7月, 2015年
- 2015-07-31健康保険上の被扶養者と税法上の扶養親族
- 2015-07-29臨時給付金は、受付期限内に申請を
- 2015-07-2727年分から提出が必要となる「財産債務調書」
- 2015-07-24台風などで損害を受けた場合の税務Q&A
- 2015-07-22税務関係書類に係るスキャナ保存の要件緩和
- 2015-07-20熱中症になった場合の応急処置は?
- 2015-07-17今国会により現時点で成立している改正法
- 2015-07-15税務署の新事務年度始まる
- 2015-07-13大ロ・悪質な脱税を取り締まる査察
- 2015-07-10原則インターネツ卜で公表され法人番号
- 2015-07-08相続等による土地評価の基準となる路線価
- 2015-07-06予定納税の減額申請は7月15日までに!
- 2015-07-03平成27年7月から適用開始となる国外転出時課税
- 2015-07-01年間平均で標準報酬月額が決定できる場合
健康保険上の被扶養者と税法上の扶養親族
協会けんぽから、健康保険の被扶養者について要件を満たしているかを再確認してもらうため、対象者がいる事業所に送られている被扶養者状況リス卜は、今月末が提出期限です。
◆税法上と健康保険上における要件の違い◆
税法上の扶養親族と、健康保険上の被扶養者の要件は、主に以下のような違いがあります(健康保険組合では取扱いが異なる場合があります)。
◎対象者の範囲
*税法上……納税者と生計を一にしている6親等内の血族および3親等内の姻族で、勤務や療養等の都合上、別居している場合なども対象。
*健康保険上……被保険者に生計を維持されている3親等内の親族で、直系尊属、配偶者(内縁の妻も対象)、子、孫、弟妹は、同居していない場合も対象(それ以外の三親等内の親族は同居が必要)。
◎年間の収入金額
*税法上……年間の所得金額が38万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)。
*健康保険上……年収130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)で、かつ被保険者の年収の1/2未満(別居の場合は仕送り頟未満)。
◎収入の算定期間
*税法上……1月から12月までの1年間。
*健康保険上……過去における収入ではなく、被扶養者に該当する時点及び認定された日以降の年間の見込み収入額で判定。
◎遺族年金や失業等給付、出産手当金等の取り扱い
*税法上……非課税所得。
*健康保険上……収入に含まれる。
臨時給付金は、受付期限内に申請を
消費税率引上げに伴い、低所得者の方に1人6干円を支給する「臨時福祉給付金」や、子育て世帯に児童1人3千円を支給する「子育て世帯臨時特例給付金」が今年度も実施されます。
申請受付の開始時期は市区町村で異なりますが、「子肓て世帯臨時特例給付金」については、すでに多くの市区町村で受付が開始されています。
給付対象と思われる方には申請書が送られてきますが、受付期限内に申請しないと給付が受けられませんので、ご注意ください。
27年分から提出が必要となる「財産債務調書」
これまで、所得税の確定申告書を提出する必要があり、その年分の所得金額が2千万円を超える方は、財産の種類、数量、価額を記載した「財産債務明細書」を提出することになっていましたが、27年度改正において、提出基準や記載事項などが見直され、名称も「財産債務調書」となります。
財産債務調書の提出は、所得金額2千万円超の方が12月末時点で、
①財産の合計額が3億円以上、又は②有価証券等(国外転出時課税制度の対象財産)の合計額が1億円以上を有する場合に必要となります(その年の翌年3月15日までに堤出)。
なお、27年分から適用されるため、対象となる 方は28年3月15日までに提出します。
台風などで損害を受けた場合の税務Q&A
◆会社の資産が損害を受けた場合◆
Q.商品や店舗などが被災した場合は?
A.棚卸資産や固定資産などが災害により滅失・損壊した場合は、その損失額が損金になります。また、損壊した資産の取壊しや、土砂などを除去するための費用の損金になります。
Q.被災した固定資産を補修した場合は?
A.原状回復のための費用は、修繕費として損金にります。また、被災前の状態を維持するための補強工事や、排水又は土砂崩れの防止などのために支出した費用も修繕費として認められます。
ただし、被災資産の復旧に代えて資産を取得した貯水池などの特別な施設の設置は、新たな資産の取得となるため、修繕費にはなりません。
◆個人の資産が損害を受けた場合◆
Q.住宅や家財などが被災した場合は?
A.「雑損控除」又は「災害減免法」により所得税を軽減できます(有利な方を選択適用)。なお適用するには確定申告を行う必要があります。
Q.雑損控除とは?
A.災害や盗難、横領により、生活に通常必要な資産(住宅、家具、衣類など)が損害を受けた場合に、【損害金額-所得金額の10%】と【損害金額のうち災害関連支出の金額-5万円】のいずれか多い方を所得金額から控除できる制度です。
Q.災害減免法とは?
A.所得金額が1千万円以下の方で、災害により住宅や家財が時価の1/2以上の損害を受けた場合に、 所得金額に応じて税額が減免される制度です(500万円以下:全額免除、〜750万円以下:1/2軽減、~1千万円以下:1/4軽減)。
税務関係書類に係るスキャナ保存の要件緩和
保存が必要な国税関係書類のうち、決算関係書類や記載金額3万円以上の契約書・領収書等を除く書類は、一定要件の下、スキャナによる電子保存が認められています(適用する3力月前に税務署へ申請書を提出し、承認を受けることが必要)。
利用が低調なことなどから、27年度税制改正により要件が緩和され、28年1月から、*契約書・領収等の金額基準が撤廃され、全ての契約書・領収書等がスキャナ保存の対象になる、*スキャナで読み取る際の電子署名が不要になる、*見積書や注文書等の一般書類は、白黒での保存が可能になる、などの見直しが行われます。
熱中症になった場合の応急処置は?
熱中症は、めまいや筋肉痛、大量の発汗、さらに頭痛や吐き気、意識障害などの症状が現れます。
ご自身の体調の変化に気をつけるとともに、周囲に熱中症が疑われる方がいた場合は、
*すぐに涼しい場所へ避難させる、*衣服を緩め、水をかけるなど体を冷やす、*冷たい水やスポーツドリンクなどで水分を補給する、
などの応急処置が重要となります。自力で水分の摂取ができない様子や意識障害などが見られる場合は、すぐに病院へ搬送しましょう。
今国会により現時点で成立している改正法
今通常国会は、会期が延長され、9月27日までとなりましたが、これまでに以下のような改正法が成立しています(4月以降に成立した主なもの)。
◎中小企業信用保険法の改正……*地域の経済や雇用を担うNPO法人の事業資金の調達を支援するため、中小企業信用保険の対象に一定のNPO法人を追加する、*特別小口保険の対象となる信用保証協会の保証割合について、部分保証を導入する。
◎地域再生法の改正……東京から地方へ本社機能を移転する場合や、地方の企業が本社機能等を強化する場合に、取得した建物等の投資減税や雇用促進税制の特例を適用する、など。
◎不正競争防止法の改正……営業秘密の保護強化のため、*罰金額の引上げ及び犯罪収益の没収等の措置を講じる、*営業秘密侵害罪を非親告罪とする、*営業秘密侵害の未遂行為を処罰対象にする、など。
◎特許法等の改正……社員による職務発明について、あらかじめ契約、勤務規則などで定めることで、特許の権利を企業に帰属されることができる。その代わり、発明者に対しては、相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を与える、など。
◎道路交通法の改正……*75歳以上の運転者が認知機能が低下した場合に行われやすい一定の違反行為をした際、臨時に認知機能検査を行う、*運転免許の種類として準中型自動車免許を新設する、など。
◎裁判員の参加する刑事裁判に閎する法律の改正…… *蕃判に著しい長期間を要する事件等等について、 例外的に裁判員の参加する合議体で取り扱う事件から除外する、*裁判員等選任手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護する規定を整備する、など。
税務署の新事務年度始まる
国税職員の定期人事異動の発令が7月10日にあり、平成27事務年度が始まりました。
新体制のもとで税務調査が始まりますので、何時来られても対応できるよう帳薄や領収書・契約書など証拠書類を整理しておきましょう。
税務調査は原則として、電話により事前通知(顧問税理士にも通知されます)がありますので、日時や対象税目・担当部門・調査官名などを間きます。なお、日時等の都合が悪い場合は、正当な理由があれば変更することも司能です。
大ロ・悪質な脱税を取り締まる査察
査察(マルサ)とは、一般の税務調査と異なり、 大口・悪質な脱税者に対して強制調査を行い、刑事貴任を追及する特別な調査です。
平成26年度査察事績によると、26年度中の処理件数は180件で、そのうち検察庁に告発したのは112件となり、告発率は62.2%でした。また、 脱税額の総額は約150億円となっています。
脱税の手段・方法には、売上除外や架空の原価・経費の計上が多くみられたほか、架空の課税仕入とそれに見合う架空輸出免税売上を計上する方法で不正に還付を受けていたケースや、海外の仕入先に架空のインボイスを作成させ架空仕入を計上していたケースなどがありました。
原則インターネツ卜で公表され法人番号
10月から、住民票を有する全ての方に12桁のマイナンバ一(個人番号)の通知が始まりますが、法人にも13桁の法人番号が指定され、登記上の所在地に通知されます(1法人に1番号のみ)。
法人番号は、税分野の手続きで利用することになり、例えば、法人税の申告の場合、28年1月以降に開始する事業年度から法人番号を記載します。
なお、法人番号は、個人番号とは異なり利用範囲の制約がなく、原則インターネツ卜(法人番号公表サイト)を通じて、
①商号又は名称、②本店又は主たる事務所の所茌地、③法人番号が公表されます。また、このサイ卜では、法人情報の検索や、データのダウンロードなども提供されます。
相続等による土地評価の基準となる路線価
国税庁は、相続税や贈与税の土地評価額を算定する際の基準となる平成27年分の路線価 (及び評価倍率)を公表しました。
◆7年連続下落となったものの下落幅は縮小◆
全国約32万9千地点における標準宅地の対前年変動率は、7年連続の下落(▲0.4%となりましたが、下落幅は5年連続で縮小し、都道府県別では10都府県が前年を上回りました。
相続などで取得した土地等の評価方法には、路線価方式と倍率方式があり、路線価方式は、路線価(道路に面した標準的な宅地の1㎡あたりの価額)を土地の形状等に応じた各種補正率で補正した後の面積に乗じて計算します。一方、倍率方式は、路線価が定められていない土地の評価方法で、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。
◆評価額を把握し、相続税対策を◆
今年から相続税の基礎控除額が「3千万円+600万円X法定相続人数」に引下げられましたが、土地は相続財産で大きな割合を占めますのて、路線価等を確認し、評価額を把握しておきましょう。
なお、被相続人(亡くなった方)の居住または事業用に使われていた宅地等を相続で取得した場合、要件を満たせば評価額が大幅に減額される「小規模宅地等の特例」があります。例えば、居住用宅地の場合、33O㎡まで80%減額されますが、特例を適用できるのは原則、配偶者や被相続人と同居していた親族となります(一定の別居親族も適用可能)。
予定納税の減額申請は7月15日までに!
27年分所得税の予定納税が必要な方(前年の税額に基づき予定納税基準額が15万円以上)には、「予定納税額の通知書」が送付されています。
予定納税額は原則、第1期分を7月31日まで、第2期分を11月30日までに、それぞれ基準頟の1/3を納付します。ただし、業況の悪化や、災害などで、予定納税基準額よりも少なくなると見込まれる場合は、減額を求めることができます。
第1期分の減額申請は、7月15日までに申請書を税務署に提出する必要があります。
平成27年7月から適用開始となる国外転出時課税
◆非居住者への贈与等にも適用◆
今年度税制改正において創設された国外転出時課税制度が、7月1日から適用されます。
同制度は、1億円以上の有価証券などの対象資産を所有等している一定の方が7月1日以後に国外転出(国内に住所又は居所を有しないことになること)をする場合に、対象資産の譲渡等があつたものとみなして、含み益に所得税を課税する制度です。
また、対象者が国外転出を行う場合だけではなく、国外に居住する親族等(非居住者)に対して対象資産の贈与または相続等が行われた場合にも、その対象資産の含み益に所得税が課税されます。
◆具体的な対象者や対象資産などは◆
具体的な対象者は、*国外転出、贈与または相続開始の時に対象資産を1億円以上所有等していること、*国外転出、贈与または相続開始の日前10年以内において、国内に5年を超えて住所又は居所を有していること、に該当する方です。
対象資産については、有偭証券、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・デリバティブ取引が該当し、含み益の有無にかかわらず、全ての対象資産の偭額の合計額で1億円以上となるかどろかを判定します。
同制度の適用対象となる場合は、所得税の確定申告等の手続を行う必要があります(相続等の場合は相続人)。また、一定要件の下、納税猶予制度や税額の減額措置を受けることができます。
なお、国外転出等の日から5年以内に帰国した場合に、引き続き所有等している対象資産は、課税の取消しができます。
年間平均で標準報酬月額が決定できる場合
算定基礎届の提出が近づいています(7月10日まで)。標準報酬月額は、毎年4〜6月の3力月間の平均報酬額から算出しますが、例えば、4月〜6月が繁忙期に当たるため、残業手当等により他の期間と比べて多く支給されている場合などがあります。
このような場合で、3力月間の平均報酬額と、前年7月〜当年6月までの報酬月額の平均との間に、標準報酬月額等級区分で2等級以上の差があれば、年間平均による保険者算定の対象となります(一定の書類の提出が必要)。ただし、業種や職種の特性上、例年季節的な報酬変動の起こることが見込まれている埸合が対象です。