8月, 2017年
- 2017-08-30納め忘れの年金保険料は「後納制度」を利用
- 2017-08-28倒産防止共済の前納減額金に係る見直し
- 2017-08-25平成29年度地域別最低賃金の改定とQ & A
- 2017-08-23消費税の中間申告度が必要となるのは
- 2017-08-21相続財産から控除される「葬式費用」とは
- 2017-08-11国税の滞納状況と猶予制度
- 2017-08-0929年9月以降は固定される厚生年金保険料率
- 2017-08-07ふるさと納税による住民税控除は1767億円
- 2017-08-04最低賃金の引上げ目安は全国平均25円に
- 2017-08-022017年8月から変わる社会保障関連制度
納め忘れの年金保険料は「後納制度」を利用
今月から老齡年金の受給資格期間が原則10年 (120月)以上に短縮されましたが、満額の老齡基礎年金を受け取るには、国民年金保険料を40年間、納付している必要があります。
保険料の納め忘れなどで未納となっている期間がある場合は、原則として納付朋限から2年過ぎると時効によって納付できなくなりますが、30年9月までの時限措置として「5年の後納制度」が実施されており、5年前まで遡って保険料の納付ができます。
倒産防止共済の前納減額金に係る見直し
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先が倒産した場合に、掛金総額の10倍を限度(最高8千万円)とした貸付などが受けられる制度です。
同制度では掛金を前納した場合に、掛金月額と 前納期間に応じた前納減額金(割引金)が契約者に支払われます(3月末時点で前納減額金が合計5千円未満の場合は翌年に持ち越し)。
制度改正により、前納減額金の算定に用いる掛金の減額率が「0.9/1000」(現行5/1000) に引下げとなり、契約者の受取額が減少します。 この改正は、29年11月以降に前納した分から適用されます(10月までは現行の減額率を適用)。
平成29年度地域別最低賃金の改定とQ & A
◆全ての地域で22円以上の引上げ額に◆
29年度の地域別最低賃金ついて、中央最低賃金審議会が示した引上げ目安などを参考に各都道府県の地方最低賃金審議会が審議した改定額の答申が出揃いました。
答申された改定額は、すべての地域で22円以上 (22〜26円)の引上げとなり、全国加重平均額は848円(25円引上げ)となります。
改定額の発効日は各郡道府県で異なり、9月30日から10月中旬までに順次発効される予定です。地域別最低賃金は原則、産業や職種、雇用形態に関係なく適用されますので、厚労省や労働局のホームページ等で必ず確認しましょう。
◆地域別最低賃金に関するQ&A◆
Q.最低貸金の対象となる賃金とは?
A.毎月支払われる基本的な賃金が対象となり、実際に支払われる賃金から一部の賃金(割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当など)を除きます。
Q.最低賃金未満の賃金で契約した場合は?
A.仮に最低賃金額未満の賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めた場合でも、それは法律によって無効とされ、最低質金額と同様の定めをしたものとみなされます。
Q.最低賃金未満の賃金を支払っていた場合は?
A.使用者が労働者に最低賃金未満の賃金を支払っていた場合は、差額を支払わなくてはなりません。 なお、支払わない場合は罰則が定められています。
Q.派通労働者に適用される最低賃金は?
A.派遣先の事業場がある地域の最低賃金が適用されます。
消費税の中間申告度が必要となるのは
消費税の課税期間は原則として1年とされていますが、個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度の消費税の年税額が48万円(地方消費税額は含みません)を超える場合は、消費税を分けて納税する中間申告が義務付けられています。
なお、事業状況が前年と著しく異なる場合などは、「前年実績による中間申告」に代えて、各中間申告対象期間を一課税期間とみなして仮決算を行い、これに基づいて計算した消費税額等により中間申告・納付ができます。
相続財産から控除される「葬式費用」とは
相続税を計算する際、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から差し引くことができますが、それ以外にも一定の相続人が負担した葬式費用を遺産総額から差し引くことができます。
葬式費用となるものは、*葬式や葬送に際し、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用、*遺体や遺骨の回送にかかった費用、*葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用、*葬式に当たりお寺などに対する読経料などの費用、*遺骨の運搬にかかった費用などが該当します。
一方、*香典返しのためにかかった費用、*墓石や墓地の買入れのためにかかつた費用などは葬式費用に該当しません。
国税の滞納状況と猶予制度
◆新規滞納額の6割を占める「消費税」◆
国税庁が公表した「平成28年度租税滞納伏況」によると、今年3月末における国税滞納残高は8971億円(前年度比8.2%減)となり、18年連続で減少しました。
また、28年度に発生した新規滞納額は6221億円(同9.5%減)で、このうち消費税が3758億円 (同14.5%減)と全体の約60%を占めています。
税金を納期限までに納付しなかった場合は、延滞税が課せられるほか、督促伏を受けても納付が行われない場合には、財産の差押えや換価(売却)といった滞納処分を受けることがあります。また、金融機関からの融資が困難になるなど経営に影響が出ますので、納税資金を考慮した資金繰りが重要です。
◆国税が納付困難となった場合の猶予制度◆
国税を一時に納付することが困難な理由がある場合は、以下の猶予制度を税務署に申請することで、財産の差押えや換価(売却)の猶予などが認められる場合があります(原則、猶予期間は1年以内となり、猶予を受けた国税は猶予期間中に分割納付)
◎納税の猶予……災害、病気、事業に著しい損失が生じたなどのやむを得ない理由や、本来の期限から1年以上経って修正申告などで納付税額が確定したことによって、国税を一時に納付できないと認められる場合は、申請により納税が猶予されます。
◎換価の猶予……国税を一時に納付することにより事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合は、猶予を受ける国税の納期限から6力月以内の由請により、差押財産の換価(売却)が猶予されます
29年9月以降は固定される厚生年金保険料率
厚生年金保険の保険料は、標準報酬月額や標準賞与額に保険料率を乗じて計算されます。
保険料率は、16年の法改正により、将来の保険料率を固定したうえで、給付水準を調整する仕組み(保険料水準固定方式)が導入され、これまで每年9月に0.354% (一般の場合)ずつ段階的に引上げが行われてきました。
この保険料率引上げは今年9月の改定で最後となり、29年9月分(10月納付分)以降は18.3%で固定されることになっています。
ふるさと納税による住民税控除は1767億円
ふるさと納税をした方は、確定申告又はワンストップ特例制度(確定申告を行わなくても控除が受けられる制度)を適用することで、ふるさと納税を行った翌年度分の個人住民税から減額される形で控除が受けられます。
総務省によると、28年中に行われたふるさと納税額2540億円(前年比1.7倍)について、29年度分の住民税から控除を受けた方は225万3千人 (同1.7倍)で、控除額は1767億円(同1.8倍) となりました。
なお、控除を受けた方のうち、ワンストップ持例制度の適用者は77万2千人(同1.8倍)、控除額は449億円(同2.0倍)でした。
最低賃金の引上げ目安は全国平均25円に
毎年10月頃に改定される地域別最低質金は、大幅な引上げが続いていますが、中央最低賃金審議会が答申した29年度の引上げ額の目安は、全国加重平均で25円となり、全都道府県で20円を超える目安額が示されました。
各都道府県の引上げ額の目安は4ランクに分かれており、Aランク(26円)は6都府県、Bランク(25円)は11府県、Cランク(24円)は14道県、Dランク(22円)は16県となっています。
今後、この目安をもとに各地方最低質金審議会で審議を行い、改定額が決まることになりますが、 目安額どおりに引上げられた場合は、全国加重平均で時給848円となります。
2017年8月から変わる社会保障関連制度
8月から以下のような見直しが実施されます。
◎高額療養費の上限額変更(70歳以上)……1力月に支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合に払い戻す制度について、70歳以上の方の上限額(月ごと)が次のように変わります。
*現役並み所得者の外来(個人ごと)の上限額を5万7600円(現行4万4400円)に引上げます。
*一般所得者の外来(個人ごと)の上限額を1万4千円(現行1万2千円)に引上げます。ただし、年間14万4千円の上限が設けられます。また、世帯ごと(外来+入院)の上限額を5万7600円(現行4万4400円)に引上げます。
◎高額介護サービス費の上限額変更……1力月に支払った介護サービスの利用者負担が一定の限度額を超えた場合に払い戻す制度について、「世帯内のどなたかが住民税を課税されている方」の上限額(月額)を4万4400円(現行3万7200円)に引上げます。ただし、1割負担の方のみの世帯には、年間44万6400円の上限を設けます(時限措置)。
◎年金受給資格期間の短縮……老齡年金の受給資格期間(保険料の納付期間や免除期間などの合計)は、これまで原則25年以上必要でしたが、「原則10年 (120月)以上」となります。
◎介護保険料の算定に「総報酬割」を導入……40〜64歳が負担する介護保険料の算定方法について、各医療保険者(健保組合や協会けんぽなど)の加入数に応じて決める加入者割から、加入者の報酬額に比例する総報酬額へ段階的に移行します(32年度に全面導入)。報酬水準が高い健保組合の被保険者は負担増となり、協会けんぽでは負担減となります。