289万6千件で、その申告所得金額は過去最高となる70兆7677億円(前年度比11.5%増)と8年運続で増加し、申告税額は12兆4730億円(同11.0%増)でした。
また、申告を行った法人のうち99万件(同4.1% 増)が黒字申告となり、黒字申告の割含は34.2% (同1.0ポイン卜増)と7年連続の上昇となりました。黒字申告1件当たりの所得金額は7150万円(同7.1%増)となっています。
一方、6割超を占める赤字法人の申告欠損金額は 13兆7101億円(同15.1%増)で、1件あたりの欠損金額は719万円(同15.3%増)と、増加しています。
◆欠損金の「繰越控除」と「繰戻還付」◆
欠損金が生じた場合に適用できる制度として、欠損金を繰り越して翌年度以降に生じた所得金額から控除する「繰越控除」と、前年度に所得があり法人税を納付している場合に、欠損金を前年度に繰り戻すことで法人税の還付を受ける「繰戻還付」があります。ただし、繰戻還付の適用は資本金1億円以下の中小法人等に限られます。
なお、「繰越控除」における欠損金の繰越期間は9年でしたが、30年4月以後に開始する事業年度で生じる欠損金から10年になります。また、中小法人等以外については控除額に制限がありますが、30年4月以後の開始事業年度から所得金額の50%が控除限度額となります。
年末調整で保険料控除に必要な控除証明書
給与所得者が年末調整で保険料控除を受けるために必要となる控除証明書が送られてくる時期となりましたので、大切に保管しておきます。
◎生命保険料や地震保険料を支払った方……契約している保険会社から届く保険料倥除証明書。なお、メール等で交付を受けた電子的控除証明書等は、国税庁HPで「QRコード付控除証明書等」を作成し印刷することで年末調整での提出が可能。
◎国民年金保険料を支払った方……年金事務所から届く社会保険料(国民年金保唉料)控除証明書。
◎iDeCo (個人型確定拠出年金)の掛金を支払った方……「個人払込」の加入者に国民年金基金連合会から届く小規模企業共済等掛金払込証明書。
消費税率引上げによる家計負担は
安倍首相は本日の臨時閣議で、消費税10%への引上げを来年10月に予定通り実施する方針を表明するとともに、対策を指示する見通しです。
増税による消費の落ち込みなどが懸念されていますが、日銀の試算では、10%への引上げによる一般家計の直接的な負担増は5.6兆円ですが、飲食料品などに対する軽減税率の導入や教育無償化などで、負担は2.2兆円に軽減されると算出しており、前回の8%への引上げ時における負担増(8兆円)と比べて1/4程度になるとしています。
消費税率引上げに係る住宅の取得等
消費税率10%への引上げと軽減税率制度の導入まで、あと1年となりました。
◆来年3月までの請負契約等は経過措置の対象◆
住宅を取得等する場合は、原則として引渡し時点での消費税率が適用されるため、31年10月以後の引渡しであれば消費税率10%が適用されます。
ただし、経過措置により注文住宅などの請負契約については、31年3月までに契約を締結していれば、引渡しが31年10月以後になった場合でも8%が適用されます。また、分譲マンション等の売買契約でも、内外装や設備などについて購入者の注文に応じることができる場合は、同様の経過措置の対象となります。
なお、消費税は住宅の建物部分に対して課税され、土地にはかかりません。
◆消費税率10%時の住宅取得支援策◆
消費税率10%時の影響を緩和するための対策として、現時点で決まっている主な支援策は次のとおりです。
なお、住宅ロ一ン減税の拡張等も検討され ています。
◎すまい給付金……住宅取得者の収入に応じて給付金を支給する制度について、消費税率8%時は年収510万円以下の方を対象に最高30万円でしたが、消費税率10%時は年収775万円以下の方が対象となり、最高50万円に拡充されます。
◎住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置…直系尊属からの住宅取得等資金の贈与について、31年4月以後に契約し、住宅の取得対価等に消費税率10%が適用される場合は、非課税枠が最大2500万円(省エネ等住宅は3千万円)に拡充されます。
来月は「下請取引適正化推進月間」
毎年11月は「下請取引適正化推進月間」として、下請法(下請代金支払遅延等防止法)の普及・啓発が集中的に行われます(今年度の標語は「見直そう働き方と適正価格」)。
下請法では親事業者に対して、発注時の書面交付や、下請代金の支払期日を定めることなど4項目の義務と、買いたたき(著しく低い代金を不当に定める)や、受領拒否(注文した物品等の受領を拒む)など11項目の禁止行為を定めています。
今年は豪雨や地震などの災害が多発していることから、彼災した下請事業者に対して不当な取引条件の押しつけがないよう、親事業者の配慮等が求められています。
中小企業のための退職金制度「中退共」
中小企業退職金共済制度は、独自に従業員の退職金制度を設けることが困難な中小企業のために設けられた国の退職金制度で、(独)勤労者退職金共済機構が運営しています。
同制度は、中退共と退職金共済契約を結んだ事業主が毎月の掛金を納付し、従業員が退職した際に、中退共から従業員に直接、退職金が支払われる仕組みで、掛金は全額損金です。
なお、法人の役員でも、従業員として賃金の支給を受けている等の実態があれば、加入できます
2 9年分の平均給与は432万円
国税庁は「平成29年分民間給与実態統計調査」を公表しました。
◆平均給与は前年比2.5%増で5年連続増加◆
調査結果によると、1年を通じて勤務した給与所得者4945万人(男性2936万人、女性2009万人、平均年齡46.0歳、平均勤続年数12.1年)の平均給与は、前年比2. 5%増の432万円となり、5年連続で増加しました。男女別では、男性532万円、女性287万円です。
また、平均給与を事業所規模別にみると、従事員10人未満の事業所では352万円、10〜29人では415万円、30人以上では454万円となっています。
なお、給与所得者の給与階級別分布では、300万円超400万円以下が867万人(構成比17.5%)で 最も多く、次いで200万円超300万円以下が781万人(同15.8%)で、400万円以下の給与所得者は合計2733万人と全体の55.2%を占めています。
◆税額の約5割は1千万円超の給与所得者から◆
1年を通じて勤務した給与所得者が源泉徴収により所得税を納税した税額は9兆7384億円で、給与総額に占める税額の割台は4.89%でした。また、給与階級別の税額をみると、1千万円超の給与所得者は222万人で全体の4.5%にすぎませんが、その税額は合計5兆183億円で51.5%を占めます。
なお、昨年から給与収入が1千万円を超える場合の給与所得控除額は220万円が上限となっていますが、32年(2020年)以降は給与収入850万円 超の場合に195万円が控除額の上限となり、さらに税負担が増加します(特別障害者の方や22歳以下の扶養親族がいる方などは負担調整措置があります)。
年末調整で配偶者控除等を適用するには
今年から配偶者控除等の見直しにより、納税者本人の所得金額が1千万円(給与収入のみの場合は1220万円)以下であり、生計を一にする配偶者の所得金額が123万円(同201万円)以下の場合に、配偶者控除等の適用対象となります。
給与所得者が30年分の年末調整において、配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるためには、「平成30年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「源泉控除対象配偶者」欄への記載の有無にかかわらず、「平成30年分給与所得者の配偶者控除等申告書」を今年の最後に給与の支払を受ける日の前日までに提出することが必要となります。
★2018年10月のチェックポイント★
※年末にかけての販売計画や資金需要(販売促進費や賞与など)を精査し、売掛金回収の促進・与信管理の強化を行い、資金繰りを確認します。
※社会保険料の「算定基礎届」に基づく標準報酬月額は、原則10月支給給与から天引きします。
※税務調査が最も多い時期といわれています。いつ来られても対応できるよう証拠資料の整備を。
※有効求人倍率が高い水準を維持しています。年末の繁忙期に向けて、パー卜・アルバイトの手配は早いめにしておきます。