介護と会計・税務⑤(人件費・給与と人材確保)

カテゴリー:  
2014-11-22

介護事業者の給与
介護事業者の給与計算においては、正職員・契約職員・常勤ホームヘルパー・登録ホームヘルパーなど様々な雇用形態があり、雇用区分ごとに給与体系も異なります。また、夜間勤務、ヘルパーの移動時間、書類作成時間など介護職員の労働時間の把握も複雑です。さらに訪問介護サービスには生活支援や身体介護というサービスがあり、これらを組み合わせて利用します。これらのサービスは利用料金が異なるため組み合わせも給与体系に反映させるため複雑なものとなります。

雇用形態
■正社員
正社員は、会社と直接雇用契約を結びます。
福利厚生(各種手当、健康保険、厚生年金、雇用保険)が充実しており、労働者が長期間働くことを前提としています。退職時には退職金がある場合が多く、会社都合で退職する場合は「解雇」となるため、いざ失業したとしてもすぐに失業保険を受ける事ができます。給与は毎月固定額を基本給とし、それに各種手当て、残業代などを加えて支給されます。
■契約社員
正社員と同じように会社と直接雇用契約を結びます。
正社員との違いは、あらかじめ定められた期間に対して、いくらの報酬を支払うのかを明確にした上での有期雇用契約となり、期間が満了になった場合、双方合意が得られれば再契約を行うこともできます。契約期間切れが近づいたら、自動更新とする契約もありますが、その場合でも企業/労働者のどちらかが契約の終了を希望した場合は、契約満了とすることが可能なので、企業にとっては「雇用解除しやすく」、労働者にとっても「辞めやすい」形態です。契約期間が決められているため、更新時期に年収の交渉を企業側と行いやすいというメリットもあります。また、健康保険、厚生年金、雇用保険などの各種福利厚生も正社員同様確保され、有給も付与されます。ただ、契約期間満了に伴う失業の場合は解雇扱いにはならないため、失業給付条件を満たしていても、失業保険の給付は3ヶ月の待機が必要です。退職金やボーナスも無いのが一般的です。

■派遣社員
他社で労働従事する前提において、人材派遣会社で雇用される労働者のことを派遣社員といいます。
契約社員同様に契約期間があり、契約期間満了時に再契約するか契約を終了するかは、労働者と派遣先企業、それぞれの意思によって決定されます。派遣社員は、法律上の雇い主はあくまでも人材派遣会社になります。事故やトラブルが起きた際は、まず人材派遣会社が責任をもって対処します。しかし、実際に指揮命令をしている派遣先企業は全く責任を負わないというのは妥当ではなく、労働者派遣法において派遣元と派遣先が責任を分担するべき事項が定められています。健康保険、厚生年金、雇用保険、有給休暇などは人材派遣会社によって同様に確保されるのが通常です。

■パートタイム労働者
パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者をいいます(パートタイム労働法では、「短時間労働者」といいます)。「パートタイマー」や「アルバイト」など、呼び方は異なっても、この条件を満たせばパートタイム労働法上のパートタイム労働者となります。パートタイム労働者を雇用する使用者は、パートタイム労働法に基づき、公正な待遇の確保や正社員への転換などに取り組むことが義務付けられています。パートタイム労働者は、労災保険は基本的に適用となり、雇用保険、社会保険は一定の条件を満たした場合は適用になります。

◎登録ヘルパーとは
登録ヘルパーとは、各介護事業所に登録しておき、依頼のあった仕事を請け負って働くスタイルのヘルパーのことです。自分の都合や希望する活動地域に合わせてスケジュールが決められるため、家事で忙しい主婦層に人気があります。登録先は民間事業者をはじめとして、自治体や社会福祉協議会、家政婦紹介所などと極めて幅広く、業務内容も個々の技能に応じてさまざまです。



人材確保
いまは介護の現場で働く人の確保が難しいようです。サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームの数も増え続けています。在宅介護のニーズも高いなか、ホーム数も増えているので働き手の確保がどの会社も大変苦戦しているようです。


執筆者: 満田 将太 資格:税理士・公認会計士
得意分野:起業支援・財務分析
連絡先:mitsuda@en-count.com

監査法人で会計監査に従事し、様々な業種(代理店業・製造業・商社・百貨店等)の経営を見てきました。また自身でも高齢者住宅の紹介業で起業していますので、そのような経験を活かして独立・起業のアドバイスなどが出来ればと思います。
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