起業入門(7)発起人と役員(取締役)について

カテゴリー:  
2015-01-11

発起人と役員
発起人は、会社をつくるにあたってお金を出す人です。発起人は設立後に株主になり、持っている株数に応じて配当を受けることができます。一方、役員は、会社を運営をする人です。役員には、「取締役」「代表取締役」「監査役」といった種類があり、会社の経営や監査を担います。

発起人について
会社の設立には、発起設立と募集設立がありますが、中小企業のほとんどの場合は発起設立を選択するため、発起設立についてのみ解説します。

■発起人になれる人
発起人の資格には制限がありません。したがって発起人には、個人でも会社でもなることができます。未成年者の場合は、法定代理人(親権を行うもの)の同意があれば発起人になることができます。その際は、法定代理人の同意書、印鑑証明、戸籍謄本などの資料が必要になります。

募集設立:家族や友人など、身近な人のみがお金を出し、お金を出した人全員が発起人になる設立方法です。

■発起人の仕事

①会社の概要を決める
②定款の作成
③資本金の振込などの出資
④会社設立のための開業準備・賃貸借契約等



役員について
■株式会社の必要機関
株式会社では、必要機関として取締役が1名以上必要となります。取締役会を設置する場合は、取締役は3名以上必要です。
会社設立時の取締役の選任(選ぶこと)は、発起人がおこないます。中小企業の場合、「発起人=取締役」となることがほとんどです。設立後の取締役の選任は株主総会になります。

■取締役になれない人
取締役は、発起人と違い制限があります。以下の要件に当てはまる人は取締役になることができません。

・法人(株式会社等)
・成年被後見人や被保佐人
・会社法等の法律に違反して刑の執行を終えるか、その執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない人
・上記以外の法令の規定に違反して、禁固以上の刑に処されその執行を終えていない人、またその執行を受けることがなくなるまでの人(執行猶予中の人は除く)
未成年者の場合は、発起人と同様で法定代理人の同意が必要となります。また、外国人でも自己破産した人でも取締役になることができます。

■代表取締役
代表取締役とは会社を代表する権限を持った取締役です。取締役会を設置していない会社では、取締役の全員に代表権があります。代表取締役を2名以上置くこともできますが、意見が合わず運営に支障がでる場合があるので、1名にする方が望ましいです。取締役会設置会社の場合は、取締役会において代表取締役を選びます。


■取締役の仕事
☆設立時
設立時の取締役は、選任後は遅滞なく出資に関する調査(以下の4項目)を行わなければなりません。また、定款で代表取締役を定めていない場合は、設立時の代表取締役を取締役の中から選びます。
<手続き>
①現物出資財産について、定款に記載されて金額が妥当かどうか

②弁護士や税理士などによる現物出資財産に関する証明がだとうか

③出資が終わったかどうか

④株式会社の設立の手続きが法令や定款に違反していないか

☆設立後
会社の経営を行い、会社を実際に動かしていく役割を担います。

■役員の任期
取締役の任期は、原則2年であり、監査役の任期は原則4年です。
この2年、4年とは正確には選任されてから2年(4年)以内に終了する最後の事業年度の関して、決算承認の決議がなされた定時株主総会が終わるときになります。
原則は上記の2年、4年ですが、譲渡制限会社の場合は、いずれも任期を10年まで延ばすことできます。取締役1名の1人会社の場合などは、任期を迎えるごとの登記の手間と費用を考え、10年にしておくとよいでしょう。

最近の傾向は
最近では、発起人1人、役員1人といういわゆる1人会社が増えています。理由は、会社設立の準備や運営をスムーズに進めることができるからです。また、事務所もレンタルオフィスなどが増えて、一人でも起業しやすい環境が整ってきたとことも要因のひとつです。


執筆者: 満田 将太 資格:税理士・公認会計士
得意分野:起業支援・財務分析
連絡先:mitsuda@en-count.com

監査法人で会計監査に従事し、様々な業種(代理店業・製造業・商社・百貨店等)の経営を見てきました。また自身でも高齢者住宅の紹介業で起業していますので、そのような経験を活かして独立・起業のアドバイスなどが出来ればと思います。
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