12月, 2016年
- 2016-12-2829年1月から開始となる制度(税制以外)
- 2016-12-27★2017年1月のチェックポイント★
- 2016-12-26全ての事業者が対象となる個人情報保護法
- 2016-12-26年末年始休業のお知らせ
- 2016-12-2329年度税制改正大綱(中小企業関連)
- 2016-12-21ふるさと納税ワンストップ特例について
- 2016-12-19相続税課税割合は基礎控除引下げで8%に
- 2016-12-16平成29年度税制改正大綱(個人関連)
- 2016-12-1412月は個人事業者の決算月です
- 2016-12-12国税のクレジットカード納付が来月開始
- 2016-12-09来年開始 セルフメディケーション税制Q&A
- 2016-12-07軽減税率対策補助金の申請受付期間延長
- 2016-12-05一定の財産を有する方は調書の提出が必要
- 2016-12-02「支払督促」を利用した売掛金の回収
29年1月から開始となる制度(税制以外)
◆税制以外の主な制度について◆
来年1月から適用が開始される制度のうち、税制以外の主な制度は以下のとおりです。
◎個人型確定拠出年金(爱称:iDeCo)の加入対象拡大……個人型確定拠出年金(加入者が選択した金融機関を通じて自ら運用を行い、公的年金に上乗せして給付を受け取れる制度)の加入対象者に、企業年金加入者や専業主婦等が加えられ、基本的に60歳未満の全ての方が利用できるようになります。 なお、同制度での掛金は全額所得控除、運用段階で得た利益は全額非課税となる等の税制上の優遇措置が設けられています。
◎育児・介護休業法及び改正男女雇用機会均等法の改正……介護休業の分割所得(3回を上限として通算93日まで)が可能になる、*介護終了までの期間は所定外労働の免除を請求できる、*介護休暇、子の看護休暇を半日单位で取得できる、*有期契約労働者の介護休業・育児休業の取得要件を緩和、*妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする上司・同僚からの嫌がらせ(いわゆるマタハラ)ついての防止措置を事業主に義務付ける、等の見直しが行われます。
◎雇用保険の適用対象拡大……雇用保険の適用要件 (1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込み)に該当する65歳以上の方を、29年1月以降に新たに雇用した、又は28年12月末までに雇用し、29年1月以降も継続して雇用している場合は、雇用保険の適用対象となり加入手続きを行う必要があります。ただし、保険料の徴収は31年度まで免除となります。
★2017年1月のチェックポイント★
※年末調整で過不足を精算した後の源泉所得税の納付期限は1月10日(火)です。
※納期の特例を受けている企業の源泉所得税(7月〜12月分)の納付期限は1月20日(金)。
6力月分をまとめて納税するので資金繰りの確認をしておきます。
※1月分給与計算の前に29年分「扶養控除等申告書」を受理し、源泉徴収薄等に各事項を転記。
※1月末までに「法定調書」「給与支払報告書」「償却資産申告書」の事務があります。
全ての事業者が対象となる個人情報保護法
事業者における個人情報の取扱いルールを定めた個人情報保護法が27年9月に改正され、その改正法の全面施行日が29年5月30日となりました。
改正により、同法の適用除外規定(取り扱う個人情報が5千人以下である事業者は適用除外)が廃止されるため、施行日以降は、個人情報をデ一タベース化して事業活動(営利・非営利は問わず)に利用している全ての事業者に適用されます。
同法が適用される「個人情報取扱事業者」となった場合には、*利用目的による制限、*安全管理措置、*第三者提供の制限、*本人からの開示請求への対応などの規定が提供されることになります。
年末年始休業のお知らせ
29年度税制改正大綱(中小企業関連)
◎所得拡大促進税制の拡充……現行の適用要件(給与等支給額が24年度より3%以上増加しているなど)を満たした上で、29年度の平均給与等支給額が前年度比2%以上増加している場合、前年度からの増加額については税額控除を12%上乗せ。前年度比2%未満の増加は現行と同じ10%の税額倥除。
◎中小企業経営強化税制の創設……中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等)を中小企業等経営力強化法に基づく制度に改組し、器具備品・建物附属設備を追加。経営強化法の計画認定を受け、29年4月〜31年3月に一定の設備等を取得等した場合、即時償却又は7% (資本金3千万円以下は10%)の税額控除を選択適用。
◎研究開発促進税制の拡充……研究開発費の増加率が5%を超える揚合に、控除割合を最大17%、控除上限を法人税額の35%まで上乗せする仕組みを導入。また、ビッグデータ、AI等を活用した第4次産業革命型の「サービス開発」を支援対象に追加する。29年4月以後開始事業年度から適用。
◎中小企業向け租税特別措置の適用要件の見直し……過去3事業年度の平均所得金額が15億円を超える事業年度は、中小向け租税特別措置(法人税の軽減税率の特例や少額減価償却資産の特例など)の適用が停止。31年4月以後開始事業年度から適用。
◎事業承継税制の見直し……雇用要件(5年間平均8割)について、従業員5人未満の企業が1人減った揚合でも適用できるよろにする。29年から適用。
◎取引相場のない株式の評価方式の見直し……中小企業等の実力を適切に反映した評価となるよう類似業種比準方式等の見直す。29年から適用。
ふるさと納税ワンストップ特例について
ふるさと納税に係る寄附金控除を受ける方が年々増加しています(昨年は約130万人)。
確定申告をしなくても控除が受けられるワンス卜ップ特例は、寄附先の各自治体に特例の申請をすることで適用できますが、*6団体以上に恃例を申請した、*申請書に記載した住所地から転居したが変更届をしていない(寄附した翌年1月10日までに届出が必要)、*医療費控除などのために確定申告をする、といった場合は適用されないため、控除を受けるには確定申告が必要です。
相続税課税割合は基礎控除引下げで8%に
国税庁は、相続税の基礎控除額引下げ(3千万円+600万円X法定相続人数)が施行された27年における相続税の申告状況を公表しました。
それによると、27年中に亡くなった約129万人の被相続人のうち、相続税の課税対象となったのは約10万3千人(前年は約5万6千人)で、その課税割合は8.0% (同4.4%)となり、基礎控除額引下げの影響で大幅に増加しました。なお、被相続人1人当たりの課税価格は1億4126万円、税額は1758万円となっています。
相続税対策は、できる限り早く取組むことが大きな節税に繋がります。また、遺言書の作成など“争族”にならないための事前準備が大切です。
平成29年度税制改正大綱(個人関連)
29年度の与党税制改正大綱が公表されました。
◎配偶者控除・配偶者特別控除の見直し……38万円の所得控除が受けられる配偶者の年収上限を150万円(給与のみの場合)に引上げ、150万円超201万円以下までは控除額を段階的に縮小。また、納税者に所得制限を設定し、給与収入1120万円から 控除額が縮小し、1220万円を超えると控除は適用不可。30年分以後の所得税について適用。
◎積立NISAの創設……長期・分散投資に適した一定の投資商品に限定し、年間投資上限額40万円、非課税期間20年間の積立NISAを創設。現行のNISA (年間投資上限120万円、非課税期間5年)との選択制。30年から適用。
◎タワーマンションに係る課税の見直し……高さ60メー卜ル超のタワーマンション(届住用超高層建築物)に対する固定資産税について、高層階ほど税額を高く、低層階ほど低くなるように見直します。不動産取得税についても同様。30年度から新たに課税される居住用超高層建築物(29年4月1日前に売買契約が締結されたものを除く)について適用。
◎国外財産に対する相続税等の納税義務の範囲の見直し……相続人又は被相続人が相続開始前10年以内に国内に住所を有する日本人である場合は、国内財産及び国外財産を相続税等の課税対象とする等の見直しを行う。贈与税についても同様。29年4月1日以後に相続等で取得する財産について適用。
◎到着時免税店の導入……空港等の到着工リアにおける免税店(到着時免税店)を導入し、到着時免税店において購入した物品を現行の携帯品免税制度の対象に追加する。29年7月1日以後から適用。
12月は個人事業者の決算月です
早めの準備と対策が正しい申告と節税につながります。現在までの売上・仕入・経費などの帳薄を作成し、值引き・返品等の計上漏れ、請求書・領収書など証憑類の有無などを確認します。
実地たな卸は12月末時点で行いますが、実施が厳しい業種では早めに行い、その後は仕入・売上等の記録を元に在庫の把握をすることもできます。
また、12月末時点で現金・預貯金残高、売掛金・受取手形・貸付金などの債権、買掛金・支払手形・借入金などの債務残高および内訳を確認します。
国税のクレジットカード納付が来月開始
インターネッ卜上でクレジッ卜カードによる国税の納付手続を行う「国税クレジッ卜カードお支払サイ卜」が、来年1月4日から開始される予定です(国税庁ホームページなどからアクセス)。
クレジッ卜カード納付は、申告所得税や法人税、消費税、贈与税などほぼ全ての国税が対象となります。納付できる金額は1干万円未満かつクレジッ卜カードの決済可能額以下となり、納付税額に応じた決済手数料がかかります。また、支払方法は一括・分割・リボ払いを選ぶことができます。
なお、クレジットカード納付はインターネッ卜上のみの手続となるため、金融機関やコンビニ、税務署の窓口では利用できません。
来年開始 セルフメディケーション税制Q&A
来年1月から、OTC医薬品の購入費用が所得倥除の対象となるセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が始まります。
◆Q&A◆
Q.どのような制度?
A.健康の維持増進及び疾病予防への一定の取組を行う方が、29年1月以降に本人又生計を一にする親族に係るスイッチOTC医楽品(医療用から転用された医薬品)を購入し、その支払額が年間1万2干円を超えた場合は、超えた部分の金額(8万8千円が上限)が所得控除できる制度です。
Q.健康の維持増進及び疾病予防への一定の取組とは?
A.特定健康診査(メタボ健診)や予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診等のいずれかを受けていることです。
Q.対象となるスイッチOTC医薬品は?
A.本税制の対象となるOTC医薬品は約1500品目あり、厚労省のホームページに掲載されています。 また、一部の製品はパッケージに対象である旨が示された識別マークが付いています。
Q.現行の医療費控除も適用できる?
A.本税制を適用した場合、現行の医療費控除は適用できません。そのため、どちらか有利な方を選択適用することになります。
QQ.本税制を適用するには何が必要?
A.確定申告書に、*隅入したOTC医薬品の領収書、*定期健康診断等を受けたことを証明する書類 (結果通知表や領収書)を添付等して提出する必要があります。
軽減税率対策補助金の申請受付期間延長
消費税率引上げ延期法が成立し、消費税率10%への引上げや消費税の軽減税率制度は、31年10月から実施されることになりました。
軽減税率制度の実施に向けて、複数税率の対応が必要となる中小企業等が複数税率対応レジの導 入や、受発注システムの改修などを行う場合は、その経費の一部を補助する「軽減税率対策補助金」を申請により受けることができます。
同補助金については、申請受付期間が30年1月31日まで延長されることになりました。
一定の財産を有する方は調書の提出が必要
12月末時点で保有する国外財産の価額が5干万円を超える居住者(非永住者を除く)は、その年の翌年3月15日までに国外財産の種類や価額等を記載した「国外財産調書」を、所轄税務署長に提出しなければなりません。
また、所得税の確定申告書の提出が必要な方で、その年分の所得金額(退職所得を除く)が2千万円超であり、12月末時点で3億円以上の財産または1億円以上の有価証券等(国外転出時課税の対象財産)を有する場合は、「財産債務調書」を翌年3月15日までに堤出する必要があります。なお、財産債務調書を提出する方が5千万円超の国外財産を有する場合は、国外財産調書も提出します。
「支払督促」を利用した売掛金の回収
◆売掛金の回収・管理を徹底◆
事業継続には、売掛金の回収・管理が重要です。
売上を伸ばしても、売掛金を回収するまでの期間が長くなれば、仕入先などへの支払いが厳しくなるため資金繰りが悪化し、最悪の場合は黒字倒産に繋がります。また、売掛金を回収できなければ、商品の代金だけではなく、売るまでに費やしたコス卜も損失となるため、損失を取り戻すには同じ商品を何倍も売る必要があります。
支払いが滞っている取引先がある場合には、まず話し合いで原因を把握し、状況に応じて解決を図ることが大切ですが、支払う意思がみられない場合は、法的手段も検討します。
◆書類審査のみで手続できる「支払督促」◆
法的手段のうち簡易裁判所の「支払督促」は、売掛金の未払いや家賃の滞納などの金銭の紛争に対して書類審査のみで行える手続で、申立人の申立てのみに基づいて裁判所書記官が相手方に金銭の支払いを命じる制度です。
支払督促の申立ては、申立書に必要事項を記入し、手数料などを添えて、相手方の住所地の簡易裁判所に提出すれば済むため、訴訟などのように裁判所に出向いたり、証拠を提出する必要がありません。
なお、支払督促を行っても相手方が金銭を支払わず、異議申立てもしない場合、申立人は強制執行を申し立てることができます。一方、相手方が支払督促に納得できず異議申立てをした場合は、民事訴訟の手続に移行します。