最近の税制改正(2)―給与がアップしたら税額控除②―

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2015-03-26

新たに法人を設立した場合
給与がアップした場合に税額控除が受けられる「所得拡大促進税制」は、その適用を受けようとする事業年度に支給した給与の額が基準期間(平成24年4月1日から平成25年3月31日までに開始する事業年度)に支給した給与の額の2%以上上昇することを要件としています。そうすると、平成25年4月1日以後に設立した法人については基準期間が存在しないため、この制度の適用は受けられないのでしょうか。
実は、新設法人の場合には給与の支給があれば必ず税額控除を受けることができます。
新設法人の場合には、その設立事業年度の給与の額の70%相当額を基準期間の給与支給額とみなします。基準期間より2%以上上昇しなければならないという要件は余裕でクリアできるわけです。
他にも2つの要件を満たさなければなりませんが、その2つの要件は前事業年度との比較をするものであり、前事業年度が存在しない新設法人の前事業年度の給与支給額は0円なので、こちらも必ず要件をクリアできるのです。
ただし、注意事項があります。
☆注意事項☆
①給与支給額は役員報酬とその役員の家族に支払う給与を除きます。つまり、他人を雇うことで初めてこの制度の適用を受けることができます。
青色申告の承認を受けていることが要件となります。設立の日以後3月以内(その前に事業年度が終了する場合にはその終了の日の前日まで)に申請しましょう。
③当然のことながら、税額控除ですので利益が出て法人税を納める法人に適用があります。赤字の法人には適用はありません。


初めて従業員を雇った場合
平成25年3月31日以前に事業を開始している場合において、基準年度に他人に対する給与の支給がない場合にはどうでしょうか。
その場合には、基準期間の給与支給額は1円とされます。
初めて他人に給与を支払った事業年度については、基準期間に支払った給与の額(1円)の2%以上であることは間違いありません。他の要件に関しても、前事業年度の他人への給与支給額は0円なので当事業年度の給与支給額は必ず前事業年度以上になります。つまり、この場合にも当事業年度はこの制度の適用を必ず受けることができることになります。
税額控除額の計算
上記の2つのケースではそれぞれどれくらいのの税額控除が受けられるのでしょうか。
当事業年度の給与支給額が100万円とした場合の計算は次のとおりです。
☆税額控除額の計算☆
①新たに法人を設立した場合
 この場合には、基準年度の給与支給額は当事業年度の70%とするわけですから、100万円×(1-70%)=30万円が増加した金額となります。税額控除額はこの金額の10%ですから3万円となります。ただし、法人税額の20%(中小企業者の場合)を限度とします。
②初めて従業員を雇った場合
 この場合には、基準事業年度の給与支給額は1円とされるので、当事業年度の増加額は1,000,000円-1円=999,999円となります。税額控除額はこの金額の10%ですから、99,999円となります。ただし、法人税額の20%(中小企業者の場合)を限度とします。
㊟事業年度の期間が一年間である法人を前提としています。


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