6月, 2017年
- 2017-06-30経営強化法に係る中小企業経営強化税制
- 2017-06-2828年度における国税不服申立の状況
- 2017-06-26ガイドラインに基づく無保証融資が年々増加
- 2017-06-23今国会で成立した主な改正法等(企業関連)
- 2017-06-21悪質な脱税を取り締まる査察
- 2017-06-19予定納税の減額申請をする場合は
- 2017-06-17算定基礎届に関するQ &A
- 2017-06-15免税店数は4万店超となり3年間で7倍に
- 2017-06-12ふるさと納税を行った方は住民税を確認
- 2017-06-0928年分所得税・贈与税の確定申告状況
- 2017-06-07今月は「外国人労働者問題啓発月間」
- 2017-06-05協会けんぼによる被扶養者資格の再確認
- 2017-06-02成立した民法改正(債権関係)のポイン卜
経営強化法に係る中小企業経営強化税制
昨年7月に施行された中小企業等経営強化法により、経営力向上のために実施する計画(経営力向上計画)を事業分野別指針に沿って策定し、国の認定を受けた埸合、税制や金融支援等の措置を受けることができます。
◆29年改正で創設された「中小企業強化税制」◆
税制の支援措置として、経営力向上計画に基づき 一定の設備を新規取得した場合には、固定資産税が3年間1/2に軽減される措置(固定資産税の持例)や、29年度税制改正により創設された中小企業経営強化税制の適用を受けることできます。
中小企業経営強化税制は、29年4月〜31年3月までの間に一定の生産性向上設備(生産性が旧モデル比年平均1%以上向上する設備)や、収益力強化設備(投資利益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備)を新規取得し、指定事業の用に供した揚合に、即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金3千万円超の場合は7%)を選択適用することができる制度です。
◆対象となる設備や適用関係は◆
同税制の対象となる設備とは、機械装置(160万円以上)や器具備品(30万円以上)、建物附属設備 (60万円以上)などで、設備単位で即時償却と税額控除を使い分けることも可能です。
また、ファイナンスリース取引については対象になりますが、ファイナンスリースのうち所有権移転外リース取引については税額控除のみの適用(即時償却は適用不可)となります。
なお、同税制は固定資産税の特例措置と重複して適用することもできます。
28年度における国税不服申立の状況
納税者は税務署長などが行った処分に不服がある場合、裁判所に訴訟を提起する前に、不服申立てを行います。不服申立てには、税務署長などに対して処分の取消しや変更を求める「再調査の請求」と、国税不服審判所長に対して不服を申し立てる「審査請求」があります。
28年度に処理された再調査の請求は1805件 で、そのうち納税者の主張が一部でも認めらた件数は123件(6.8%)となり、審査請求につしては1959件のうち、241件(12.3%)でした。
ガイドラインに基づく無保証融資が年々増加
経営者保証に依存しない融資を促進させるため、26年2月から適用されている「経営者保証に関するガイドライン」では、中小企業が一定の経営状況(法人と経営者個人の明確な分離や適時適切な情報開示など)を満たしている場合、金融機関は経営者保証を求めない融資を検討することなどが示されています。
政府系金融機関(日本公庫、商工中金)におけるガイドラインの活用実績によると、経営者保証に依存しない融資割合は年々増加しており、28年度は新規融資22万6267件のうち、無保証の融資は7万3210件で、その割合は32%となっています(26年度:19%、27年度:24%)。
今国会で成立した主な改正法等(企業関連)
第193回通常国会において、4月以降に成立した企業に関係する主な改正法等は次のとおりです。
◎民法(債権関係)の改正……*債権の消滅時効について、短期消滅時効の特例を廃止するとともに、原則として権利行使が可能であることを知った時から5年に統一する、*事業融資における経営者等以外の個人保証について、公証人が保証意思を確認しなければ効力を生じないものとする、など。
◎中小企業信用保険法の改正……*大規模な経済危機、災害等の事態に際して、予め適用期限を区切って迅速に発動できる新たなセーフティネッ卜として危機関運保証を創設する、*小規模事業者の持続的発展を支えるため、特別小口保険の付保限度額を2千万円に拡充、*業チャレンジを促すため、創業関連保証の付保限度額を2千万円に拡充、など。
◎介護保険関連法の改正……*第2号被保険者(40〜64歳)の介護保険料について、報酬額に比例して負担する仕組み(総報酬割)を導入する、*一定以上の所得がある高齢者の介護サービスの自己負担を3割へ引上げる、など。
◎住宅宿泊事業法……住宅の空き部屋を旅行者らに有料で貸す「民泊」のルールを定め、届け出制として全国で解禁する。民泊を営む家主に、都道府県や政宅市などへの届け出や苦情の対応、民泊物件と分かる標識の掲示などを義務付け、年間営業日数の 上限は180泊とする。
◎不動産特定共同事業法の改正……空さ冢などの再生事業に地域の不動産会社などが参入し、小口投資家を募ることができる「小規模不動産特定共同事業」の創設、など。
悪質な脱税を取り締まる査察
査察は、一般の税務調査と異なり、国税犯則取締法に基づく強制的な調査で、大口・悪質な脱税者に対して、刑事貴任を追及する特別な調査です。
国税庁が公表した28年度の査察実績によると、28年度中に処理した査察事案は193件で、そのうち検察庁に告発したのは132件でした。また、脱税額は総額161億円となっています。
脱税の手段・方法には、消費税の輸出免税制度を利用した不正還付や、関係会社に架空の経費を計上し所得を過少に申告した事案がありました。
予定納税の減額申請をする場合は
29年分所得税の予定納税が必要な方には、税務署から「予定納税額の通知書」が届きます。
予定納税とは、前年分の所得金額や税額などに基づき計算した予定納税基準額が15万円以上の場合に、その年の所得税の一部を予め納付する制度で、予定納税基準額の1/3の金額を、第1期(7月1日〜31日まで)と第2期(11月1日〜30日まで)にそれぞれ納めることになります。
なお、業況不振などにより、6月30日時点における所得税の見積額が予定納税基準額よりも少なくなると見込まれる場合は、7月18日までに「予定納税額の減額申請書」を税務署に提出して承認されることで、予定納税額が減額されます。
算定基礎届に関するQ &A
算定基礎届は、社会保険における標準報酬月頟を決定するための手続きとなり、7月1日〜10日までに提出します。
◆Q&A◆
Q.対象者は?
A.7月1日現在の被保険者全員が対象です。ただし、*6月1日以降に資格取得した方、*6月30日以前に退職した方、などは対象外となります。
Q.標準報酬月額の算定方法は?
A.原則、4月〜6月の3力月間に支払われた報酬の平均頟により算定しますが、支払基礎日数が17日未満の月は除きます(短時間就労者は取扱いが異なる)。例えば、5月の支払基礎日数が17日未満であった場合は、4月と6月の2力月で算定します。
Q.標準報酬月額の対象となる報酬とは?
A.報酬には給与や通勤手当、残業手当など被保険者が労務の对償として受けるもの全てのものを含みます。ただし、年3回以下の賞与や臨時に受けるもの(見舞金等)は含まれません。
Q.業務の特性上、例年4月〜6月が繁忙期に当たるため、残業手当等により他の期間と比べて多く支給されている場合は?
A.前年7月〜当年6月までの報酬月額の平均との間に、標準報酬月額等級区分で2等級以上の差があれば年間平均による保険者算定の对象となります。
Q.特定適用事業所に勤務する短時間労働者は?
A.昨年10月から社会保険の週用対象となった特定適用事業所(被保唉者数が501人以上の企業)で働く一定の短時間労働者については、4月〜6月のいずれも支払基礎日数が11日以上で算定します。
免税店数は4万店超となり3年間で7倍に
外国人旅行者等の非居住者に対して通常生活の用に供される物品(一般物品、消耗品)を一定の方法で販売する場合に消費税を免除して販売できる免税店(輸出物品販売場)は、外国人旅行者の増加と制度拡充により年々増加しています。
観光庁によると、今年4月1日時点の免税店数は全国で4万532店(前年比15.1%増)となり、 3年前の5777店から約7倍になりました。
なお、免税販売を行うには、店舗ごとに納税地を所轄する税務署長の許可が必要です。
ふるさと納税を行った方は住民税を確認
ふるさと納税を行った場合、確定申告を行った方は所得税と住民税から控除され、ワンストップ特例制度(確定申告を行わなくても控除が受けられる制度)を適用した方は所得税の控除はなく、その分を含めた全額が住民税から控除されます。
住民税分については、ふるさと納税を行った翌年度の住民税が減額される形で倥除されますので、この時期に届く住民税決定通知書に記載されている市町村民税(特別区民税)と道府県民税(都民 税)の税額控除額を確認しましょう。
なお、この税頟控除額櫊の金額はふるさと納税の控除だけではなく、住宅ロ一ン控除なども含まれた金額となります。
28年分所得税・贈与税の確定申告状況
◆所得税の確定申告書提出者は2169万人◆
国税庁が公表した平成28年分の確定申告状況によると、所得税の確定申告書を提出した方は2169万人(前年比0.8%増)で、うち還付申告を行った 方は1258万人(同0.9%増)となりました。
また、申告納税額があった方は637万人(同0.7%増)となり、その所得金額は40兆572億円(同 1.7%増)、申告納税額は3兆621億円(同3.1%増)と、いずれも2年連続で増加しています。
なお、上場株式等の譲渡所得について申告した方は93万2千人(同2.7%増)で、うち所得金額があったのは29万4千人(同36.3%減)と大幅に減少し、譲渡損失を翌年以降に繰り越した方は59万2千人(同34.0%増)となっています。
◆贈与税の申告状況は◆
贈与税について申告書を提出した方は50万9千人(同5.4%減)で、うち暦年課税(基礎控除110万円)を適用したのは46万4干人(同5.0%減)、相続時精算課税は4万5干人(同9.3%減)でした。
また、住宅取得等資金に係る非課税制度を適用した方は5万9千人(同11.3%減)で、贈与を受けた5169億円(同20.6%減)のうち、非課税の適用は4766億円(同22.6%減)となっています。
なお、同制度は父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に、住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日に応じて一定の限度額まで贈与税が非課税となる制度で、29年中に契約を締結した場合は、省エネ等住宅1200万円、一般住宅 700万円(震災被災者は1500万円・1000万円) まで非課税となります。
今月は「外国人労働者問題啓発月間」
毎年6月は、外国人労働者を雇用する際のルールなどの周知・啓発を行う「外国人労働者問題啓発月間」です。
外国人の方は、入管法で定められている在留資格の範囲内での活動が認められているため、雇用する場合には、就労することが認められる在留資格であるかなどを在留カード等で確認します。
また、外国人労働者の雇入れ・離職の際には、 ハロ一ワークに外国人雇用状況の届出を行うことが、事業主に義務付けられています(アルパイトの場合も対象)。届出をしなかったり、虛偽の届出をした場合や、不法就労させた場合は処罰の対象となりますので、注意しましょう。
協会けんぼによる被扶養者資格の再確認
協会けんぽ(全国健康保険協会)は毎年、健康保険の被扶養者について要件を満たしているかを再確認してもらうため、対象者がいる事業主に「健康保険被扶養者状況リス卜」を今月上旬から順次、送付します(7月末までに提出)。
再確認の実施により、昨年度は7万人の被扶養者資格が解除されています。解除となった主なケースは、*被扶養者が就職して被保険者となった、*被扶養者の年収が130万円(60歳以上などは180万円)以上となった、などです。
成立した民法改正(債権関係)のポイン卜
民法(債権関係)は、日常生活や経済活動における様々な契約の基本ルールなどが定められているもので、明治29年の制定から抜本的な改正は行われていませんでしたが、現代化を図るための改正が今月26日に可決・成立しました。
★改正法は公布から3年以内に施行★
多くの改正項目がありますが、主な改正には以下のような項目があります。なお、改正は公布から3年以内に施行されます。
◎債権の消滅時効……現行では原則、権利を行使できる時から10年間ですが、一定の債権については1〜3年の短い期間(例えば、飲食代金などは1年、商品の売掛代金などは2年)が規定されています。 改正では、このような短期消滅時効を廃止し、原則として権利を行使できることを「知った時から5年間」とします(現行の権利を行使できる時から10年間も維持し、いずれかに該当した場合に適用)。
◎個人保証の制限……事業融資における経営者等以外の個人保証について、契約締結前に保証人になる方が公正証書を作成して保証債務を負う恩思表示しなければ効力は生じないとされました。
◎法定利率……利率を定めていない埸合や、損害賠償金額の算定などに用いる法定利率を現行の年5%から年3%に引下げ、3年ごとに一定の規定により変動するものとします。
◎売買の目的物に欠陥があった場合……現行では、売買で引き渡された目的物が契約の内容に適合しないものである場合、買主は契約解除または損害賠償の請求ができますが、改正により売主に対して、目的物の修補、代替物の引渡しなども請求できます。