6月, 2014年
- 2014-06-30開設されたNISA口座数は約650万口座
- 2014-06-27法人向けネットバンキングの不正利用に注意
- 2014-06-25税務署の処分に不服がある場合は
- 2014-06-23求人における年齢制限は原則禁止
- 2014-06-20経済サンセス‐基礎調査などが来月実施
- 2014-06-18教育資金贈与、1年間で4500億円に(Q&A)
- 2014-06-16“算定基礎届”作成のご準備を!
- 2014-06-13経営者保証によらない融資の取組事例
- 2014-06-11協会けんぽの被扶養者資格の再確認
- 2014-06-09民税に対する復興特別税は今月から
- 2014-06-062014年6月のチェックポイント
- 2014-06-04外国人労働者を雇用する際は
- 2014-06-0225年分所得税・贈与税の確定申告状況
開設されたNISA口座数は約650万口座
金融庁が実施したNISA口座の開設・利用状況等の調査によると、開設された口座数(26年3月末時点)は650万3951口座となり、年代別では60歳以上が59.8%を占めています。
また、NISA口座における買付総額は1兆34億4608万円で、そのうち投資信託が61.9%、上場株式は36.3%となっています。
なお、上場株式の配当金や、ETF・REITの分配金について、証券会社の口座で受け取る「株式数比例配分方式」以外の受取方法(郵便局や指定の銀行口座で受け取る方式)を選択している場合は、非課税にならないので注意が必要です(投資信託の分配金は受取方式に関わらず非課税)。
法人向けネットバンキングの不正利用に注意
全国銀行協会は、インターネット・バンキングでの不正送金被害が個人だけでなく法人にも拡大していることから、注意を呼びかけています。
利用者は、パソコンのOSやブラウザ、セキュリティ対策ソフト等を最新の状態に更新するとともに、*取引の申請者と承認者とで異なるパソコンを利用する、*パスワードを定期的に変更する、*振込・払戻し等の限度額を必要な範囲内で低く設定する、*不審なログイン履歴がないかを確認する、などの対策を実施しましょう。
税務署の処分に不服がある場合は
税務署が行った課税処分や、差押えなどに不服があり、処分の取消しや変更を求める場合は、原則として処分を行った税務署長に対して「異議申立て」を行います。その異議申立てに対する決定(異議決定)があった後の処分にも不服がある場合は、国税不服審判所長に対して「審査請求」をすることができます。
25年度に処理された異議申立ては2534件で、そのうち納税者の主張が一部でも受け入れられた件数は253件(一部容認179件、全部容認74件)でした。また、審査請求については、3073件のうち236件(一部容認163件、全部容認73件)となっています。
求人における年齢制限は原則禁止
厚労省が発表する有効求人倍率は、4月が1.08倍となり17カ月連続で改善し、6ヶ月連続で1倍を超えました。
◆募集・採用での年齢制限は原則禁止◆
求人を行う場合、「40歳以下の方を募集」といった年齢制限をすることは、雇用対策法により原則として禁止されているため、職務に必要な適性や能力等をできる限り具体的に明示することが求める人材を雇用するポイントになります。
この年齢制限の禁止は、ハローワークや民間の職業紹介事業者、求人広告、事業主が直接募集・採用する場合などに適用されます。ただし、例外的に年齢制限を行うことが認められる場合もあります。
◆年齢制限が認められる例外事由◆
以下のような例外事由に該当する場合は、年齢制限を行うことが認められます。
◎定年年齢を上限とし、期間の定めがない労働契約をする場合。
◎労働基準法等の法令により、特定年齢層の就業が禁止・制限されている業務の場合(警備業など)。
◎長期勤続によるキャリア形成の観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象とする場合(職業経験の不問、新卒者と同等の処遇が要件)。
◎技能・ノウハウの継承の観点から、特定の業種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、期間の定めがない労働契約をする場合。
◎芸術・芸能の分野において、表現の真実性等のために特定の年齢層が必要な場合。
◎60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する国の施策の対象者に限定する場合。
経済サンセス‐基礎調査などが来月実施
国の統計調査として7月1日に「経済センサス基礎調査」と「商業統計調査」が実施されます。
「経済サンセス‐基礎調査」は、産業や従業者規模等の基本的構造を明らかにするための調査で、全ての事業所・企業が対象となります。また、「商業統計調査」は、商業活動の実態を明らかにするための調査で、卸売・小売業を含む全ての事業所を対象に行われます。
なお、支社等のない事業所には、今月までに調査員が訪問し調査票の配布等が行われます。
教育資金贈与、1年間で4500億円に(Q&A)
◆1件あたり約667万円の贈与◆
昨年4月に「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」がスタートしましたが、信託協会によると、加盟する信託銀行で取扱う教育資金贈与信託は今年3月末までの1年間で、契約数が67073件、信託財産設定額は4476億円となったようです。
この制度は、祖父母等(受贈者の直系尊属)が孫等(30歳未満)に対して教育資金を一括贈与する場合、受贈者ごとに1500万円(学校等以外に支払われる金額は500万円)まで贈与税を非課税とする措置で、利用するには取扱金融機関で開設した専用口座に贈与する教育資金の預入等を行い、管理する必要があります。
なお、27年末までに行う贈与が対象となります。
◆Q&A◆
Q.どのような費用が非課税の対象?
A.入学金や授業料など学校等に直接支払う費用は1500万円まで、塾や習い事など学校等以外に支払う費用は500万円まで、贈与税が非課税となります。なお、教育資金として支出したことを証明する領収書等を金融機関に提出する必要があります。
Q.口座契約はどうなったら終了する?
A.*受贈者が30歳に達する、*受贈者が亡くなる、*残高がゼロになり、契約を終了させる合意がある、のいずれかに該当した場合に終了します。
Q.口座契約終了時に残高がある場合は?
A.教育資金支出額を控除した残額(残高+教育資金に該当しない支出額)がある場合は、契約終了時点でその残額の贈与があったものとして贈与税が課税されます(受贈者が亡くなった場合は除く)。
“算定基礎届”作成のご準備を!
年金事務所から“算定基礎届”等の書類が届いたら、印字されている氏名等を確認します。対象者は、7月1日現在の被保険者全員ですが、6月1日以降に資格取得した人などは除きます。
標準報酬月額は、4~6月に支払われた報酬の平均額により算定しますが、支払基礎日数が17日未満の月は除きます(短時間就労者は取扱いが異なります)。また、対象となる報酬は、基本給や諸手当など労働の対償として支払われる全てのもの(定期券などの現物支給も含む)ですが、年3回以下の賞与などは含みません。
なお、提出期間は7月1日~10日ですが、指定日に窓口持参を依頼される事業所もあります。
経営者保証によらない融資の取組事例
◆経営者保証を提供しない場合の経営状況は◆
中小企業経営者の個人保証に依存しない融資を促進されるため、経営者保証に関する契約時及び履行時等における中小企業、経営者及び金融機関の対応についての自主的ルールとして、「経営者保証に関するガイドライン」が策定され、今年2月から適用されています。
本ガイドラインでは、経営者保証を提供しない資金調達を希望する場合に必要な経営状況として、①経理や資産所有について法人と経営者の関係を明確に区分・分離すること、②財務状況及び経営成績の改善により信用力を強化すること、③明確・丁寧に信頼性の高い情報を開示・説明し、経営の透明性を確保する等に努めることが求められています。
◆ガイドラインを活用した金融機関の取組事例◆
金融庁が公表した「経営者保証に関するガイドラインの活用に係る参考事例集」では、金融機関における取組みが紹介されており、例えば、経営者保証を求めなかった事例として次のような経営状況が挙げられています。
① 「中小企業の会計に関する基本事項」に則った計算書類を作成し、法人と経営者の間に資金の賃借はなく、役員報酬も適正な金額となっているなど、資産・経理が明確に区分・分離されている。
② 収益力で借入金の返済が十分可能であり、また、借換資金の調達余力にも問題がない。
③ 情報開示の必要性にも十分な理解を示し、適時適切に試算表や資金繰り表により財務情報等を提供しており、長年の取引の中で良好なリレーションシップが構築されている。
協会けんぽの被扶養者資格の再確認
協会けんぽ(全国健康保険協会)では例年と同様に、健康保険の被扶養者要件を満たしているかを再確認してもらうため、「健康保険被扶養者状況リスト」を今月下旬にかけて事業主に送付しています(7月末までに提出)。
被扶養者が就職している場合や、一定の収入を超える場合などで解除される被扶養者がいる場合は、同封されている異動届を提出します。
なお、この再確認により昨年度は、約7万人の被扶養者資格が解除となっています。
民税に対する復興特別税は今月から
東日本大震災による復興財源を確保するため、所得税については昨年から基準税額に2.1%を乗じた金額が復興特別所得税として課税されています(49年までの25年間)。
個人住民税についても今年度から35年度までの10年間にわたり復興特別税が加算され、均等割が年額1000円引上げられます。これに伴い、給与から天引きする特別徴収の場合は、6月分から増額されることになります。
一方、法人に対する復興特別法人税は、税制改正により課税期間が1年短縮されたため、26年4月1日以後に開始する事業年度については原則、課税されません。
2014年6月のチェックポイント
※労働保険の年度更新手続きの受付が6月2日から始まります。健保・厚年の「算定基礎届」の提出事務と併せて早めに準備をしておきます。
なお、提出期限はともに7月10日(木)です。
※6月支給の給与から、新年度の個人住民税の特別徴収が始まるので、資金台帳に徴収額を記入。
※賞与を支給した企業は「賞与支払届」を作成して5日以内に所轄の年金事務所に提出します。
※賞与・中元商戦・納期の特例分の源泉所得税など資金需要が増えるので資金繰りに注意します
外国人労働者を雇用する際は
今月は「外国人労働者問題啓発月間」として、ルールを守った適正な雇用の啓発が行われます。
外国の方は、入管法で定められている在留資格の範囲内での活動が認められるため、雇用する場合には、就労することが認められる在留資格であるか等を在留カードやパスポートで必ず確認します。また、外国人労働者の雇用および離職の際には、ハローワークに外国人雇用状況の届出を行うことが、全ての事業主に義務付けられていますので、注意しましょう(報告を怠ったり、虚偽の届出を行った場合は、罰金の対象となります)。
なお、社会保険や労働保険は原則として、日本人と同様に適用されます。
25年分所得税・贈与税の確定申告状況
◆所得税の申告状況◆
国税庁が公表した平成25年分の確定申告状況によると、所得税の確定申告書を提出した方は2143万4千人(前年比0.4%減)で、そのうち申告納税額があったのは621万8千人(同2.1%増)、還付申告は1240万3千人(同1.4%減)でした。
昨年は、経済対策や金融緩和などにより株式相場が上昇したことから、株式等の譲渡所得を申告した109万8千人(同11.6%増)のうち、所得金額があった方は66万1千人(同189.1%増)、その所得金額は4兆8357億円(同238.0%増)となり、大幅に増加しています。
なお、確定申告の義務がない方の還付申告は、5年間行うことができます(25年分は30年末まで)。
◆贈与税の申告状況◆
贈与税の申告書を提出した方は49万1千人(前年比12.6%増)で、そのうち暦年課税(110万円の基礎控除)を適用したのは43万9千人(同12.4%増)、相続時精算課税は5万2千人(同13.6%増)でした。
また、住宅取得等資金の非課税制度については、7万5千人(同18.5%増)が適用し、5767億円(同1.1%増)が非課税となっています。なお、26年中は一般住宅500万、省エネ・耐震住宅1000万円(震災被災者は異なる)まで、住宅取得資金の贈与が非課税となります(同制度は26年までの措置となっていますが延長される可能性があります)。 来年から相続税の基礎控除引下げなどが始まりますので、贈与税の基礎控除や非課税制度を活用した生前贈与が有効な対策となります。