10月, 2019年
- 2019-10-30一般NISAの非課税期間が終了した場合
- 2019-10-28国外居住親族に係る扶養控除等の適用
- 2019-10-25相続放棄等をする場合の「熟慮期間」
- 2019-10-23平成30年度の黒字申告割合は約35%
- 2019-10-21年末調整で提出が必要となる申告書を確認
- 2019-10-18年末調整で必要となる控除証明書
- 2019-10-16次世代住宅ポイント制度の申請期限等は
- 2019-10-15災害により損害を受ける場合の税務
- 2019-10-11中小事業者の売上・仕入税額の計算特例
- 2019-10-09個人事業主の青色申告特別控除の改正
- 2019-10-07軽減税率補助金の申請で提出する契約書等
- 2019-10-0410月から始まる主な制度(消費税関連以外)
- 2019-10-02平成30年分の平均給与は441万で6年連続増
一般NISAの非課税期間が終了した場合
一般NISAの非課税期間は最長5年間のため、平成27年(2015年)分は今年末で終了します。
NISA口座内の上場株式等を売却せずに非課税期間終了後も保有し続ける場合は、その年末時点での時価を取得価額として、
①令和2年(2020年)分のNISA口座に移管(ロールオーバー)、
②特定口座などの課税口座に移管 ができます。
①を選択した場合
引き続き5年間非課税となりますが、ロールオーバーした分だけ非課税投資枠(120万円)を使用します。(上場株式等の時価が120万円を超えている場合でも、すべてのロールオーバー可能)。
なお、ロールオーバーをする場合は予め手続きが必要となります。
国外居住親族に係る扶養控除等の適用
国外居住親族について扶養控除等を適用する方
扶養控除等申告書を提出する際に「親族関係書類(親族であることを証明する一定書類)」を提出する必要があります。
また、年末調整を行う際には「送金関係書類(親族の生活費等を支払ったことを明らかにする一定の書類)」を提出する必要があります(提出がない場合は扶養控除等の適用はできません)。
なお、送金関係書類は、*外国送金依頼書の控え、*カードの利用明細書などが該当します。
相続放棄等をする場合の「熟慮期間」
政府は、台風19号による災害を「特定非常災害」に指定しました。
これに伴い、被災者の権利や利益の保全等を図るため、運転免許などの許認可等に係る有効期限の延長や、期限内に履行されなかった届出等の義務の猶予など、行政手続きに関する特別措置が適用されます。
この特別措置により、相続放棄等の熟慮期間についても延長が行われます。
◆「相続放棄」と「限定承認」
被相続人(亡くなった方)の財産を相続する場合、相続人は現預金や主地等の財産だけではなく、暦金等の債務も含めて相続することになります。これを「単純承認」といいます。
一方、借金等の債務が財産より明らかに多い場合などは「相続放棄」をすることで、被相続人の全ての財産と債務を引き継がないことができます。
また、旨金等が不明な場合などに、相続で得た財産を限度として債務を引き継ぐ「限定承認」という方法もあります(手続きが煩雑なため注意が必要)。
◆相続放棄等をする場合の「熟慮期間」
相続人が相続放棄や限定承認を選択する場合は原則、「相続の開始があったことを知った時から3ヵ目以内」に家庭裁判所でその旨を申述する必要があり、この期間を「熟慮期間」といいます。
今回の特別指置では、特定非常災発生日(令和元年年10月10日)において、災害救助法が適用された区域に住所を有していた相続人を対象に、熟慮期間が令和2年5月29日まで延長されます。
なお、熟慮期間内に相続放棄等をしなかった場合は原則、単純承認をしたものとみなされます。
平成30年度の黒字申告割合は約35%
国税庁によると、平成30年度における法人税の申告件数292万9千件のうち、黒字申告は101万7千件(同2.8%増)で、黒字割合は34.7% (同0.5ポイント増)と8年連続で上昇しました。
また、黒字申告1件あたりの所得金額は7216万円 (同0.9%増)です。
一方、6割超を占める赤字法人1件あたりの欠損金額は683万円(同5.1%減)となっています。
なお、欠損金が生じた場合には、翌年度以降に繰越して所得から控除する「繰越控除」や、前年度の所得と相殺して法人税の還付を受ける「繰戻還付(資本金1億円以下の中小法人等に限る)」が適用できます。
年末調整で提出が必要となる申告書を確認
年末調整は「扶養控除等(異動)申告書」などに基づいて行いますので、年の中途で扶親親族の数などに異動があった場合に異動申告が行われいるかなどを早めに確認します。
また、配偶者控除又は配偶者特別控除は、給与所得者本人の合計所得金額が1千万円以下であり、生計を一にする配偶者の合計所得金額が123万円 以下の場合に適用できますが、年末調整において適用を受けるためには、「配偶者控除等申告書」の提出が必要となります。
年末調整で必要となる控除証明書
給与所得者が年末調整で保険料控除を受けるために必要な控除証明書が送られてくる時期です。
①生命保険料や地震保険料を支払った方は、保険会社から届く「保険料控除証明書」、
②国民年金保険料を支払った方は、年金事務所から届く「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」、
③iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金を支払った方(個人払込の加入者)は、国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」
を大切に保管しておきましょう。
次世代住宅ポイント制度の申請期限等は
消費税率引上げに伴う住宅購入支援の一つとして創設された次世代住宅ポイント制度は、一定の省エネ、耐震、バリアフリー性能等を有する住宅の新築やリフォームを行う場合に、さまざまな商品と交換できるポイントが発行される制度です(来年3月までに契約等した場合などが対象)。
国交省によると、ポイント発行申請が開始された本年6月3日~8月末までの累計で1万618戸(新築8869戸、リフォーム1749戸)に対して、合計31億5957万ポイントが発行されました。
なお、申請期限は予算の執行状況に応じて公表するとしています(遅くとも来年3月末まで)。
また、商品交換申込は来年6月末までです。
災害により損害を受ける場合の税務
台風19号により各地で甚大な被害が出ています。心よりお見舞い申し上げますとともに一日も早い再建をお祈り致します。
現在、災害救助法が13都県315市区町村に適用され、災害復旧貸付やセーフティネット保証4号などの被災中小企業対策が実施されます。
◆法人の資産が損害を受けた場合
◎滅失・損壊した資産等・・・・・・
商品や店舗などが滅失又は損壊した場合の損失や、損壊した資産の取壊し、土砂等を除去する費用は損金になります。
◎資産の評価損・・・・・・
棚卸資産や固定資産等に著しい損傷が生じ、時価が帳簿価額を下回る場合には、その差額を評価損として計上できます。
◎復旧のための費用・・・・・・
損傷を受けた固定資産(評価損を計上したものを除く)について、原状回復の補修や、被災前の状態を維持する補強工事などに支出した費用は、修繕費として損金になります。
◎災害損失欠損金の繰戻しによる還付・・・・・・
災害のあった事業年度において災害損失欠損金額がある場合には、その事業年度開始前2年以内(青色申告ではない場合は前1年以内)に開始した事業年度に納付した法人税額
から、還付請求ができます。
◆個人の住宅や家財などが損害を受けた場合
◎所得税の軽減又は免除・・・・・・
住宅や冢財などに損害を受けた方は、「雑損控除(所得控除)」又は「災害減免法による所得税の軽減免除(税額控除)」のどちらか有利な方法を選択することで、所得税の全部又は一部を軽減することができます。
◎住宅ローン控除の特例・・・・
災害によって住宅ローン控除の適用を受けている住宅用冢屋に居住できなくなった場合、その後も引き続き控除の適用を受けることができます。
中小事業者の売上・仕入税額の計算特例
消費税の軽減税率制度が導入されたことに伴い、課税事業者が仕入税額控除の適用を受けるには、区分経理に対応した帳簿及び区分記載請求書等の保存が要件となります。
また、消費税額の計算は、売上げと仕入れを税率ごとに区分して記帳した帳簿等に基づき行いますが、税率ごとの区分が困難な中小事業者(前々事業年度における課税売上高が5千万円以下の事業者)については一定期間、以下の特例により計算できます。
◆売上税額の計算の特例
売上げを税率ごとに区分することが困難な中小事業者は、課税売上げに次のいずれかの割合を乗じて軽減税率の対象となる課税売上げを算出できます。
◎小売等軽減仕入割合の特例 (卸売・小売業)・・・・・・
卸売・小売業に係る課税仕入れに占める軽減税率の対象となる売上げにのみ要する課税仕入れの割合。
◎軽減売上割合の特例・・・・・・
通常の連続する10営業日の課税売上げに占める同期間の軽減税率の対象となる課税売上げの割合。
◎上記が困難な場合 (主に軽減対象品目を販売する事業者)・・・・
割合を50 %とみなして計算。
◆仕入税額の計算の特例
仕入れを税率ごとに区分することが困難な中小業者は、次のいずれかの特例が認められます。
◎小売等軽減売上割合特例(卸売・小売業)
卸売業・小売業に係る課税売上げに占める軽減税率対象となる課税売上げの割合により、仕入税額をできる。
◎簡易課税制度の届出の特例・・・・・
課税期間中に届出書を提出することで簡易課税制度の適用が可能。
個人事業主の青色申告特別控除の改正
令和2年分以後、所得税の基礎控除が38万円から48万円(所得制限あり)に引上げられますが、青色申告の個人事業主が適用できる65万円の青色申告特別控除は55万円に引下げられます。
ただし、①e-taxによる電子申告、又は②仕訳帳、総勘定元帳の電子帳簿保存(一定要件の下、帳簿を電子データで備付け及び保存)を行った場合は、従来どおり65万円の控除が受けられます。
なお、②を行う場合は原則、課税期間の開始3カ月前(個人は前年9月末)までに税務署へ承認申請書の提出が必要ですが、令和2年分に限り、申請書を2年9月29日までに提出し、同年末までに電子データで保存等を行えば認められます。
軽減税率補助金の申請で提出する契約書等
複数税率対応レジの導入等をした場合の「軽減税率対策補助金」は、要件緩和により9月30日までに契約等の手続を完了していれば、設置・支払いが今月1日以降でも補助対象となりましたが、
この場合は、補助金申請期限の12月16日までに設置・支払いを完了している必要があります。
また、「9月30日までに契約を締結したことがわかる書類」の提出が必要となりますが、
見積書や発注書のみの場合や、申告者の押印がないものなどは認められませんので、ご注意ください。
10月から始まる主な制度(消費税関連以外)
来月から消費税率引上げに関連する制度以外にも、以下のような制度等が実施されます。
◎地域別最低賃金の改定・・・・・・
都道府県ごとに定められている地域別最低賃金が改定され、すべての地域で26円以上(26~29円)の引上げとなります。
改定額の発効日は各都道府県で異なりますが、10月1日~6日までに順次発効されます。
◎地方税共通納税システムの運用開始・・・・・
パソコンから全ての地方公共団体に地方税の電子納税ができるシステムが開始され、複数の地方公共団体への一括納付や、地方公共団体が指定する金融機関以外からの納付などが可能になります。
手数料は無料です。
◎電子帳簿等保存制度の改正・・・・・・
スキャナ保存の承認を受けている保存義務者は、承認を受ける前に作成等した重要書類(領収書など)について、適用届出書を提出した場合には一定要件を満たすことで、スキャナ保存が可能となります。
また、新たに業務を開始した個人事業主に対する承認申請書の提出期限の特例(業務開始から2カ月以内)が創設されます。
◎電気通信事業法の改正・・・・・
携帯電話料金に関する新たなルールとして、端末と通信料金のセット割引の禁止や、2年定期契約の解約金を1千円以下にするなどの規制が行われます。
10月以降の契約から適用され、既存の契約は従来どおりです。
◎水道法の改正・・・・・・
水道の基盤強化を図るため、地方公共団体が水道事業者等としての位置付けを維持しつつ、水道施設に関する公共施設等運営権(施設の所有権を地方公共団体が所有したまま、運営権を民間事業者に設定する方式)を民間事業者に設定できる仕組みの導入などを行います。
平成30年分の平均給与は441万で6年連続増
国税庁が公表した民間給与実態統計調査によると、1年間勤務した給与所得者5026万人(平均年齡46.4歳、平均勤続年数12.2年)の平均給与は、前年比2.0%増の441万円(男性545万円、女性293万円)となり、6年連続で増加しました。
給与階級別分布をみると、300万円超400万円以下が最も多く867人(構成比17.2%)、次いで200万円超300万円以下が762人(同15.2%)であり、400万円以下の給与所得者は合計2733万人と全体の55.2 %を占めています。
なお、1千円超の給与所得者数は249万人で5.0%にすぎませんが、源泉徴収された所得税額は全体の54.6 %(5兆7582億円)を占めます。