9月, 2023年
- 2023-09-29本年10月から始まる主な制度(税制関連)
- 2023-09-27高速道路利用に係るインボイス(ETCクレカ)
- 2023-09-2565歳以上の高齢者人口と就業状況
- 2023-09-22免税事業者との取引で問題となる行為は
- 2023-09-21対象拡大など「業務改善助成金」を拡充
- 2023-09-19マイナポイントの申込期限は今月末まで
- 2023-09-15インボイス発行事業者が確認しておきたい事項
- 2023-09-1310月からのステルスマーケティング規制
- 2023-09-11令和4年度における国税の滞納状況
- 2023-09-08令和6年度税制改正に向けた各府省庁の要望
- 2023-09-06☆☆☆9月のチェックポイント☆☆☆
- 2023-09-04ふるさと納税に係るルールが来月から変更
- 2023-09-01税法上の役員の範囲と役員給与
本年10月から始まる主な制度(税制関連)
本年10月から始まる主な制度(税制関連)
来月から変わる主な税制関連は次のとおりです。
◎インボイス制度の導入 インボイス発行事業者は買手(課税事業者に限る)の求めに応じてインボイスを交付する義務があり、買手は仕入税額控除の要件として原則、インボイスの保存等が必要となります。 (簡易課税制度や2割特例を適用する場合、仕入税額控除のためのインボイス保存は不要)。 なお、インボイスの交付義務は「10月1日以降の取引」について生じるため、9月中の取引について10月に請求書等を交付する場合、交付義務はありません。 |
◎酒税の税率見直し 平成29年度税制改正によるビール系飲料(ビール、発泡酒、新ジャンル)の税率一本化や、醸造酒類(清酒、果実酒等)の税率一本化などに向けて、令和2年10月から段階的な見直しが実施されています。 本年10月に、ビール系飲料の2回目(3回中)の見直しにより、ビールの税率は350ml当たり6.65円引下げとなり、新ジャンルは9.19円引上げとなります。 また、醸造酒類は2回目(2回中)の見直しにより、清酒の引下げや果実酒の引上げが行われ、税率が一本化します。 |
◎ふるさと納税の返礼品に係る基準変更 ふるさと納税の対象となる地方団体が返礼品を行う場合などのルールが改正され、寄附金の5割以下とされている「募集に要する費用」は、ワンストップ特例や寄附金受領証に関する事務など募集に付随する費用も含めて寄附金の5割以下にすることとされました。 また、「食肉の熟成」及び「玄米の精白」については原材料が当該地方団体と同一の都道府県内産であるものに限られる等の見直しが行われ、返礼品の内容や寄附金額などが変わる可能性があります。 |
高速道路利用に係るインボイス(ETCクレカ)
高速道路利用に係るインボイス(ETCクレカ)
事業者が高速道路を利用した際、ETCクレジットカード(高速道路会社が発行するETcコーポレートカード等を除く)で清算した料金に係る仕入税額控除を受けるには原則、ウエプ上のETc利用照会サーピスで「利用証明書(簡易インボイス)」をダウンロードして保存する必要があります。
なお、カード会社から受領する「クレジットカード利用明細書」は通常、インボイスには該当しませんが、高速道路の利用頻度が高いなどで全ての利用証明書の保存が困難な場合は、カード利用明細書(個々の利用内容が判明するもの)と、利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引の利用証明書を併せて保存する対応も認められます。
65歳以上の高齢者人口と就業状況
65歳以上の高齢者人口と就業状況
総務省が公表した「統計からみた我が国の高齡者」によると、65歳以上の高齡者人口(今月15日現在の推計)は前年比1万人減少の3623万人で、昭和25年(1950年)以降初めて減少しましたが、総人口に占める割合は29.1%と過去最高を更新しました。
また、75歳以上は初めて2千万人を超え、10人に1人が80歳以上となっています。
また、高齡者の就業者数は19年連続の増加となる912万人(就業率25.2%)であり、就業者総数の13.6%を占めています。
免税事業者との取引で問題となる行為は
免税事業者との取引で問題となる行為は
来月からインポイス制度が始まりますが、仕入先である免税事業者との取引条件の見直しなどを行う場合は、独占禁止法(優越的地位の濫用)や下謂法の違反行為にならないように注怠が必要です。
◆独禁法や下請法において問題となるケース
取引上優越した地位にある事業者や下請法の親事業者が免税事業者との取引条件を見直す場合、次のようなケースで問題となります。
なお、免税事業者からの仕入れでも制度開始後3年間は仕入税額相当額の80%、その後の3年間は50%を控除できます。
◎取引価格の引下げを要請する場合 取引上優越した地位にある事業者が仕入税額控除の制限を理由に取引価格の引下げを要請する場合、交渉により双方が納得する価格であれば問題ありませんが、形式的な交渉にすきず、事業者の都合のみで著しく低い価格を設定した場合、独禁法上問題となります。 |
◎請求段階で免税事業者であることが判明した場合 下請事業者との取引完了後、免税事業者であることが請求段階で判明したため、消費税相当額を支払わない場合、下請法上問題になります。 |
◎課税事業者になるよう要請する場合 インポイス事業者(課税事業者)になるように要謂することは問題ありませんが、要請に応じなければ取引価格の引下げや取引を打ち切るなどと一方的に通告することは、独禁法又は下請法上問題となります。 |
◎下請事業者がインポイス事業者になった場合 継続的に取引関係のある下請事業者が要請に応じてインボイス事業者になったにもかかわらず、免税事業者であることを前提にした従来の単価を一方的に据え置く場合、下請法上問題となります。 |
対象拡大など「業務改善助成金」を拡充
対象拡大など「業務改善助成金」を拡充
来月から地域別最低賃金が改定しますが、中小企業等が事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引上げて、生産性向上に資する設備投資等を行う場合に、設備投資等の費用の一部を助成する「業務改善助成金」が拡充されました。
これにより、
*対象を事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以内の事業場に拡大、 *業場規模50人未満の事業者は賃金引上げ後の申請も可能(令和5年4月~12月に賃金引上げを実施した場合が対象)、 |
なお、地域別最低賃金の改定額に対応するため事業場内最低賃金を引上げる場合、発効日前に引上げを実施していれば本助成金の対象となります。
マイナポイントの申込期限は今月末まで
マイナポイントの申込期限は今月末まで
マイナンバーカードの取得者(本年2月末までの交付申請が対象)は最大2万円分のマイナポイントの付与対象ですが、ポイントを受け取るための申込手続きは今月末が期限となっています。
総務省によると、対象者のうち約2千万人が申込手続きをしていないことから、月末にかけて自治体窓口の混雑などが懸念されています。
また、期限前に申込受付を終了するキャッシュレス決済サーピスもあるため、希望者は早めに手続きを行うように呼びかけています。
インボイス発行事業者が確認しておきたい事項
インボイス発行事業者が確認しておきたい事項
いよいよ来月からインボイス制度が開始となります。インボイス
発行事業者となる方は、次のような点を確認しておきましよう。
◆売手の確認事項 ◎取引先に交付する請求書等を確認 インボイスとして必要な記載事項(登録番号や適用税率、税率ごとの消費税額等)を満たしているかを確認します。 (複数の書類で記載事項を満たすことも可能)。 ◎交付したインボイスの写しの保存 写しはコピーに限らず、電子データや一覧表形式、ジャーナル、複写式の控えなども認められます。 ◎少額な返還インボイスの交付義務免除 税込1万円未満の値引き等である場合には返還インボイスの交付義務が免除されます(全事業者が対象)。 |
◆買手の確認事項 ◎受領したインボイス等の保存・管理 受領した請求書等は登録番号の有無で区分して管理します。 また、免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置 (80%・50%控除)の適用を受けるには、区分記載請求書の保存が必要です。 ◎インボイス保存が不要な取引 *税込3万円未満の公共交通機関による旅客の運送などインボイスの交付義務が免除されている取引、 *従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等、 *中小事業者による税込1万円未満の取引(少額持例)、などは帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。 ◎簡易課税制度や2割特例の適用 簡易課税制度や2割特例(免税事業者からインボイス発行事業者になった方の納税額を売上税額の2割とする措置)を適用する場合、インボイスの保存は不要です。 |
10月からのステルスマーケティング規制
10月からのステルスマーケティング規制
事業者による広告であるにもかかわらず、消費者に広告であることを隠して第三者の感想等であると誤認させる「ステルスマーケティング」は、本年10月から景品表示法の不当表示に指定され違反行為になります。
これにより、事業者の広告(インフルエンサー等の第三者に依頼・指示するものも含む)であって、一般消費者から見て、事業者の広告であることが不明瞭で分からないものは規制されます。
なお、規制の対象となるのは商品・サービスを供給する事業者(広告主)であり、事業者から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象外となります。
令和4年度における国税の滞納状況
令和4年度における国税の滞納状況
国税庁が公表した「令和4年度租税滞納状況」によると、令和4年度における国税の新規発生滞納額は7196億円となり、税目別にみると消費税が全体の約5割(3630億円)を占めています。
一方、滞納整理された額は7104億円で、新規発生滞納額を下回ったことから、国税の滞納残高は8949億円となり3年連続で増加しました。
なお、税金を滞納すると延滞税が課せられるほか、財産の差押えや換価といった滞納処分が行われる場合があります。
令和6年度税制改正に向けた各府省庁の要望
令和6年度税制改正に向けた各府省庁の要望
令和6年度税制改正に向けた各府省庁からの要望が出揃い、以下のような改正が要望されています。
◎賃上げ促進税制の拡充及び延長 国内雇用者に対する給与等支給額を増加させた場合の税額控除制度について、 *本税制の延長期間を長期化、 *赤字等の厳しい業況でも賃上げを行う中堅・中小企業を後押しするため、税額控除額が上限を超えた場合に控除しきれなかった金額の繰越しを認める措置を創設、 *仕事と子育ての両立や女性活躍支援に積極的な企業に対する控除率の上乗せ措置を創設する。 |
◎事業承継税制の延長等 法人版事業承継税制(非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予制度)の特例措置や、個人版事業承継税制(事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度)を適用するために必要となる承継計画の提出について、令和6年3月末までとなっている提出期限を延長する。 |
◎イノベーションボックス税制の創設 国内で自ら研究開発を行い取得した特許等の知的財産から生じる所得(ライセンス所得等)に優遇税率を適用する「イノベーションボックス税制」を創設する。 |
◎「流行初期医療確保措置」による収入の非課税措置の創設等 改正感染症法(令和6年4月施行)により感染症の流行初期に病床確保と発熱外来に関して初動対応等を行う特別な協定を締結した医療機関に措置される「流行初期医療確保措置」の収入について、事業税の非課税措置等を講じる。 |
◎国立大学法人等への個人寄附に係る税額控除の対象拡大 国立大学法人等に対する個人奇附について、修学支援事業及び研究等支援事業以外の事業を対象とする場合も税額控除を選択可能とする。 |
☆☆☆9月のチェックポイント☆☆☆
☆☆☆9月のチェックポイント☆☆☆
※ 9月も猛暑が続く予報が出ています。過労・不注意による労働災言・交通事故や業務の単純ミスを防ぐために、事業所挙げて体調管理を徹底。
※健保・厚年の新標準報酬月額決定通知が届き、9月分(10月納付)から適用されるので、各人に通知するとともに賃金台帳に転記します。
※ 9月は10月1日から始まる「全国労働衛生週間」の準備月間。
今年のスローガンは「目指そうよ ニ刀流こころとからだの健康職場」です。
※ 9月21日~30日は「秋の全国交通安全運動」。
ふるさと納税に係るルールが来月から変更
ふるさと納税に係るルールが来月から変更
ふるさと納税の対象となる地方団体は、募集の実施や返礼品などの基準に適合する団体として総務大臣の指定を受ける必要があります。
来月から基準が一部改正され、寄附金の5割以下とされている募集に要する費用(返礼品等の調達や送料、広報、事務などの費用)について、ワンストップ特例や寄附受領証に係る事務など募集に付随する事務の費用も含めて算定することなり、返礼品の内容などが変わる可能性があります。
また、地場産品基準について、熟成肉及び精米は原材料が当該地方団体が属する都道府県内産であるものに限られ、例えば、海外産の牛肉を区域内で熟成させたものなどは認められません。
税法上の役員の範囲と役員給与
税法上の役員の範囲と役員給与
法人の役員である場合、役員給与は定期同額給与等であることが損金算入の要件となるなどの制限がありますが、税法上の役員は会社法の役員より範囲が広く、「みなし役員」に該当する方も含まれます。
◆税法上、役員として取扱われる「みなし役員」 法人税法上の役員とは、取締役・執行役・会計参与・監査役・理事・監事・清算人に該当する方をいいますが、次の①又は②のいずれかを満たす方も「みなし役員」として役員と同様の扱いになります。 ①法人の使用人以外で、その法人の経営に従事している方(例えば、取締役ではない会長などや、定款等で役員として定めている方、相談役・顧問など)。 ②同族会社の使用人のうち、持株割合の要件を満たし、その会社の経営に従事している方(例えば、社長の親族で株式の所有割合が5%超の方が使用人として勤務している場合など)。 なお、「経営に従事している」とは、経営方針や資金調達、人事など経営上の重要事項に関する意思決定に参画しているかどうかにより判断されます。 |
◆定期同額給与を改定する場合は 役員に対する給与は、多くの企業が定期同額給与を支給していますが、支給額を改定する場合は原則、事業年度開始から3カ月以内に行う必要があり、利益調整目的や一時的な資金繰りなどのために事業年度の中途に改定した場合は、定期同額に該当しなくなるため、損金不算入となる金額が生じます。 ただし、経営状況が著しく悪化した場合(業績悪化改定事由)や、職制上の地位の変更や職務内容の重大な変更(臨時改定事由) によって事業年度中に支給額を改定する場合は、損金算入が認められます。 |