5月, 2014年
- 2014-05-30食品なども外国人向け免税販売の対象に
- 2014-05-28禁煙治療に保険は適用される?
- 2014-05-26労働保険”年度更新”手続きが始まります
- 2014-05-24万一に備えて定時株主会の開催を
- 2014-05-21収入印紙を貼り間違えた場合は
- 2014-05-19簡易課税制度の基礎と改正について
- 2014-05-16消費増税に伴う臨時給付措置はいつ実施?
- 2014-05-14雇用促進税制を適用する場合の手続きは
- 2014-05-12役員給与を改定する場合は
- 2014-05-10ゴルフクラブの入会金の税務処理
- 2014-05-07創業記念品等の給与課税
- 2014-05-05使用人に対する賞与の損金算入時期
- 2014-05-02消費税転嫁拒否等に関する大規模調査を開始
食品なども外国人向け免税販売の対象に
昨年、日本を訪れた外国人旅行者が初めて年間1万人を超え、今年は昨年を大幅に上回るペースで推移しており、外国人旅行者向け消費税免税制度の改正によって各地域の特産品などの販売増加が期待されています。
◆10月から食品などの消耗品も免税対象に◆
同税度は、外国人旅行者などに対して、免税店(輸出物品販売場)が通常生活で使用する物品を一定の方法で販売する場合に、消費税が免税される制度です。現行は、家電や装飾品、衣類など消耗品以外のもので、1万円超(1人1日1店舗あたりの合計額)の購入が免税対象となっています。
26年度税制改正により、対象品目が拡大され、今年10月から食品類、飲料類、薬品類、化粧品類などの消耗品も免税販売の対象になります。
◆消耗品を免税販売する場合の要件は◆
新たに対象となる消耗品は、5千万円超50万円以下(1人1日1店舗あたりの合計額)の購入が免税対象となり、次の方法で販売する必要があります。
① 購入者のパスポート等に購入記録票(免税物品の購入の事実を記載した書類)を貼り付けて、割印をすること。
② 購入者から「消耗品を購入した日から30日以内に輸入する旨を誓約する書類」の提出を受けること。
③ 指定された方法によって包装されていること(袋または箱による包装で開封した場合に開封したことがわかるシールで封印することなど)。
なお、免税店を開設するには、販売店ごとに事業者の納税地を所轄する税務署長の許可を受ける必要があります(一定の条件あり)。
禁煙治療に保険は適用される?
毎年5月31日は「世界禁煙デー」、5月31日~6月6日は「禁煙週間」となります。
禁煙方法の一つに、医師の指導のもとで行う禁煙治療がありますが、ニコチン依存症と診断されること等の一定条件を満たす場合は、治療に健康保険が適用されます(過去1年以内に保険適用での禁煙治療を受けている場合は自由診療)。
また、禁煙治療にかかる費用や医師の指示により購入した医薬品は、医療費控除の対象になりますので、領収書等を保管しておきましょう。
労働保険”年度更新”手続きが始まります
労働保険(雇用・労災保険)の年度更新の申告書が今月末頃に届きます。今年の手続きは、6月2日~7月10日までですが、社会保険の算定基礎届の時期と重なるので早めの準備を心掛けます。
年度更新は、既に納付した前年度の保険料を確定した賃金総額に基づき精算するとともに、賃金総額の見込み額で算定した今年度の概算保険料について、申告・納付を行う手続きです。
保険料は、毎年4月~3月の1年間に支払われる全ての労働者(雇用保険は被保険者)の賃金総額(給与、賞与、手当など)に、事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定します。
なお、保険料率は昨年と変わりません。
万一に備えて定時株主会の開催を
3月決算法人は決算や納税、役員の選任・退任等について、定時株主総会(事業年度終了後原則2カ月以内)を開催する時期になりました。
議事録等の作成だけで済ませる会社もありますが、一部株主との間でトラブルが生じたときは、株主総会決議の無効を訴えられる恐れがありますので、万一に備えて開催をお勧めします。
また、議事録を作成しないで、役員給与の増額や退職慰労金を支給すれば税務上否認される場合がありますので注意が必要です。
なお、役員の改選等があった場合は速やかに商業登記簿の変更登記を行い、議事録は10年間の保存が義務付けられています。
収入印紙を貼り間違えた場合は
今年4月から、領収書等(金銭又は有価証券の受取書)に記載された受取金額が5万円未満であれば、印紙税は非課税となりました。
印紙税を納付する必要がない文書に誤って収入印紙を貼ってしまった場合や、定められた税額を超えた収入印紙を貼ってしまった場合には、所轄税務署で還付を受けることができます。
ただし、収入印紙を文書から剥がしたり、貼り付けた部分を切り取ってしまうと還付が受けられなくなりますので、ご注意ください。
簡易課税制度の基礎と改正について
◆簡易課税制度の基礎と注意点◆
消費税の納税額は原則、課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を控除した金額となりますが、前々事業年度の課税売上高が5千万円以下の場合は、簡易課税制度を適用することができます(適用する課税期間の前日までに届出書の提出が必要)。
簡易課税制度は、売上に係る消費税額に事業区分ごとに定められたみなし仕入率(小売業80%、サービス業50%など)を乗じた金額が仕入れ等に係る消費税額となるため、簡便的に納税額を計算することができる制度ですが、同制度を選択した場合は、2年間以上の適用が必要となります。
また、多額の設備投資などを行い、原則課税で計算すれば還付が受けられる場合でも、簡易課税では受けられないことなどに注意しましょう。
◆みなし仕入率の改正と経過措置◆
26年度改正では、簡易課税のみなし仕入率について、金融業・保険業を50%(現行60%)、不動産業を40%(現行50%)とする改正が行われ、27年4月以後に開始する課税期間から適用されます。
この改正には経過措置があり、26年9月30日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していれば、届出書に記載した「適用開始課税期間」の初日から2年間に開始する課税期間(簡易課税を適用しなければいけない期間)については、改正前のみなし仕入率が適用されます。
例えば、3月末決算の不動産業者が26年9月30日に届出書を提出した場合、27年4月~29年3月までの2年間は、みなし仕入率が50%となります。
消費増税に伴う臨時給付措置はいつ実施?
消費税率の引上げに伴い、低所得者の方(市町民税の均等割が課税されていない)を対象に1人1万円(年金受給者等は5千円加算)を支給する「臨時福祉給付金」や子育て世帯(26年1月分の児童手当の受給者)に対して対象児童1人につき1万円を支給する「子育て世帯臨時特例給付金」が実施されます。
申請の受付や支給の開始時期は、各市町村によって異なりますが、住民税の確定が6月頃になることから、7月頃に実施する所が多いようです。
雇用促進税制を適用する場合の手続きは
雇用促進税制は、適用年度に雇用者数(雇用保険一般被保険者)を前年度と比べて5人以上(中小企業は2人以上)、かつ、雇用保険増加割合10%以上などの一定要件を満たす場合に増加数1人当たり40万円の税額控除(限度あり)できる制度で、26年度税制改正により適用期間が2年延長されました(28年3月までに開始する各事業年度)。
同制度を適用する場合は、事業年度開始後2カ月以内に「雇用促進計画」をハローワークに提出する必要がありますので、注意しましょう。
なお、所得拡大促進税制(雇用者の給与等支給額を一定割合以上増加させた場合に税額控除ができる)選択適用となります。
役員給与を改定する場合は
◆役員給与を全額損金算入するには◆
役員給与を全額損金に算入するためには原則、定期同額給与(支給期間が1カ月以下の一定期間毎で、その事業年度の支給額が同額)であることが要件となっており、支給額を改定する場合は、通常、決算後3カ月以内に開催する株主総会の決議により改定する必要があります。
事業年度の中途で、利益調整目的や一時的な資金繰りなどのために役員給与を改定した場合は、損金不算入となる金額が生じることになりますが、「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(業績悪化改定事由)」や「職制上の地位の変更、職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(臨時改定事由)」などの事由による減額改定については、全額損金算入できます。
◆事績悪化改定事由には客観的な事情が必要◆
「事績悪化改定事由」とは、*財務諸表の数値が相当程度悪化した場合、*第三者の利害関係者(株主、債権者、取引先)との関係上、減額せざるを得ない事情が生じている場合、*現状では売上などの数値的指標が悪化しているとは言えないが、客観的な状況(主要な得意先が手形の不渡りを出したなど)から、今後著しく悪化することが避けしられない場合など、客観的な事情があれば該当します。
なお、法人税率は近年引下げ傾向にある一方、昨年から給与所得控除額に上限(1500万円超は245万円)が設けられ、28年には1200万円超で230万円、29年以降は1000万円超で220万円が上限額になるなど、所得税が増税されることも考慮して役員給与を決めましょう。
ゴルフクラブの入会金の税務処理
法人がゴルフクラブに対して支出した入会金については、次のように取り扱われます。
(1) 法人会員として入会する場合
入会金は資産として計上します。ただし、記名式の法人会員で名義人である役員や使用人が法人の業務に関係なく利用するためこれらの者が負担すべきものであると認められるときは、給与とされます。
(2) 個人会員として入会する場合
入会金は個人会員である役員や使用人に対する給与となります。ただし、無記名式の法人会員制度がないため個人会員として入会し、法人の業務の遂行上必要であるため法人の負担すべきものであると認められるときは、法人の資産として計上することが認められます。
創業記念品等の給与課税
創業50周年等の区切りを記念して従業員に対し記念品等を支給することは、一般的に行われているものであり、①社会通念上記念品としてふさわしいものでありかつ、価額が1万円以下のものであること、②一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであること、のいずれにも該当するものについては、給与等として課税しなくてもよいこととされています。
ただし、この取扱いを受けるのは記念品に係る経済的利益に限られるため、記念品に代えて支給する金銭については、給与等として課税の対象になります。また、商品券の支給が行われる場合、その支給を受けた者は商品券と引き換えに、商品を自由に選択して入手することができ、金銭による支給と異ならないため、これも給与等として課税の対象になります。
使用人に対する賞与の損金算入時期
法人が使用人に対して支給する賞与(使用人兼務役員に対して支給する賞与のうち使用人としての職務に対応する部分の金額を含む)は、その支払いをした日の属する事業年度に損金に算入します。ただし、次に掲げる賞与は未払いであっても損金に算入することが認められています。
(1)労働協約又は就業規則により定められている支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額が通知されているもので、かつ、その支給予定日又はその通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金処理したものに限る)…
その支給予定日又はその通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度
(2)次に掲げる要件のすべてを満たす賞与…使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度
イ.その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること。(パートタイマーや臨時職員とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに支給額の通知を行ったかどうかを判定する)
この場合、支給要件が「支給日に在職していること」とされている場合の支給額の通知は、ここでいう「通知」には該当しません。
ロ.イの通知をした金額を通知したすべての使用人に対しその通知した日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。
ハ.その支給額につきイの通知した日の属する事業年度において損金経理をしていること。
なお、未払いの賞与に係る社会保険料については、支払義務が確定していないため未払経緯をしても損金算入することはできません。
消費税転嫁拒否等に関する大規模調査を開始
中小企業庁と公正取引委員会は、消費税の転嫁拒否等に関する大規模な書面調査を実施します。
この調査では、転嫁拒否行為について把握するため、全国の中小企業・小規模事業者等(売手側)に対して調査票が送付されます。また、大規模小売事業者及び大企業等(資本金1億円以上の買手側)の約4万事業者に対しては、回答義務を課した調査票が送付されます。
なお、経済産業省が実施した価格転嫁状況に関する調査によると、「全て転嫁できいる」と回答した事業者は、事業者間取引で79.4%、消費者向け取引では72.1%となっており、「まったく転嫁できていない」は、両取引ともに3.7%でした。