改正論点
- 2020-02-294月から施行される民法(債権法)改正
- 2019-12-20令和2年度税制改正大綱(主な個人関連)
- 2019-09-2010月前後の取引に係る消費税率Q&A
- 2019-09-13来年1月から変わる個人所得課税
- 2019-09-11軽税税率が適用対象となる「新聞」とは
- 2019-08-19軽減税率の対象となる「飲食料品」Q&A
- 2019-07-19「中小企業強靭化法」が7月16日施行
- 2019-07-12節税保険の取扱いを見直した改正通達
- 2019-07-05令和元年分の路線価が7/1(月)公表
- 2019-06-107月から施行される民法(相続法)改正
- 2019-04-15消費税率10%時の住宅取得支援策
- 2019-04-084月から適用される主な税制(中小企業関連)
- 2019-04-054月から適用される主な税制(相続•贈与関連)
- 2019-04-03消費税転嫁対策特惜法ガイドラインの改正
- 2019-03-25来月から開始となる主な制度(税制以外)
- 2019-03-01教育資金贈与の非課税措置の見直し
- 2019-02-20節税保険の税務上の取扱いを貝直す方針
- 2019-01-111月から開始となる主な制度等は
- 2018-12-28平成31年度税制改正大網(主な中小企業関連)
- 2018-12-21平成31年度税制改正大網(主な個人関連)
4月から施行される民法(債権法)改正
民法のうち契約等に関するルールを定めた債権関係の改正が本年4月に施行されます。
多くの改正項目がありますが、主な改正は以下のとおりです。
◎個人保証人の保護
①個人が根保証契約を締結する場合、極度額(保証の上限額)を定めなけれは保証契約は無効とする、
②事業用融資の保証人に第三者の個人がなる場合について、公証人による保証意思確認の手続を新設し、保証人になる方が公正証書を作成して保証債務を負う意思表示しなけれは保証契約は無効となります。
◎消滅時効の見直
債権者が一定期間権利を行使しない場合に債権が消滅する「消滅時効」について、職業別の短期消滅時効(例えば、宿泊や飲食代金は1年、弁護主報酬や商品の売掛代金は2年など)を廃止し、原則として権利を行使てきることを「知った時から5年間」となります。
◎定型約款に関する規定の新設
インターネット販売や保険契約なとの不特定多数を相手方とした画ー的な取引に用いる「定型約款」を契約の内容とする旨の合意があった場合などは、顧客が内容を認識していなくても伺別の条項について合意したものとみなされます。
ただし、信義則に反して顧客の利益を一時的に害する不当な条項は無効となります。
◎法定利率の見直し
喫約の当事者間に貸金等の利率や遅延損害金に関する合意がない場合に適用される法定利率を、年3% (現行5%)に引下げます。
◎賃貸借に関するルールの明文化
①敷金は貸借終了時に賃料なとの債務の未払分を差し引いた額を返還する、
②借主は通常損耗や経年変化について原状回復をする必要はないことが明記されました。
令和2年度税制改正大綱(主な個人関連)
◎NISA制度の見直し等・・・
①一般NISAは、令和6年から低リスクの投資信託などに限定した年20万円の積立枠と、上場株式なども投資対象となる年102万円の枠の2階建てに見直す ②つみたてNISAは5年延長 ③ジュニアNISAの口座開設を令和5年までとします。 |
◎未婚のひとり親に対する税制上の措置・・・
未婚のひとり親について、合計所得金額が500万円以下で、生計を一にする子を有する場合は、募婦(夫)控除が適用できます。
(令和2年分以後の所得税に適用。)
◎寡婦 (夫) 控除の見直し・・・
①募婦に寡夫と同じ所得制限(合計所得金顫500万円以下)を設ける、 ②住民票に事実婚の記載がある場合は控除の対象外とする ③子ありの寡夫の控除額を子ありの募婦と同額にします。令和2年分以後の所得税に適用。 |
◎所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応・・・
①工地等の登記簿上の所有者が亡くなり、相読登記がされていない場合 市町村長は「現に所有している者(相続人等)」に対して、条例で定めるところにより、氏名、住所などを申告させることができます(令和2年4月以後の条例の施行日後に適用)。 ②固定資産の所有者が明らかとならない場合 その資産の使用者を所有者とみなして、固定資産税を課します(令和3年度分以後の固定資産税に適用)。 |
◎低未利用土地を譲渡した場合の特別控除の創設・・・
都市計画区域内にある所有期間5年超の低未利用土地等を譲渡(譲渡価額500万円以下に限る)した場合に長期譲渡所得から100万円を控除します。
土地基本法等の改正法の施行日又は令和2年7月1日のいずれか遅い日から4年12月までの譲渡に適用。
10月前後の取引に係る消費税率Q&A
来月から消費税率の引上げにより、事業者が行う資産の譲渡等に係る消費税には原測10% (軽減税率対象資産の譲渡等は8%)が適用されます。
◆消費税率の適用に関するQ&A
Q.9月までに締結した契約に基づいて行う10月以後の取引は?
A.9月までに締結した契約に基づき行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等であっても、10月以後に行われるものは、原則10%が適用されます。
ただし、経過指置が適用される一定の取引については旧税率 (8%)が適用されます。
Q.取引先が9月に出荷した商品(出荷基準により8%で請求)について、検収基準により仕入れを計上しているため1 0月の仕入計上となる場合の仕入税額控除は?
A.税率8%で仕入税額控除の計算を行います。
Q.1年間のサービス提供契約を9月に締結し、1年分の対価を受領している場合は?
A.役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、役務の全部を完了した日とされていますので、そのサーピスが年ごとに完了するものである場合、完了する日は来年8月となるため、原則10%が適用されます。
ただし、中途解約時の未経過部分について返還の定めがない契約であり、事業者が継続して1年分の対価を受領した時点の収益として計上している場合は、8%を適用できます。
Q.不動産の賃貸契約(経過措置の適用はない)について、10月分の賃貸料を9月に前受する場合は?
A.10月分の賃貸料は10月以後の資産の貸付けとして受領するものなので、10%が適用されます。
来年1月から変わる個人所得課税
令和2年(2020年) 1月から、働き方の多様化を踏まえた個人所得課税の見直しが行われ、すべての納税者に対して適用される「基礎控除」の控除額を引上げるとともに、「給与所得控除」及び「公的金等控除」の控除額引下げなどが適用されます。
♦見直しのポイント
◎基礎控除の見直し・・・・・・
控除額(現行38万円)を10万円引上げて、48万円になります。
ただし、所得金額が2400万円超2500万円以下の方は、所得金額に応じて控除額が逓減します(2450万円以下は32万円、2500万円以下は16万円)。
なお、2500万円超の方は基礎控除が適用できなくなります。
◎給与所得控除の見直し・・・・・・
控除額を一律10万円引下げます。
また、給与収入が850万円を超える場合控除額は195万円が上限となります(現行は給与入が1千万円を超える場合に220円が控除上限 )。
ただし、850万円を超える方が特別障害者に該当する場合や、22歳以下の扶養族が同一生計内にいる場合などは、給与収入(1千円超の場合は1千万円)から850万円を控除した金額の10 %を給与所得から控除できます。
なお、850万円以下の方は、基礎控除の引上げにより税負担の増加はありません。
公的年金等控除の見直し・・・・・・
控除額を一律10万円引下げ、公的年金等収入が1千万円を超える場合の除額に195万5千円の上限が設けられます。
また、公的年金等収入以外の所得金額が1千万円超2千万円以下である場合は控除額を10万円引下げ、2千万円超の場合は20万円引下げられます。
軽税税率が適用対象となる「新聞」とは
来月から消費税の軽減税率が適用される「新聞の譲渡(販売)」とは、定期購読契約を締結した週2回以上発行される新聞(一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化他等に関する一般社会的事実を掲載するもの)が対象となり、業界紙など要件を満たすものであれば対象です。
一方、コンビニなどで販売される新聞は、定期購読契約ではないため対象外です。
また、インターネットで配信される電子版の新聞は「新聞の譲渡」ではなく「電気通信利用役務の提供」に該当することから対象外となります。
そのため、紙と電子版のセット契約の場合は、金額を区分した上で紙は8%、電子版は10%が適用されます。
軽減税率の対象となる「飲食料品」Q&A
本年10月から消費税率引上げとともに、飲食料品 (酒類・外食を除く)と一定の新聞を対象とした軽率税率制度が実施されます。
◆「飲食料品」に関するQ&A
Q.軽減税率の適用対象となる「飲食料品」とは?
A.飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)をいい、人の飲用又は食用に供されるものです。また、食品と食品以外の資産が一体として販売されるもののうら、税抜価額が1万円以下で、食品に係る部分の価額の占める割合が2/3以上である場合も含まれます。
Q.みりんや料理酒等の販売は対象?
A.酒類に該当する「みりん」は対象外です。ただし、酒類に該当しない「みりん風調昧料(アルコール分が一度未満)」や、「料理酒などの発酵調味料 (アルコール分が一度以上だが塩などを加えることで飲用できないようにしたもの)」は対象です。
Q.栄養ドリンク(医薬部外品)の販売は対象?
A.「医薬品」、「医薬部外品」、「再生医療等製品」は食品に該当しないため対象外となります。なお、医薬品等に該当しない栄養ドリンクは対象です。
Q.食品の製造において使用する「添加物」は対象?
A.食品衛生法に規定する「添加物」は対象です。
Q.飲食料品を販売する際に使用する包装材料や容の取扱いは?
A.飲食料品の販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものである場合は、包装材料等も含め対象となります。なお、贈答用の包装などで別途対価を定めている場合、その包装材料等の譲渡は対象となります。
「中小企業強靭化法」が7月16日施行
先月閉会した通常国会において成立した「中小企業強靱化法」が、7月16日から施行となります。
◆災害対策など事業継続力強化の取組を支援
同法は、中小企業の災害対応力を高めるとともに、円滑な事業承継を促進するため、
①事業継続力強化に関する計画(事業継続力強化計画)の認定制度を創設し、認定事業者に対して支援措置を講じる「改正中小企業等経営強化法」、
②今年度税制改正で個人事業者の事業承継税制が創設されたことに伴い、遺留分に関する民法特例の対象を拡大した「改正承継円滑法」などが盛り込まれています。
このうら①は、自然災害などの被害を受けた際の事業継続計画(BCP)の策定を支援するものです。
中小企業者が単独又は複数事業者で連携して行う事業継続力強化計画を作成し、認定を受けることで、信用保証枠の追加や低利融資といった金融支援のほか、税制においても防災・減災設備を取得等した場合の支援措置が利用できます。
◆防災・減災設備を取得等した場合の税制措置
税制の支援措置は、認定を受けた事業継続力強化計画に基づき、一定の防災・減災設備(特定事業継続力強化設備等)を取得等して事業の用に供した場合に、取得価額の20%の持別償却が適用できます。
対象となる設備は、自冢発電機や排水ホンプ等の「機械装置(100万円以上)」、制震・免震ラックや衛生電話等の「器具備品(30万円以上)」、防火シャッターや排煙設備等の「建物附属設備(60万円以上)」です。
なお、本税制は7月16日から令和3年(2021年) 3月までの間に取得等した設備に適用されます。
節税保険の取扱いを見直した改正通達
国税庁は、法人税基本通達等を一部改正し、法人向け定期保険等の取扱いを見直しました。
◆最高解約返戻率に応じて一定割合を資産計上
改正通達では、法人が契約し、役員等を被保険者とする定期保険及び第三分野保険(がん保険や医療保険等)の保険料に関する取扱いを統一した上で、保険期間が3年以上の定期保険等であり、最高解約返戻率が50%を超えるものに加入して支払った保険料は、次のように最高解約返戻率に応じて一定割合を資産計上(損金算入を制限)します。
◎最高解約返戻率が50%超70%以下となる場合…
保険期間の前半40%に相当する期間は、支払保険料の40%を資産計上(60%を損金算入)します。
◎最高解約返戻率が70%超85%以下となる場合…
保険期間の前半40%に相当する期間は、支払保険料の60%を資産計上(40%を損金算入)します。
◎最高解約返戻率が85%超となる場合…
保険期間開始の最高解約返戻率となる期間の終了までは、「支払保険料×最高解約返戻率×70%(保険期間開始から10年経過までは90%)」を資産計上(残額を損金算入)します。
◆改正通達の適用時期は
改正通達は、7月8日(月)以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険の保険料について適用されます(解約返戻金相当額のない短期払の定期保険等は令和元年10月8日以後の契約に適用)。
なお、既契約の保険料への遡及適用はありません。
令和元年分の路線価が7/1(月)公表
国税庁は7/1(月)、令和元年分の路線価を公表しました。全国の標準宅地(約32万地点)における評価基準額は全国平均で前年比1.3%のプラスとなり、4年連続で上昇しています。
♦相続等での土地評価額の基準となる路線価
路線価は相続税や贈与税において土地等の評価額を算定する際の基準となるもので、道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額です。
相続等で取得した土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があり、路線価方式は土地の形状等に応じて補正した路線価を面積に乗じて算出します。
一方、倍率方式は路線価が定められていない土地の評価方法となり、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。
平成27年以降、相続税の基礎控除額は「3千万円+600万円X法定相続人数」に引下げられていることから、相続財産で大きな割合を占める土地の評価額を把握しておくことが重要です。
♦「小規模宅地等の特例」の適用で評価減
また、被相続人の居住または事業用に使われていた宅地等を相続により取得した場合は、一定要件を満たすことで評価額を大幅に減頟できる「小規模宅地等の特例」の適用がポイン卜になります。
居住用宅地等については、同特例により330㎡まで評価額を80%減額できますが、適用できるのは原則、配偶者や被相続人と同居していた親族が取得した場合です。
ただし、配偶者や同居親族がいない場合に限り、相続開始前3年以内に持ち冢に居住したことがないなどの一定要件を満たす別居親族(いわゆる「家なき子」)であれば適用できます。
7月から施行される民法(相続法)改正
相続法を約40年ぶりに大幅に見直した民法等の改正が一部を除き、来月から施行されます。
なお、改正のうち配偶者居住権の創設は来年4月施行、法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設は来年7月10日施行となります。
♦来月から施行となる主な改正内容は
◎婚姻20年以上の夫婦間での居住用不動産の贈与等に関する優遇措置……
結婚期間が20年以上の夫婦間で、配偶者に対して居住用不動産を生前に贈与等した場合でも、原則として遺産分割における計算上、遺産の先渡し(特別受益)がされたものとして取り扱う必要がなくなり、配偶者はより多くの財産を取得することができます。
◎預貯金の払戻し制度の創設……
被相続人の預貯金について、相続人は遺産分割が終わる前でも一定の範囲で預貯金の払戻しを受けることができる制度が設けられます。
これによって、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済などの資金需要に対応できるようになります。
◎遺留分制度の見直し……
被相続人の遺言などにより遺留分(相続人のうち配偶者や子などが最低限度受け取れる遺産の割合)を侵害された相続人は、遺留分侵害額に相当する金銭を請求することができるようになります。
これによって、不動産などの現物の財産が共有状態になることを回避できます。
◎相続人以外の親族による特別の寄与の制度の創設……
相続人以外の親族(被相続人の子の配偶者など)が、無償で被相続人の介護や看病などを行った場合には、相続人に対して金銭の支払を請求することができるようになります。
消費税率10%時の住宅取得支援策
消費税率10%が適用される住宅の取得等(今年4月以降に契約して、引き渡しが10月以降になる場合)に対しては、以下の4つの支援策があります。
◎住宅ローン減税の拡充……
住宅ローンの年末残高の1%を10年間、所得税から控除する制度について、控除できる期間を13年間に延長します。
ただし、控除期間11〜13年目における各年の控除額は「ローン残高の1%」又は「建物購入価格X2%÷3」のいずれか小さい額となります。
令和2年(2020年) 12月までの間に入居した場合が対象です。
◎住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置の拡充……
直系尊属から住宅取得等に充てる資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、非課税枠を2500万円(省エネ等住宅は3千万円)に拡充します。
令和2年(2020年)3月までに契約した場合が対象です。
◎すまい給付金の拡充……
住宅を取得した方の収入に応じて給付金を支給する制度について、対象となる方の収入額が775万円以下(モデル世帯における目安額)までに拡大され、給付額も最大50万円に引上げられます。
令和3年(2021年)12月までに入居した場合が対象です。
◎次世代住宅ポイン卜制度の創設……
一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能等を有する住宅や、家事負担軽減設備(ビル卜イン食器洗機など)を設置した住宅の新築やリフォームを行う場合に、新築は最大35万円相当、リフォームは最大30万円相当のポイン卜が付与される制度が創設されました。
令和2年(2020年)3月までに契約等した場合などが対象です。
4月から適用される主な税制(中小企業関連)
◎研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)の見直し……
中小企業者等の試験研究費の12%を法人税額から控除(法人税額の25%が上限)する制度の上乗せ措置について、試験研究費の増加割合が8%を超える場合に控除率を最大17%とし、法人税額の35%を上限に控除ができます。
◎商業・サービス業・農林水産業活性化税制の見直し……
商業・サービス業等を営む中小企業者等が、認定経営革新等支援機関等の指導及び助言を受けて経営改善設備を取得等した場合に、30%特別償却又は7%税額控除(資本金3千万円超は税額控除の適用なし)が選択適用できる制度について、経営改善により売上高又は営業利益が年2%以上となる見込みであることの確認を認定経営革新等支援機関等から受けることが適用要件に加えられます。
◎中小企業経営強化税制の見直し……
中小企業者等が、特定経営力向上設備等の取得等をした場合に即時償却又は10%(資本金3千万円超は7%)税額控除が選択適用できる制度について、対象設備を見直し、発電設備のうち1/2超が売電に充てられる見込みの設備は対象から除外します。
◎中小企業者等の判定の見直し……
上記制度などの中小企業者向け特例措置が適用できる中小企業者等のうち、前3事業年度の所得金額の平均額が15億円を超える法人は「適用除外事業者」となります。また、「みなし大企業」の判定について、大規模法人の範囲に、*大法人(資本金5億円以上の法人等) の100%子法人、*100%グループ内の複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人が加えられます。
4月から適用される主な税制(相続•贈与関連)
◎個人事業者の專業承継税制(納税猶予制度)の創設……
31年1月から40年(2028年)12月の間に、個人事業者(不動産貸付事業等を除く)の事業用資産を相続又は贈与により取得して事業を継続する場合には、相続税又は贈与税の納税を全額猶予します(「承継計画」を都道府県に提出すること等が必要)。
なお、下記の特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例とは選択適用となります。
◎特定毐業用宅地害に係る小規模宅地等の特例の見直し……
事業用宅地等の相続税評価額を400㎡まで80%減額する特例の対象から、相続前3年以内に事業の用に供された宅地等(宅地上の事業用償却資産の価額が一定以上の場合は除く)を除外します。
31年4月以後の相続等に適用されますが、同日前から事業の用に供された宅地等には適用されません。
◎教育資金の一括贈与に係る非課税措置の見直し……
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、
*受贈者に所得要件を設け、前年の合計所得金額が1千万円を超える場合は適用除外(結婚・子育て資金贈与に係る非課税措置も同様)
*贈与者が亡くなった場合に、受贈者(23歳未満や在学中の場合などは除く)が相続開始前3年以内に本措置の適用を受けているときは、相続開始時点での残金を相続財産に加算します。
◎空き家を譲渡した場合の3千万円特別控除の拡充……
被相続人の居住用家屋や敷地等を相続等により所得後、空き家となっている一定の家屋等を譲渡した場合に譲渡所得から3千万円を特別控除する措置について、被相続人が要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所していた場合を適用対象に加えます。
消費税転嫁対策特惜法ガイドラインの改正
公取委は、今年10月の消費税率引上げ及び軽減税率の導入に伴い、消費税転嫁対策特別措置法のガイドラインを改正し、違反事例を追加しました。
(例①)「買いたたき」
消費税率引上げ前に税込価格で対価を定めている場合に、①そのことを理由として、又は②取引先からの対価引上げの要請や価格交渉の申出がないことを理由として、対価を据え置く場合は「買いたたき」に該当します。
(例②)「〇%値下げ」等と表示したセールの注意点
価格設定のガイドラインを踏まえ、「10月1日以降〇%値下げ」等と表示したセールを実施する際に、
消費税率引上げ分を対価から減じる場合 協賛金の提供又は従業員等の派遣を要請する場合 |
来月から開始となる主な制度(税制以外)
◎働き方改革関連法……
*大企業について、時間外労働の上限を原則、月45時間、年360時間とする (中小企業は来年4月から施行)
*年次有給休暇の日数のうち年5日は、使用者が時季を指定して労働者に取得させることを義務付ける(年休が10日以上付与される労働者が対象)
*フレックスタイム制の拡充などが実施されます。
◎新たな外国人材受入れ制度……
深刻な人手不足の業種(特定産業分野)において、一定の技能や日本語能力がある外国人労働者の受入れ拡大を図るため、新たな在留資格「特定技能」を創設します。特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する1号と、熟練した技能を要する業務に従事する2号があります。
◎特許料等の軽減措置の拡充等……
持許料、蕃査請求料及び国際出願関連手数料の軽減措置について、 全ての中小企業を対象にするとともに、申請手続を大幅に簡素化します。一方、出願審査請求料は引上げられます。
◎在職老齡年金の支給停止基準額の改定……
60歳台前半の支給停止調整変更額と、60歳台後半と70歳以降の支給停止調整額が47万円に改定されます。
◎国民年金の産前産後期間の免除制度……
国民年金第1号被保険者が出産を行った際に、出産前後の4力月間の国民年金保険料が免除されるようになります(対象は出産日が31年2月1日以降の方)。
◎被保険者の70歳到達届の取扱い変更……
厚生年金の被保険者が70歳に到達した際に事業主が提出する「70歳到達届」について、一定要件に該当する場合は提出が不要になります。
教育資金贈与の非課税措置の見直し
親・祖父母等(受贈者の直系尊属)から、30歳未満の子・孫に対して教育資金を一括贈与した場合
受贈者ごとに1500万円(学校等以外に支払う費用は500万円)まで贈与税を非課税とする措置は、適用期限が今年3月末までとなっていましたが、31年度税制改正により見直しを行ったうえで、2年延長される予定です。
◆見直しは4月又は7月から適用
◎受贈者の所得要件設定……
受贈者に所得要件が設けられ、贈与する前年の合計所得金額が1干万円を超える場合には、適用できません。31年4月以後の贈与について適用。
◎贈与者死亡時の残額の取扱い……
教育資金管理契約終了前に贈与者が亡くなった場合において、受贈者が相続開始前3年以内に本措置の適用を受けているときは、死亡日相続開始時点での残額を相続財産に加算します(受贈者が23歳未満の場合や、在学中 の場合などは除く)。31年4月以後に贈与者が死亡した場合に適用(ただし、31年3月までに本措置の適用を受けた部分は含まない)。
◎教育資金の範囲の限定……
23歳以上の受贈者については、塾や習い事などの費用を対象外とします。31年7月以後に支払う教育資金に適用。
◎教育資金管理契約の終了事由の見直し……
現行、受贈者が30歳に達した場合は契約終了となりますが、30歳到達時に*学校等に在学中の場合、*教育訓練給付金の支給対象となる教肓訓練を受講中の場合は、終了しないことになります(ただし、40歳に達した場合には、その時点で終了)。31年7月以後に受贈者が30歳に達する場合に適用。
節税保険の税務上の取扱いを貝直す方針
国税庁は、中小企業経営者を中心に節税目的での加入が増えている経営者向けの定期保険(いわゆる経営者保険)について、税務上の取り扱いを見直す旨を生保各社に通知しました。
同保険は、経営者の死亡時に保険金が支払われる生命保険ですが、支払った保険料の全額を損金算入でき中途 解約時の返戻率が高く設定されていることから、節税効果の高い商品として生保各社から販売されていました。
国税庁は法人向け定期保険のうち、このような解約返戻率が高い商品における保険料の損金算入を制限する方針です。
具体的な取扱いは決まっていませんが、今後パブリックコメン卜を経て決定される見通しです。
1月から開始となる主な制度等は
◎国際観光旅客税の適用開始……
1月7日以後、日本から出国する方(日本人の海外渡航や、訪日外国人の帰国など)を対象に、出国1回につき1000円が課されます(航空券等の代金に上乗せして徴収)。なお、適用前に航空券等を購入している場合は原則、適用されません。
◎自筆証書遺言の方式緩和(1月13日施行)……
民法(相続法)改正により、自筆証書遺言に添付する財産目録については自書でなくてもよいものとされ、目録をパソコンで作成したり、通帳のコピーなどを添付できるようになります(財産目録の各頁に署名押印が必要)。
@e-Tax利用の簡便化……
個人納税者の方は、マイブンパーカードとICカードリーダライタを使用する「マイナンバー力一ド方式」と、IDとパスワ 一ド(税務署で職員と対面による本人確認を行った上で発行)による「ID・パスワ一ド方式」の2つの方式でe-Taxが利用できるようになります。
◎休眠預金等の発生開始……
金融機関で入出金等の取引が10年以上ない預金等(休眠預金等)を民間公益活動に活用する休眠預金等活用法(昨年1月施行)により、対象となる休眠預金等が今月から発生します。なお、休眠預金等となった場合でも、金融機関に通帳やキャッシュカード、本人確認書類などを持参することで引き出すことができます。
◎地震保険料の改正……
保険料は都道府県や建物の 構造によって異なりますが、全国平均で約3.8%の引上げとなります。また、長期契約(2〜5年)に適用される割引率(長期係数)も改定され、保険期間3〜5年の割引率が縮小します。
平成31年度税制改正大網(主な中小企業関連)
◎個人事業者の専業承継税制(納税猶予)の創設…
個人事業者が事業(不動産貸付事業等を除く)の用に供していた土地、建物及び一定の減価償却資産を、後継者(承継計画や経営承継円滑化法の認定が必要)が相続又は贈与により取得し、事業を継続する場合は、担保の提供を条件に相続税又は贈与税の納税が猶予されます。
なお、特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例との併用はできません。31年(2019年)1月以後の相続又は贈与に適用。
◎特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の見直し……
被相続人等の事業(貸付事業を除く)の用に供していた宅地等を相続等で取得し、事業を引き継ぐなどの要件を満たす場合に、400㎡まで相続税評価額を80%減額する特例の対象から、「相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等(一定の場合を除く)」が除外となります。
31年4月以後の相続等に適用(ただし、同日前から事業の用に供していた宅地等には適用しない)。
◎防災・減災設備投資減税の創設……
中小企業等経営強化法の改正を前提に、事業継続力強化計画(仮称)に基づき一定の防災・減災設備を取得等した場合は、取得価額の20%の特別償却ができます。
経営強化法の改正の施行日以後に適用。
◎商業・サービス業・農林水産業活性化税制の見直し……
経営改善により売上高又は営業利益が年2%以上向上することについて、認定経営革新等支援機関等の確認を受けることが適用要件に加えられます。
31年4月以後に適用(経過措置あり)。
◎その他……
*研究開発税制の見直し、
*外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充、など。
平成31年度税制改正大網(主な個人関連)
来年度の与党税制改正大綱が決定しました。
◎件宅ローン控除の拡充……
消費税率10%が適用される住宅取得等について、住宅ローン控除の控除期間を13年間(現行10年間)に拡充します(11年目以降の3年間での控除額は住宅取得対価等の消費税2%分が上限)。
31年(2019年)10月から 32年(2020年)までに入居した場合に適用。
◎教育資金等の贈与に係る非課税措置の見直し……
教育資金贈与及び結婚・子育て資金贈与に係る贈与税の非課税措置について、適用期限を2年間延長した上で、贈与する前年の受贈者の合計所得金額が1千万円を超える場合は適用できなくなります(31 年4月以後に適用)。
また、教育資金の範囲について、23歳以上の受贈者に対する塾や習い事などは除外となります(31年7月以後に適用)。
◎空き家に係る譲渡所得の3千万円特別控除の拡充……
相続した一定の空き家を譲渡した場合の3千万円特別控除について、適用期限を4年間延長した上で、被相続人が老人ホーム等に入居していた場合も適用対象に追加します。
31年4月以後に行う譲渡について適用。
◎ふるさと納税の見直し……
基準(返礼割合が3割以下、地場産品)を満たさない返礼品を送付する自治体への寄附について、ふるさと納税の対象外とします。
31年6月以後に適用。
◎未婚一人親に対する住民税の非課税措置……
児童扶養手当の受給者のうち、婚姻(事実婚を含む)をしていない方で前年の会計所得金額が135万円(年収約204万円)以下の場合は住民税を非課税とします。
33年度(2021年度)以後に適用。