1月, 2020年
- 2020-01-314月から中小企業も「時間外労働の上限規制」
- 2020-01-29上場式等で異なる課税方式を選択する場合
- 2020-01-27給与所得者に副収入がある場合は
- 2020-01-24事業承継時の経営者保証ガイドラインの特則
- 2020-01-22キャッシュレス・ポイント還元事業の効果は
- 2020-01-20医療費控除の対象となる費用、ならない費用
- 2020-01-17令和2年1月から変わる制度等(税制以外)
- 2020-01-15スマホ申告の対象範囲の拡大等
- 2020-01-14「不動産の使用料等の支払調書」の提出
- 2020-01-10令和2年1月から適用される主な税制
- 2020-01-08給与所得者の確定申告(還付申告)について
- 2020-01-071月は税務事務が集中・お早目のご準備を
- 2020-01-06新年のご挨拶
4月から中小企業も「時間外労働の上限規制」
本年4月から、中小企業にも「時間外労働の上限規制」が適用されます。
◆「時間外労働の上限規制」のポイント
労働時間は労働基準法によって上限が定められており、
労働者に法定労働時間( 1日8時間・1週40時間)を超える時間外労働をさせる場合 法定休日( 1週1日又は4週4日)に労働させる場合には、 |
労使協定(36協定)の締結・届出が必要です。
改正により、36協定で定めることができる時間外労働時間について、次のように上限が設けられます。
◎時間外労働 (休日労働は含まない) の上限・・・・・・
原則として月45時間・年360時間が上限となり、臨時的な特別の事情がなければ、超えることができません。
◎臨時的な特別の事情がある場合・・・・・・
臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、
*時間外労働が年720時間以内、 *時間外労勵と休日労働の合計が月100時間未満、複数月平均80時間以内、 *時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6カ月が限度、 |
◎上限規制の適用が猶予・除外される事業・業務・・・
建設事業、自動車運転の業務、医師、鹿児島・沖縄砂糖製造業(時間外労働十休日労働が100時間未満、複数月平均80時間以内とする規制のみ猶予)は、令和6年(2024年) 3月まで適用が猶予されます。
また、新技術・新商品などの研究開発業務は適用除外となります。
◎経過措置・・・・
施行前と施行後(本年4月1日)をまたがる期間の36協定を締結している場合には、その協定の初日から1年間に限って有効となります。
上場式等で異なる課税方式を選択する場合
上場株式等の配当所得等及び特定口座内(源泉徴収あり)の譲渡所得等については、所得税と住民税が源泉徴収されています。そのため申告は不要です。
ですが、各種所得控除等を適用するために総合課税(配当所得等のみ)又は申告分離課税を選択して申告することができ、所得税と住民税でそれぞれ異なる課税方式を選択することもできます。
例えば、上場株式等の配当所得等について、所得税は総合課税又は申告分離課税を選択した場合でも、住民税は申告不要を選択できます。
なお、異なる課税方法を選択する場合は、住民税に係る納税通知書が送達される日までに、住民税の申告を提出する必要があります。
給与所得者に副収入がある場合は
年末調整が済んでいる給与所得者であっても、その給与所得以外に副収入等によって20万円を超える所得を得た場合は、確定印告が必要です。
例えば、オークションサイトやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引により得た所得は雑所得に該当します。
ただし、生活の用に供している資産(古着や冢財など)の売却による所得は非課税となるため、確定申告は不要です。
☆「法定調書」「給与支払報告書」「固定資産税の償却資産に関する申告書」の提出期限は1月31日。 |
事業承継時の経営者保証ガイドラインの特則
経営者保証に依存しない融資を促進させるため、平成26年2月から「経営者保証に関するガイドライン」が運用されていますが、円滑な事業承継の阻害要因となり得る経営者保証の取扱いを明確化するため、事業承継時の具体的な対応などを定めた特則が策定されました(本年4月から適用)。
本特則では、 ①原則として前経営者、後継者の双方からニ重に保証を求めない、 ②後継者に経営者保証を求めることで事業承継が頓挫する可能性などを考慮し、保証の必要性を柔軟に判断する、 ③前経営者との保証契約は、実質的な経営権・支配権を保有しているといった場合を除き、保証解除に向けて見直しを行う、などを定めています。 |
キャッシュレス・ポイント還元事業の効果は
昨年10月から実施している「キャッシュレス・ポイント還元事業」の登録加盟店数は1月11日時点で約95万店となりました。
昨年12月2日までの対象決済金額は約2.3兆円(クレジットカード14兆円、QRコード0.2兆円、その他電子マネー等0.7兆円)、還元額は約900億円です。 |
参加店舗のアンケート調査によると、
「売上に効果あった」は約39%、 「顧客獲得に効果あった」は約37%、 キャッシュレス手段の導入等で「業務効率化に効果あった」は約39%でした。 |
医療費控除の対象となる費用、ならない費用
医療費控除の対象となる費用、ならない費用
医療費控除は、本人又生計を一にする親族のために支払った医療費が10万円(所得200円未満の方は所得の5%)を超える場合に、超えた部分の金額を所得控除できます(最高200万円)。
なお、セルフメデイケーション税制との選択適用となります。
◆対象となる費用、ならない費用
①入院費用・・・・・・ 入院の際の部屋代や食事代は対象になりますが、寝具や洗面具などの身の回り品の購入費用は対象外です。 また、病状などにより個室を使用する必要がある場合の差額ベッド代は対象ですが、本人や冢族の都合で個室にした場合は対象外です。 |
②通院費用・・・・・・ 電車やバスなどの交通機関を利用した場合は対象(付添が必要な場合は、付添人の交通費も含む)となりますが、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場の料金は対象外です。 |
③予防接種の費用・・・・・・ 予防の費用は対象外です。 |
④健康診断等の費用・・・・・・ 対象外です。 ただし、診断で発見された疾病を治療する場合は、治療費だけではなく健康診断等の費用も対象になります。 |
⑤マッサージ・はり代・・・・・・ 治療の場合は対象になりますが、健康維持のためであれは対象外です。 |
⑥保険適用外の自由診療の費用・・・・・・ 保険用は関係なく、治療目的であれば対象となりますが、美容目的で行うものは対象外です。 |
⑦未払となっている医療費・・・・・・ 対象となる医療費は、その年中に実際に支払った金額に限られます。 |
⑧保険金などで補てんされる金額がある場合・・・・・ 補てんの対象である医療費から差し引きます。引ききない金額が生じた場合でも他の医療費からは差し引きません。 |
令和2年1月から変わる制度等(税制以外)
◎ハローワークの利用方法の変更
ハローワークのシステムとインターネットサーピスが新しくなり、
①求人票の様式が変わり、掲載する情報が詳細になる ②ハローワーク内のパソコン(検索・登録用末)とインターネットサーピスが一本化され、同じ求人情報が公開される ③インターネットサービスで「求人者マイベージ」を開設する |
◎Windws7のサポート終了
マイクロソフトが提供するWindows7のサポートが1月14日に終了し、不具合や脆弱性が発見された場合でもセキコリティ更新プログラムが提供されなくなります。
なお、Win7の「プロフェッショナル」と「エンタープライズ」は拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)を購入した場合、緊急又は重要なセキュリティ更新プログラムの提供が受けられます。
◎法人番号等の公表時期の短縮
法人番号の指定をを受けた法人等の基本3情報(商号又は名称、本店または主たる事務所の所在地、法人番号)が「国税庁法人番号公表サイト」に公表される時期について、1月14日から法人番号を指定後(従来は通知後)に、公表されます。
◎令和2年以降の 「国民の祝日」
①新天皇即位に伴い、「天皇誕生日」は2月23日になります。 ②10月第2月曜日の「体育の日」が「スポーツの日」に名称変更されます。 ③東京オリンピックが開まされる令和2年に限り、 「海の日」は7月23日、 「スポーツの日」は7月24日、 「山の日」は8月10日になります。 |
スマホ申告の対象範囲の拡大等
国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」では、パソコンやスマートフォンで申告書の作成やe-Taxによる送信ができます。
これまでスマホ専用画面の利用は、給与所得者 (年末調整済み1か所)で医療費控除又は寄附金控除を適用する方に限られていました。 令和元年分からは、2か所以上の給与所得がある方、年金収入や副業等の雑所得がある方なども対象となり、全ての所得控除で利用できるようになるなど対象範囲が拡大しました。 |
スマホからマイナンパーカードを利用したe-Tax送信が可能になります(マイナンバーカードとマイナンバー対応スマホが必要)。 |
「不動産の使用料等の支払調書」の提出
「不動産の使用料等の支払調書」の提出 法人は個人に対して、その年中に支払った不動産の使用料(事務所の冢賃等)が合計15万円を超える場合に、「不動産の使用等の支払調書」を提出する必要があります。 法人に対して支払う家賃や賃借料については不要ですが、権利金や更新料等については提出が必要です。 なお、家賃等の支払先が管理会社でも、貸主が個人であれば提出が必要となります。 |
☆納期の特例を受けている企業の源泉所得税(7月~12月分)の納付期限は1月20日(月)です。 |
令和2年1月から適用される主な税制
◎基礎控除の見直し・・・・・・ 全ての納税者に適用される基礎控除額が10万円引上げられ48万円になります。 ただし、所得金額が2400万円超の場合に控除額が逓減し、2500万円超の場合は適用できません。 |
◎給与所得控除の見直し・・・・・・ 控除額を一律10万円引下げます。 また、給与収入850万円超の場合に控除の上限額が用され、その上限額を195万円に引下げます(22歳以下の扶親族を有する場合などは軽減措置あり)。 なお、給与収入850万円以下の場合、基礎控除引上げにより税負担は変わりません。 |
◎公的年金等控除の見直し・・・・・・ 控除額を一律10万円引下げ、公的年金等収入が1千万円超の場合の控除額に195万5千円の上限を設けます。 また、公的年金等収入以外の所得金額が1千万円超の場合は控除額を引下げます。 |
◎扶養親族等の合計所得要件の見直し・・・・・・ 上記に伴い、 配偶者控除の対象となる配偶者や、扶養控除の対象となる扶養親族の所得金額は48万円以下(給与所得控除引下げにより給与収入103万円以下は変更なし)に、 配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得金額は48万円超133万円以下に引上げます。 |
◎青色申告特別控除額(65万円)の見直し・・・・・・ 青色申告の個人事業主が要件を満たす場合に適用できる青色申告特別控除額を55万円に引下げます。 ただし、①e-taxによる申告、又は②電子帳簿保存のいずれかを行った場合は、65万円の控除が受けられます。 |
◎投資信託等のニ重課税調整措置・ ・・ ・ 外国資産 (株式等) への投資による利益をもとに分配金が支払われている投資信託等について、外国と国内でのニ重課税を解消するための調整措置が適用されます。 |
給与所得者の確定申告(還付申告)について
令和元年分の所得税の確定申告は、2020年2月17日~3月16日までとなります。
確定申告の必要な方 大部分の給与所得者は確定申告をする必要はありません。 ●給与収入が2千万円超の方 ●給与以外の所得(退職所得を除く)が20万円超の方 などは確定申告をしなければいけません。 |
確定申告が必要ない方でも、 ●医療費が10万円(所得200万円未満の方は、その5%)を超える場合の医療費控除 ●災雪等で住宅や家財に損害を受けた場合の雑損控除 などを適用するためには、還付を受けるための申告(還付申告)が必要となります。 この還付申告は、確定申告期間に関係なく1月から行うことができます。 |
1月は税務事務が集中・お早目のご準備を
☆法定調書・・・ 源泉徴収票や報酬、料金、契約金、賞金などの支払調書と合計表を税務署に提出。 ◎提出期限は1月31日(金)です。 |
☆給与支払報告書・・・・ 給与支払額に関わらず各人(昨年の中途で退職した人も含む)の本年1月1日現在の住所地を管轄する市町村等に複写分と併せて2通とも提出。 ◎提出期限は1月31日(金)です。 |
☆償却資産申告書・・・・・・ 本年1月1日現在所有する土地及び家屋以外の機械・備品などの償却資産について、市町村等の固定資産税課に提出。 ◎提出期限は1月31日(金)です。 |
新年のご挨拶
新年明けましておめでとうございます。 皆様のおかげで今年も無事に新しい年を迎えることができました。本年もさらなるサービス向上に向け、気持ちを新たに取り組んでまいります。 本年の夏には、オリンピック、パラリンピックが日本で行われます。選手の活躍とともに、その経済効果にも期待したいものです。 皆様のご発展を祈念して、新年のご挨拶といたします。本年も変わらぬご愛顧のほど心よりお願い申し上げます。 |
①給与所得の源泉徴収税額表等の変更
給与所得控除額を引き下げる改正が令和2年分から適用されることに伴い、給与所得の源泉徴収税額表等が本年1月から変更されています。
②消費活性化策スタート
昨年10月の消費税率引上げが経済に影響を及ばさないよう政府が消費活性化策として実施している「キャッシュレス決済によるポイント還元」は本年6月末で終了しますが、ポイント還元終了後には、マイナンバーカード所有者が一定の手続をした場合に、「〇〇ペイ」等の決済手段に現金をチャージすれば、国が負担する一定のプレミアム分が上乗せされ買い物などに利用できる「マイナポイント」が付与される新たな消費活性化策がスタートする予定です。
③「パートタイム・有期雇用労働法」が本年4月から施行
正社員とパートタイマー等との間での賃金格差を是正するため同一労働同一賃金の実現を目指す「パートタイム・有期雇用労働法」が本年4月から施行(中小企業は1年後の施行)されますので、企業の対応が求められます。