毎年コツコツ節税対策(4完)―相続開始前3年以内の贈与―

カテゴリー:  
2014-11-13

相続開始前3年以内の贈与

贈与による節税対策としてコツコツ贈与をすることにより相続財産を減らす方法を説明してきました。ところが、財産をあげた人が贈与をしてから3年以内に死亡した場合には、その3年間に贈与で移転した財産は相続財産に含めて相続税額を計算し直さなければなりません。つまり、その3年間の贈与は課税上無効扱いになってしまうのです。
せっかく安い税金で済んだと思っていたのに、相続税の計算で高く取られてしまうかもしれません。

たとえば、毎年120万円の贈与を行っていた場合には贈与税は亡くなる前の3年間で3万円納めています。もらった財産は360万円です。この360万円を相続財産に加算して相続税を計算する場合、相続税の税率が30%であるとすると、108万円の相続税が増えることになります。既に納めている贈与税3万円は控除できるとしても差引き105万円の税負担が増えてしまいます。
なお、贈与税の申告を税務署にしていない場合、つまり年間110万円以下の贈与であっても相続開始前3年以内の贈与で取得したものは相続税を計算する際に相続財産に加算しなければなりません。
相続税対策として10年間コツコツ贈与を続けてきた場合には7年分の贈与しか相続財産の減少に貢献しないことになってしまいます。相続税対策は早めに開始したほうがよいと言われるのはこのような理由があるからです。

ただし例外として、相続開始前3年以内の贈与であっても相続税の計算上加算されない場合がありますので紹介します。



    ☆相続税の計算で加算されない場合☆

  • 孫に贈与する場合
  • 相続開始前3年以内の贈与は相続税の計算で加算します。ということは、相続で財産を取得しない孫への贈与であれば、孫はそもそも相続税の計算を行いませんから加算されることもありません。ただし、遺言によって孫に財産をあげたり、孫を生命保険の受取人に指定した場合などには孫も相続税の計算を行わなければならず、加算の対象となりますから注意が必要です。
  • 非課税の特例を利用する場合
  • 住宅取得資金の贈与、教育資金の贈与、贈与税の配偶者控除などの非課税の特例については贈与の時点で課税関係は完了しますので、たとえ相続開始前3年以内の贈与であっても相続税の計算上加算されることはありません。
    国税庁タックスアンサー参照

相続開始前3年以内の贈与について相続税の計算上加算されない場合を紹介しましたが、人が亡くなる時期はわかるはずもありませんので計画的に回避しようとしても無理な話です。結論としてはやはり早い時期から相続税対策を開始し、毎年コツコツ少しずつ贈与をしていくことが暦年贈与を利用した節税対策として最善の策と言えるでしょう。

「毎年コツコツ節税対策」に最後までお付き合いいただきありがとうございました。
最後に感謝の意を込めまして税金川柳でしめたいと思います。

110万 孫の将来 夢託す(タックス)

ありがとうございました。




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