被災者に対する相続放棄等の「熟慮期間」
カテゴリー: 会計トピックス
2020-07-24
被災者に対する相続放棄等の「熟慮期間」
令和2年7月豪雨による災害が特定非常災害に指定されたことに伴い、災害救助法の適用区域に住所を有する相続人に対し、相続放棄等の「熟慮期間」を令和3年3月末まで延長する特例が適用されます。
◆「相続放棄」や「限定承認」
被相続人(亡くなった人)の財産を相続する場合には、現預金や主地等の財産だけではなく、借金等の債務も含めた財産を相続することになり、これを「単純承認」といいます。
ただし、現預金等の財産より借金等の債務が明らかに多い場合などに、相続人が「相続放棄」をすることで一切の財産を引き継がないことができます。
相続放棄を行った場合は、初めから相続人とならなかったものとみなされ、同順位の相続人全員の相続放棄により後順位の相続人に相続権が移ります。
なお、被相続人の借金などが不明で、財産が残る可能性もある場合などは、取得する財産を限度に債務を引き継ぐ「限定承認」という方法もあります。
◆相続放棄等を行う場合の「熟慮期間」
相続人が上記の相続放棄や限定承認を行う場合には原則、「相続の開始があったことを知った時から3カ月以内」に家庭裁判所でその旨を申述する必要があり、この期間を「熟慮期間」といいます。
熟慮期間に相続放棄等をしなかった場合は原則、単純承認をしたものとみなされます。
なお、今回の特例は、令和2年7月豪雨で被災した対象区域に住所を有する方が相続人になった場合に熟慮期間の終期を来年3月末まで延長するもので、被相続人が被災者であるか否か、相続財産が対象区域にあるか否かは関係ありません。
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