9月, 2015年
- 2015-09-3010月から開始される主な制度等は
- 2015-09-28★2015年10月のチェックポイント★
- 2015-09-25課税事業者となったときの 棚卸資産に係る仕入税額控除
- 2015-09-23死亡退職金の課税時期
- 2015-09-21廃止されるたばこの特例税率
- 2015-09-18来年度税制改正に向けた各府省庁の要望
- 2015-09-16国民年金の10年後納制度は今月末まで
- 2015-09-14改正派遣労働者法が成立し、9目30日旆行
- 2015-09-11在職老齢年金の取扱いと10月からの改正
- 2015-09-09ネット回答が導入される「スマート国勢調査」
- 2015-09-07マイナンバーの漏えい等に対する罰則は
- 2015-09-04国境を越えた役務提供に係る消費税の見直し
- 2015-09-0227年度最低賃金の改定額と発効日を確認
10月から開始される主な制度等は
マイナンバ一関係以外にも10月から開始される制度等は多くあります。
◎国境を越えた役務提供に係る消費税の課税の見直し……インターネツ卜等により国内外で行われる電子書籍や音楽、広告の配信などの「電気通信利用役務の提供」について、消費税の課税对象となる国内 取引に該当するか否かの判定基準を「役務の提供を受ける者の住所等」とする見直しなどが行われます。
◎中小企業信用保険法の改正……特定非営利活動法人(NPO法人)が信用保証制度の対象となります。
◎地域別最低賃金の改定……27年度地域別最低賃金の発効日は各都道府県で異なりますが、10月1日〜18日までに発効されます。
◎労働者派遣法の改正(9月30日施行)……派遣期間制限が見直され、専門26業務か否かに関わりなく同一の派遣先事業所で労働者派遣の受入れができる期間は、原則3年が限度となります(過半数労働組合等への意見聴取により延長可)。
◎労働契約申込みみなし制度の施行……派遣先が違法派遣を受け入れた場合、派遣先が派遣労働者に対して、派遣元における労働条件と囘一の労働条件で労働契約の申込みをしたものとみなされます(派遣先が善意照過失である場合を除く)。
◎「70歳以上被用者該当届」の提出対象拡大……昭和12年4月1日以前に生まれた方も、質金と年金頟に応じた老齡厚生年金の支給停止の対象となり「70歳以上被用者該当届」の提出が必要となります。
◎国民年金の後納制度の見直し…過去1年間の保険料を納付できる後納制度は9月末で終了となり、新たに過去5年間の後納制度が開始されます。
★2015年10月のチェックポイント★
※事業者は、税や社会保障の手続きのために従業員等のマイナンバ一を取得し、安全管理措置を適切に実施します。
※健保・厚年の新標準報酬に基づく給与からの天引きは、通常10月支給給与からです。なお、厚生年金保険料率が17.828%に引き上げられて いるので、金額等を確認しておきます。
※年末に向けて製造・販売計画を作成し、資金繰りを確認します。借入が必要な場合は早めに取引金融機関に働きかけをします。
課税事業者となったときの 棚卸資産に係る仕入税額控除
免税事業者が新たに課税事業者となる場合に、課税事業者となる日の前日に所有する棚卸資産のうちに、納税義務が免除されていた期間に仕入れた棚卸資産がある場合は、その棚卸資産に係る消費税額を課税事業者になった課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額とみなして仕入税額控除の対象とします。
この対象となる棚卸資産は、商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵中の消耗品等をいい、取得費用の額には、その棚卸資産の購入金額のほかに、引取運賃や荷造費用、そのほかこれを購入するために要した費用の額などを含みます。
なお、この適用を受けるには、対象となる棚卸資産の明細を記載した書類をその作成した日の属する課税期間の末日の翌日から2力月を経過した日から、7年間保存しなければなリません。
死亡退職金の課税時期
相続税法第3条第1項第2号は、相続財産とみなされる財産に関して、「被相続人の死亡
後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合」と規定していますが、この規定は相
続財産とみなされる財産を擬制しているに過ぎず、課税時期については、定めていないと解さ
れています。
死亡退職金の場合、その支給の確定があれば、死亡退職金の支払請求権を取得したと考え
られ、その時点で相続税の課税原因が発生しているというべきです。
したがって、死亡退職金は、死亡後3年以内にその支給が確定すれば、実際の支払いが3年以内
であるかどうかを問わず相続税が課税されることになります。
廃止されるたばこの特例税率
ゴールデンバット、エコー、わかば、しんせい、ウルマ、バイオレットのたばこ6銘柄の特例税率が、平成28年4月1日からの段階的税率引き上げにより、31年4月1日に廃止されます。
国・地方合わせた1本当たりの現行の税額を比ベると、一般のたばこの12.2円に対して6銘柄では5.8円になっています。
来年度税制改正に向けた各府省庁の要望
平成28年度税制改正に向けて、各府省庁が出した主な要望には以下のような事項があります。
◎法人実効税率の引下げ……税率引下げ幅の上乗せを図り、法人実効税率を早期に20%台に引下げる。
◎役員給与等に係る税制の整備……上場企業等を対象に、役員給与の損金算入範囲を見直し、多様な業績連動報酬や株式報酬の導入を促進する。
◎企業版ふるさと納税の創設……地方公共団体が行う一定の地方創生事業に企業が寄附をした場合、法人税及び法人住民税から税額控除できる制度を創設。
◎外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充……免税対象となる一般物品の最低購入金額を5千円以上 (現行は1万円超)に引下げる。
◎取引相場のない株式の評価方式の見直し……評価方法の一要素となる上場企業の株価の上昇に伴う中小企業の税負担増大を踏まえ、税制措置等を見直す。
◎三世代同居に係る税制上の軽減措置の創設……*三世代同居を目的とした改修を行った埸合、ローン残高の5%を所得税額から倥除する、*被相続人と3年以上同居している等の一定要件を満たす親族が相続により居住用宅地を取得した場合、小規模宅地特例による減額幅を90% (現行80%)に引上げる。
◎結婚・子育て資金に係る贈与税非課税措置の拡充‥‥非課税対象に、*不妊治療費のうち薬局に支払う医薬品代、*産後健診費用、などを加える。
◎金融所得課税の一体化……商品先物取引の決済差損益等を上場株式等との損益通算の対象に含める。
国民年金の10年後納制度は今月末まで
納め忘れた国民年金保険料は原則、2年を経過すると時効により納付できませんが、24年10月から過去10年間の保険料を納付できる後納制度が実施されています。
この後納制度は、3年間の時限措置のため今月末で終了となります。ただし、10月からは過去5年間の保険料を納付できる新たな後納制度が開始されます(30年9月までの時限措置)。
なお、後納制度を利用する場合は、申込書を年金事務所へ提出する必要があります。
改正派遣労働者法が成立し、9目30日旆行
改正により、派遣期間制限が見直され、専門業26業務か否かに関わりなく、以下の制限が適用されます(9月末時点で既に締結されている派遣契約は、契約終了まで改正前の期間制限が適用)。
①派遣先事業所単位の期間制限……同一の派遣先事業所で受入れができる期間は、原則3年が限度(過半数労働組合等への意見聴取により延長可)。
②派遣労働者個人単位の期間制限……同一の派遣労働者を派遣先における同一の組織单位(「課」など)で受入れができる期間は、原則3年が限度。
在職老齢年金の取扱いと10月からの改正
◆65歳未満の在職老齢年金の取扱い◆
60歳以上の方で、在職中に厚生年金に加入しながら老齡厚生年金を受ける場合は、老齡厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額(標準報酬月額+1年間賞与÷12)に応じて、年金額の一部または全部が支給停止となる場合がありますが、65歳未満と65歳以上では仕組みが異なります。
65歳未満の方は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円以下であれば年金額は全額支給されますが、28万円を超えた場合は支給停止の対象となり、基本月額と総報酬月額相当額に応じた計算方法により支給停止頟を算出します。
また、高年齡雇用継続給付(雇用保険の加入期間が5年以上で、賃金が60歳到達時の75%未満となった方に支給)を受ける場合は、さらに一定額(賃金の0.18%〜6%)が支給停止となります。
◆65歳以上の取扱いと、70歳以上に係る改正◆
65歳以上70歳未満の方は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円を超えた場合に支給停止の対象となり、超えた部分の額の1/2が支給停止頟 (月額)となります。
なお、70歳以上の方は、厚生年金の彼保険者ではありませんが、これまで昭和12年4月2日以降に生まれた方に対しては、65歳以上の方と同様の支給停止が行われていました。
しかし、改正により27年10月以降は、昭和12年4月1日以前に生まれた方も支給停止の対象となります。この改正に伴い、該当する方が在職している場合は「70歳以上被用者該当届」を提出する必要があります。
ネット回答が導入される「スマート国勢調査」
日本国内に住む全ての人と世帯を対象とする国勢調査が、今年実施されます(5年に一度実施)。
今回の調査では、初めて全世帯を対象としたオンライン調査が導入され、パソコンやスマー卜フォンによるインターネッ卜回答が可能となります (回答期間は9月10日〜20日)。それに伴い、 9月10日から調査員が全世帯にインターネッ卜回答用IDを配布します。
なお、インターネッ卜で回答しなかった世帯には、9月26日から紙の調査票が配布されます。
マイナンバーの漏えい等に対する罰則は
内閣府が行った「マイナンバ一制度に関する世論調査」では、制度を「知らなかった」は9.8% (1月調査では2 8.6%)まで減少し、認知度は上がっています。
一方、懸念については、個人情報の漏えいや不正利用の不安が増加しています。
事業者は、従業員等のマイナンバ一を取得する必要がありますが、漏えい等に対して厳しい罰則が設けられています。例えば、個人番号関係事務等に従事する者が、正当な理由なく特定個人情報ファイルを提供した場合は4年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、不正な利益を図る目的で個人番号を提供又は盗用した場合は3年以下の懲役もしくは150万円以下の罰金などがあります。
国境を越えた役務提供に係る消費税の見直し
インターネッ卜等を介して国内外で行われる電子書籍や音楽、広告の配信などの「電気通信利用役務の提供」について、消費税の課税関係が以下のように見直され、2 7年10月以後から適用されます。
◎内外判定基準の見直し……電気通信利用役務の提供については、消費税の課税対象となる囯内取引に該当するか否かの判定基準が「役務の提供を受ける者の住所等」に見直されます(現行は役務の提供を行う者の事務所等の所在地)。これにより、国外事業者が国内の事業者・消費者に行う電気通信利用役務の提供は、国内取引に該当し課税対象になります。
◎リバースチャージ方式の導入……国内事業者が国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供 (広告配信など役務の提供が通常事業者に限られるもの)」を受けた場合は、その役務の堤供を受けた国内事業者が、消費税の申告・納税を行う「リバースチャージ方式」が導入されます。ただし、経過措置により、課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税制度の適用事業者は、当分の間、その役務の提供に係る仕入れはなかったものとされ、リバースチャージ方式による申告を行う必要はありません。
◎消費者向け電気通信利用役務の提供に係る仕入税額控除の制限……国内事業者が国外事業者から「消費者向け電気通信利用役務の提供(電子書籍や音楽の配信など事業者向け電気通信利用役務の提供以外のもの)」を受けた場合は、当分の間、その役務の提供に係る仕入税額控除が制限されます。ただし、「登録国外事業者」から提供を受ける場合は、仕入税額倥除を行うことができます。なお、登録国外事業者は8月17日現在で6社が登録を受けています。
27年度最低賃金の改定額と発効日を確認
27年度の地域別最低質金について、中央最低質金審議会が示した引上げ目安を参考に、各都道府県の地方最低賃金審議会が答申した改定額の全国加重平均は、798円(引上げ額は18円)となりました。
すべての地域で16円以上の引上げとなり、最も高い引上げ額は、愛知・大阪の20円で、次いで千葉・東京・広島の19円となっています。
改定額の発効日は各都道府県で異なり、10月1日から10月中旬までに順次発効される予定です。
地域別最低質金は原則、産業や職種、雇用形態に関係なく適用されますので、厚労省や労働局のホームページ等で必ず確認しましょう。