会計トピックス
- 2019-06-19平成30年度における査察(マルサ)
- 2019-06-17キャッシュレス・消費者還元事業の登録は
- 2019-06-14所得税の予定納税が必要な方は
- 2019-06-07平成30年分の確定申告状況(所得税、贈与税)
- 2019-06-05今月は「外国人労働者問題啓発月間」
- 2019-05-31相続した空き家に係る譲渡所得の特別控除
- 2019-05-24個人事業者に対する事業承継税制の創設
- 2019-05-22税法上、役員と同様に扱う「みなし役員」
- 2019-05-20ふるさと納税を行った方は住民税を確認
- 2019-05-17金融機関へのマイナンバー提供期限の延長
- 2019-05-13消費税の軽減税率制度の対応はお早めに
- 2019-05-07ふるさと納税に係る指定制度が来月創設
- 2019-04-2410連休に対する資産繰り等の対応を
- 2019-04-17「節税保険」の取扱い改正案を公表
- 2019-04-12消費税引上げに伴うプレミアム商品券の発行
- 2019-03-2910連休に伴う資金計画を事前に確認
- 2019-03-27地価公示は全国的に回復傾向
- 2019-03-20売掛金の回収・管理と消滅時効の見直し
- 2019-03-15相続人が行う「準確定申告」について
- 2019-03-11申告書を郵便等で送付した場合の提出日
平成30年度における査察(マルサ)
査察は、一般の税務調査と異なり、国税査察官 (いわゆるマルサ)が大口・悪質な脱税者に対して、刑事責任を追及する特別な調査です。
国税庁によると、平成30年度中に処理した査察事案は182件、脱税額は総額140億円(1件当たり7700万円)で、そのうち検察庁に告発した件数は121件(告発率66.5%)でした。
重点事案(消費税受還付事案や無申告の脱事案など)の事例では、免税店制度を悪用し、架空の仕入(課税取引)と売上(免税取引)を計上する方法で不正に消費税の還付を受けようとした事案や、FX取引を多数の他人名義で行うことで所得を隠し、無申告であった事案などがありました。
キャッシュレス・消費者還元事業の登録は
消費税率引上げ後9力月間実施される「キャッシュレス・消費者還元事業」に加盟店登録した中小・小規模事業者は、
①キャッシュレス決済端末等を自己負担なし導入可能、
②期間中の決済手数料の1/3を補助、
③加盟店でキャッシュレス決済をした消費者に5%を還元します。
加盟店登録は原則、決済事業者を通じて行いますので、本事業のHPから契約する決済事業者を選択し、申し込みます。
なお、既にキャッシュレス決済を導入している場合も登録対象です。
所得税の予定納税が必要な方は
令和元年分の所得税について、予定納税基準額(前年分の税額などに基づき計算した金額)が15万円以上になる方には、所轄税務署から「予定納税額の通知書」が届きますので、予定納税基準額の1/3をそれぞれ7月(第1期)と11月(第2期)に納める必要があります。
ただし、6月30日の現況で所得税の見積額が予定納税基準額よりも少なくなると見込まれる場合は、減額申請ができます。減額申請する場合は7 月16日までに申請書を税務署に提出します。
平成30年分の確定申告状況(所得税、贈与税)
平成30年分の確定申告状況が公表されました。
♦所得税の確定申告状況
◎所得税の確定申告書の提出状況……
所得税の確定申告書を提出した方は2221万8千人で、そのうち1305万6千人が還付申告でした。
一方、申告納税額があった方は638万4干人で、その所得金額は42兆1274億円、申告納税額は3兆2826億円と4年連続で増加しています。
©e-Taxの利用状況
自宅等からe-Taxで申告書を提出した方は542万5千人で、そのうち国税庁HPの確定申告書等作成コーナーを利用した方は前年比102%増の124万人となりました。
なお、スマホ申告の利用は36万6千人です。
◎各種控除の適用状況……
医療費控除は759万5干人が適用し、そのうらセルフメディケーシヨン税制(医療費控除の特例)は2万6千人でした。
また、災害などで資産に損害を受けて雑損控除を適用した方は前年比93%増の4万4千人となっています。
♦贈与税の申告状況
◎贈与税の申告書の提出状況……
贈与税の申告書を提出した49万4千人のうち、暦年課税(基礎控除110万円)を適用したのは45万1千人、相続時精算課税は4万2千人でした。
◎暦年課税の申告状況……
暦年課税を適用し、申告納税額があったのは35万7千人で、1人当たりの申告納税額は前年比47%増の70万円となりました。
◎住宅取得等資金の非課税措置の申告状況……
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置を適用した方は5万8千人で、4467億円が非課税の適用を受けました。
今月は「外国人労働者問題啓発月間」
毎年6月は、外国人労働者の雇用ルールの周知を行う「外国人労働者問題啓発月間」です。
今年4月から新たな在留資格「特定技能」が創設され、深刻な人手不足の業種(特定産業分野)において、一定の技能や日本語能力がある外国人労働者の受入れ拡大が図られています。
外国人労働者を雇用する場合は、就労することが認められる在留資格であるか等を在留カードやパスポー卜で必ず確認し、不法就労にならないようにします。
また、雇用および離職の際、ハローワークに「外国人雇用状況」の届出を行うことがすべての事業主に義務付けられていますので、届出を怠らないように注葸しましょう。
相続した空き家に係る譲渡所得の特別控除
空き家の発生を抑制するための特例措置として、相続した空き家に係る譲渡所得の3千万円特別控除が設けられていますが、
今年度税制改正により適用期限が令和5年(2023年)12月31日までに延長されるとともに、対象範囲が拡大しました。
♦同特例の主な適用要件は
この特例は、被相続人が居住していた家屋を相続した相続人が、
・相続から3年目の年末までにその家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む)を譲渡した場合
・又は取壊し後の土地を譲渡した場合に、譲渡所得から3千万円を控除するものです。
主な適用要件としては、
①相続開始直前まで被相続人が冢屋に居住しており、被相続人以外に居住者がいないこと
②昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンション等を除く)であること
③相続から譲渡時点まで居住、貸付け、事業の用に供されていないこと
④讓渡価額が1億円以下であること
などがあります。
♦老人ホーム等に入所した場合も対象に
これまで同特例の適用対象となる相続した家屋は、 被相続人が相続開始直前まで居住していた場合に限られていましたが、改正により、要介護・要支援認定等を受けた被相続人が、相続開始直前まで老人ホーム等に入所していた場合に、入所前まで居住していた家屋についても対象となります(今年4月以降に行う譲渡について適用)。
なお、同特例の適用する際は、家屋所在地の市区町村で「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受けて、確定申告書に添付する必要があります。
個人事業者に対する事業承継税制の創設
今年度税制改正により創設された個人版事業承継税制は、青色申告に係る事業(不動産貸付業等を除く)を行っていた個人事業者の後継者が、贈与又は相続等により「特定事業用資産」を取得して事業を継続していく場合に、その資産に係る贈与税・相続税の納税を全額猶予する制度です。
♦対象資産や要件などは
◎対象となる贈与・相続等……
今年1月〜令和10年(2028年)12月までの「特定事業用資産」の贈与・相続等が本制度の適用対象となります。
◎「特定事業用資産」とは……
先代事業者(贈与者・ 被相続人)の事業の用に供されていた
①宅地等(400㎡まで)
②建物(床面積800㎡まで)
③建物以外の一定の減価償却資産が該当します。
◎必要な手続き等……
①後継者は、「個人事業承継計画」を策定し、令和6年(2024年)3月までに都道府県に提出し、確認を受けること
②贈与・相続後に経営承継円滑化法に基づく認定を受けること
③担保を提供することなどが必要となります。
◎猶予税額の納付が必要となる場合……
事業を廃止するなど一定の場合には、猶予税額の全部又は一部を利子税と併せて納付する必要があります。
◎猶予税額が免除される場合……
後継者の死亡など一定の場合には、「免除届出書」・「免除申請書」を提出することにより,猶予税額の全部又は一部の納付が免除されます。
◎小規模宅地等の特例との適用関係……
先代事業者から相続等により取得した宅地等について、特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の適用を受ける場合には、本制度の適用はできません。
税法上、役員と同様に扱う「みなし役員」
役員に対する給与を損金算入するためには一定の制限があり、定期同額給与(支給時期が1力月以下の一定期間毎で、その事業年度中の支給額が同額)などに該当している必要があります。
税法上の役員には、取締役などの会社法等で規定された役員だけではなく、一定条件に該当する方も「みなし役員」として同様の扱いになります。
みなし役員は、
①法人の使用人以外で、他の役員と同様に経営に従事している方(取締役になっていない会長や顧問など)
②同族会社の使用人で一定の持株割合を満たし、経営に従事している方(社長の親族が使用人として勤務している場合など)
のいずれかに該当する場合です。
ふるさと納税を行った方は住民税を確認
住民税決定通知軎が届く時期になりました。
昨年中にふるさと納税を行い、確定申告又はワンストップ特例制度を適用した方は、住民税が減額される形で控除されていますので、市町村民税 (特別区民税)と道府県民税(都民税)の税額控除額を確認しましょう。
なお、ふるさと納税に係る指定制度により、今年6月以降、「静岡県小山町」、「大阪府泉佐野市」、「和歌山県高野町」、「佐賀県みやき町」 に対する寄咐金は、特例控除の対象外となります
金融機関へのマイナンバー提供期限の延長
金融機関に証券口座を開設する際は、マイナンバーの提供が義務付けられています。
しかし、マイナンバー制度が施行された平成28年1月より前に証券口座を開設した方については、猶予期間により、従来は今年1月以後最初に配当等の支払を受ける日等までに金融機関に対してマイナンバーを提供する必要がありました。
しかし、税制改正により、この期限が3年延長されることになり、令和3年1月以後最初に配当等の支払を受ける日等までとなります。
消費税の軽減税率制度の対応はお早めに
今年10月から消費税率引上げとともに、飲食料品等を対象にした軽減税率制度が導入される予定です。
現在、複数税率対応レジの導入などに係る費用の一部を補助する「軽減税率対策補助金」が実施されていますが、経産省によると申請件数が10万件を突破し、相談件数も増加しているようです。同補助金を改めて確認し、早めに対応しましょう。
♦「軽減税率対策補助金」の概要
◎対象者……
中小企業支援法上の中小企業者等に該当し、レジ等を使用して日頃から軽減税率対象商品を販売しており、将来にわたり継続的に販売を行う事業者、又は電子的受発注システムや請求書管理システムを使用して軽減税率对象商品を取引しており、 将来にわたり継続的に取引を行う事業者です。
◎3つの申請類型……
「A型」→ 複数税率に対応するレジや券売機の導入や既存のレジ等を改修する場合
「B型」→ 電子的受発注システム(EDI/EOS等)を利用する事業者が複数税率に対応するために必要となるシステムの改修・入替を行う場合
「C型」→ 区分記載請求書等保存方式に対応した請求書の作成に係るシステムの改修・導入を行う場合のがあります。
◎補助率等……
補助率は原則、改修・導入等に係る費用の3/4です。
なお、各型において補助額の上限が設けられています。
◎申請の対象・受付期限……
今年9月30日までに導入・改修等をして、支払いが完了したのが申請の対象となり、申請の受付は今年12月16日が期限となります(B-1型は事前申請のため、6月28日までに交付申請が必要)。
ふるさと納税に係る指定制度が来月創設
今年度税制改正により、ふるさと納税に係る指定制度が今年6月に創設されます。
これは、総務大臣が基準に適合した地方団体(寄付金の募集を適正に実施し、返礼品は地場産品で返礼割合3割以下)をふるさと納税の対象として指定するもので、指定対象外となった地方団体に対して支出した寄付金は、特例控除の適用を受けることができません。
6月1日以後に支出された寄付金について適用となります。
10連休に対する資産繰り等の対応を
◎金融機関等の利用……
ATMは連休中も利用できますが、窓口は原則休みとなるため、連休前後は混雑が予想されます。
多額の現金が必要となる場合は、運休前の準備やATMの利用限度額引上げ等の対応を確認します。
また、口座振替日が運休中に設定されている場合の引落日は5月7日となりますので、口座残高にご注意ください。
◎株式等の取引……
取引所は休みとなり国内株式等の取引はできません。
海外動向などにより、連休明けの国内市場が影響を受ける可能性があるので注意が必要です。なお、FX取引等は行えます。
◎郵便配達……
普通郵便等の配達は、4月27日と 5月2日に行われます。
「節税保険」の取扱い改正案を公表
国税庁は、中小企業経営者を中心に節税目的での加入が増えていた経営者向け定期保険の取扱いについて、通達の改正案を公表しました。
改正案では、法人を契約者とし、被保険者を役員又は使用人とする保険期間が3年以上の定期保険等で、最高解約返戻率が50%を超えるものに加入して保険料を支払った場合は、最高解約返戻率に応じて損金算入割合を制限するとしています。
また、定期保険及び第三分野保険の取扱いを統一し、商品類型ごとの個別通達を廃止します。
なお、この取扱いは、改正通達の発遣日以後の契約に係る定期保険等の保険料について適用され、既契約への遡及適用はありません。
消費税引上げに伴うプレミアム商品券の発行
今年10月の消費税率10%への引上げに伴う景気対策の一つとして、プレミアム付商品券(割引率20%)の販売が実施されます。
購入対象者は、
①31年度の住民税非課税者(住民税課税者と生計同一の配偶者・扶養親族や生活保護被保護者等を除く) ②28年4月2日〜今年 9月までの間に生まれた子がいる世帯です。 |
同商品券は額面5千円単位での販売となり、最大で額面2万5千円分を2万円で購入(②に該当する場合は子の人数分)できます。
10連休に伴う資金計画を事前に確認
天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴い、今年のゴールデンウイ一クは最大10連休(4月27日〜5月6日)となります。
例年にない長期の連休になることから、取引先からの入金日や、給与の支払日などが通常とは異なるスケジュールになる可能性がありますので、資金計画の事前確認が必要です。
なお、口座振替日が10運休中に設定されている場合、引落日は5月7日となります。
連休により資金繰り対策が必要となる中小企業に対しては、日本公庫(沖縄公庫)による「セーフティネッ卜貸付(経営環境変化対応資金)や、「特別相談窓口」の設置などが実施されます。
地価公示は全国的に回復傾向
国交省が公表した31年地価公示では、全用途の全国平均は1.2% (用途別では住宅地0.6%、商業地2. 8%)のプラスとなり、4年連続で上昇しました。
また、地方圏(三大都市圏以外)の住宅 地も27年ぶりに上昇(0.2%)に転じ、地価の回復傾向が広がっています。
地価公示価格は、一般の土地取引の指標とされるほか、相続税・贈与税における路線価や、固定資産税(評価替えは3年に一度)を算定する際の基準となるものです。
売掛金の回収・管理と消滅時効の見直し
売上を伸ばしても、売掛金を回収するまでの期間が長くなれば、仕入先などへの支払いが厳しくなるため、資金繰りが悪化し、最悪の場合は黒字倒産に緊がります。
また、売掛金を回収できなければ、商品の代金だけではなく、売るまでに費やしたコス卜も損失となるため、損失を取り戻すには同じ商品を何倍も売る必要があります。そのため、売掛金の回収・管理は重要な業務となります。
なお、売掛金の消滅時効は現行、種類によって期間が異なります(商品代金は2年間)が、民法(債権関係)改正により32年(2020年)4月から原則として5年に統一されます。
相続人が行う「準確定申告」について
年の中途で亡くなった方の確定申告は、相続人が代わって申告書の提出や納税を行います。この手続きを「準確定申告」といいます。
◆相続開始から4力月以内に手続きが必要
所得税の確定申告は、1月から12月までの1年間の所得について、翌年の2月16日から3月15日までの間に申告・納税をすることになっていますが、準確定申告は被相続人が亡くなった年の1月から亡くなった日までの所得について、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に申告・納税をします。
準確定申告が必要となるのは、確定申告をしなければいけない方(給与収入が2千万円超の場合や、事業所得がある場合など)が亡くなった場合です。
なお、確定申告期限の3月15日までに亡くなり、前年分の確定申告書を提出していない場合には、前年分についても準確定申告の手続きが必要です。
この場合の期眼は、前年分、本年分とも相続開始を知った日の翌日から4ヵ月以内です。
◆申告書は被相続人の住所地の税務署に提出
確定申告をする必要のない方が亡くなった場合は、準確定申告も不要ですが、高額の医療費を支払っており医療費控除を適用できる場合などは準確定申告を行うことで還付を受けることができます。
医療費控除や生命保険料控除等の各種控除の適用を受ける場合に対象となるのは、亡くなる日までに被相続人が支払った分となります。
なお、準確定申告書は各相続人が連署して被相続人の住所地の所轄税務署に提出します(各人が別々に提出することも可能)。
申告書を郵便等で送付した場合の提出日
30年分の所得税と贈与税の申告期限は3月15日(金)です。
作成した申告書を送付により提出する場合は、「郵便(第一種郵便物)」又は「信書便」を利用して税務署に送付する必要があります。
この場合は、税務署に到着した日ではなく、消印(通信日付印)に表示された日が提出日とみなされます。
なお、e—Taxにより送信する場合は、即時通知及び受信通知に表示される受付日時が提出日となり、3月15日は24時まで利用可能です。