消費税と法人税の考え方の相違①―費用と収益の対応―

カテゴリー:  
2015-06-25

受け取った損害保険料で修繕を行った場合

損害保険会社からもらった保険金(100万円)で事故車両の修繕(100万円)を行った場合における消費税の課税関係を考えます。
まず、事故車両の修繕から考えると、破損した車両を直してもらう行為は消費税の課税対象となります。
消費税が課税対象となるには次の4つの要件を満たす必要があります。
☆4つの要件☆
①国内で行われる取引であること
②事業者が事業として行うものであること
③対価を得て行うものであること
④資産の譲渡、貸付け、役務の提供であること
この4つの要件を車両の修繕を行った修理会社の立場で考えます。
①国内で②自動車修理業として④自動車を修繕(役務の提供)することで③対価として100万円受け取りました。4つの要件をすべて満たしていますので消費税の課税対象になるといえます。

※他人の自動車を傷つけて、その相手先に「損害賠償金」として支払うものは消費税の課税対象となりませんので注意が必要です。

自動車事故を保険事故とする保険金を受け取った場合

自動車事故を起こしたことにより損害保険会社から保険金100万円を受け取った場合には、「雑収入」などの勘定科目で収益の額に計上します。その受け取った金額は結局自動車の修繕のため修理会社に支払ってしまいますので、帳簿上の損益(法人税法上の利益)はプラスマイナス0円になります。
消費税の計算では、修繕費として支払った金額は控除(納める消費税を減らす)の対象となりますので、その支払いを補てんするためにもらった保険金は消費税の課税対象となる(納める消費税を増やす)と考えがちです。しかし、消費税法ではそのような考え方はしません。支払いのための原資が何であるかということは問題とせず全く別の取引と考えます。つまり、保険金の受け取りが4つの要件を満たせば消費税は課税となり、そうでなければ課税とならないという原則的な考え方によって消費税の課税関係が決まります。
そうすると、自動車事故を起こしてしまったことによる保険金の受け取りは、単に事故を起こしてしまったという事実を保険事故として100万円をもらっているのであり、保険会社に対してサービスなどを行ったことの対価としてもらっているわけではないため4つの要件を満たさず、消費税の課税対象とはならないという結論になります。


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