介護と会計・税務①(会計区分)

カテゴリー:  
2014-06-10

会計基準
介護事業に関しては、運営が社会福祉法人の場合は、「社会福祉法人会計基準」というものがありますが、営利法人(株式会社等)の場合は、会計基準はありません。しかしながら、老振発第18号「介護保険の給付対象事業における会計の区分について」で会計区分について定められています。会計区分については以下で詳しく解説します。

会計区分
介護事業者は事業所又は施設単位で経理を区分しなければなりません。例えば、デイサービス3箇所、訪問介護、訪問看護、小規模多機能型居宅介護事業所をやっている場合は、6つに区分しなければなりません。
売上を分けることは簡単かもしれませんが、経費をわけるにあたり複雑になる場合があります。給与は勤務時間割合により区分し、介護用品・医薬品等の材料費は各事業の消費金額により区分します。なお、区分が困難な場合は延利用者数割合などの合理的な方法により按分しても差し支えありません。

■運営基準を満たす会計処理方法
①会計単位分割法式
施設や事業所の単位ごとの介護サービス事業を、別法人のようにそれぞれ独立した主要簿(仕訳帳、総勘定元帳)を有するものです。損益計算書だけでなく、貸借対照表も事業拠点ごとに作成されます。

②本支店会計方式
主要簿の一部を事業拠点の単位ごとの介護サービス事業別に分離して会計処理を行います。本支店会計なので、事業拠点ごとに損益計算書と貸借対照表が作成されますが、貸借対照表の純資産の部は分離せずに、本店くんだけ存在する。事業拠点間の取引は、本支店勘定で処理します。

③部門補助科目方式
勘定科目に補助コードを設定し、仕訳の際に、補助コードを記入することで介護サービス事業別の数値を集計できるような方法です。貸借対照表については、区分せすに、損益計算書のみ区分することを目的とした方法です。

④区分表方式
仕訳の際には、区分せすに、計算書の数値をそれぞれの科目に応じて按分基準(あんぶんきじゅん)を設け、配分表によって介護サービス事業別の結果表を作成する方法です。③部門補助科目方式の簡便法になるため、一部にに補助コードを設定して仕訳をすることも併用されます。


会計区分を分けないと
上記のように区分会計をもうけず決算を組むと、都道府県が行う実施調査の際の指導項目となるので注意が必要です。


執筆者: 満田 将太 資格:税理士・公認会計士
得意分野:起業支援・財務分析
連絡先:mitsuda@en-count.com

監査法人で会計監査に従事し、様々な業種(代理店業・製造業・商社・百貨店等)の経営を見てきました。また自身でも高齢者住宅の紹介業で起業していますので、そのような経験を活かして独立・起業のアドバイスなどが出来ればと思います。
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