消費税と法人税の考え方の相違⑤―まとめ―
カテゴリー: 消費税関連
2015-07-23
消費税と法人税の考え方の相違―まとめ―
法人税法の考え方は、費用と収益の対応を重視し、一度に利益が出すぎたり極端に費用が増えすぎることを抑制する傾向があります。そのことによって比較的安定した課税が行われています。一方、消費税法は「引渡基準」という考え方をベースに、引き渡しを受けたもの又はサービスの提供を受け終えたものについてはすべて消費税の計算上控除する(納付する消費税を少なくする)ことができます。
取引内容 | 法人税の考え方 | 消費税の考え方 |
---|---|---|
保険金で自動車を修理した場合 | 収益と費用が両方立ち、利益は相殺される | 保険金収入は課税されないが修理代は控除できる |
補助金で機械を購入した場合 | 収益と費用が両方立ち、利益は相殺される | 補助金収入は課税されないが機械購入代は控除できる |
減価償却資産を購入した場合 | 使用した期間に応じて費用計上される | 購入代すべてが購入時に控除対象 |
棚卸資産がある場合 | 売上高との対応関係がないため費用に計上せず | すでに引き渡しを受けているから全額控除対象 |
以上のように法人税と消費税とでは考え方が大きく異なります。
法人税法が費用と収益の関係性を重視しているのに対し、消費税法は一連の取引を切り離して別々に課税関係を判定するところが特徴的です。消費税法は個々の取引が次の4つの要件を満たせば課税、満たさなければ不課税となります。
☆4つの要件☆ ①国内で行われる取引であること ②事業者が事業として行うものであること ③対価を得て行うものであること ④資産の譲渡、貸付け、役務の提供であること |
また、課税のタイミングについても法人税は費用と収益の対応を重視し、消費税法は引き渡し又は役務提供が終了したら課税するという考え方が特徴的です。
※一般的な法人を前提としています。補助金を経常的に受け取るような公的組織は想定していません。
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